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1.カフェ Saki
シャリン
このお店のドアベルは貝で出来ている。
「いらっしゃい」
柔らかい声と共にカウンターから癒される笑顔で出迎えてくれる。この優しげな女性は咲さんで私の親戚のお姉さんだ。
この海の近くにある小さい隠れ家のようなカフェSakiは、咲さんが作る美味しい軽食やお菓子も魅力だけど、もう1つ。ビーチグラスや石英、貝を使った雑貨を展示・販売している。
私、水野 瑠璃 (20)社会人1年目で何かとへこむ毎日の中、週末はビーチコーミングとこのカフェが私の癒しである。
「あっまた砂だらけね」
早朝から砂浜を歩き回っていた私の靴は砂が溝につまり、私が歩いた後は砂が沢山散らばっている。
「あっ、ゴメン!すぐ片付ける!ホウキ借りるね」
「しょうがないな~」
そう言いながらも、まったく怒った素振りはない。
私にホウキと塵取りを渡しながら楽しそうに聞いてくる。
「今日のステキな1番は何?」
私と咲さんとの週末のいつものやりとりだ。