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明日の天気はきっと晴れ  作者: FRIDAY
第一話 ゆうやけ荘へようこそ
7/38

07.いっそ清々しい勢いで置いてけぼりにされましたね。

 当てにされてない、どころか、どうやら頭数に数えられてなかったんじゃないかと疑わしくなってしまった。ようやく僕が商店街に着いたとき、ある意味当然と言うか、前島さんも加賀さんも待っていちゃあくれなかった。車は辛うじて見つけたけれど、乗り手ふたりの姿は影も形もありゃしねェ。


 商店街は結構広いし、食べ物のお店だけに絞っても複数あるから、闇雲に探すのは時間がかかる。さてどうするか、と思ってたらポケットで何かが振動した。何か、というかスマートフォンだ。取り出すと、発信は前島さんからだった――そういえば、連絡先は知ってたんだった。(相手が誰に限らず)滅多に鳴らない不通信機。その本来の役目を思い出したのはいつ以来だろう。おめでとう。


『――あ、ユーヤ? 今駐車場だな?』

 前島さんは第一声からそれだった。

『あたしとカガッちゃんは商店街の店にいるんだわ。で、手は間に合いそうだから、お前はそのまままっすぐ駅まで行ってくれ』

「まっすぐ……新人さんが到着するのが十七時だから、あと四時間くらいありますけど……でも本当にいいんですか?」

『おう。さっき学生時代の奴隷――もとい舎弟を見つけてな。荷物持ちやらせることにした』

 訂正しても扱いが酷い。


「舎弟……ああ、時東ときとうさんですか」しばしば気の毒な目に遭っている時東さんか。ここでも遭ってしまったんですね。まあ本人は嬉しそうだからいいんだろうけど。

 けど、前島さんは軽い調子で否定した。


『いーや。今日会ったのは別の奴。車に物を載せるところまでで帰すから今日は会わないだろうが、今度紹介してやるよ』

「はあ」

 かつて東日本で広く名を鳴らしたという前島さんだから、そりゃあ舎弟も膨大にいるんだろうとは思っていたけれど、やっぱりいたんだなあ。


「まあ……了解です。それじゃあ僕は、駅前で待っていればいいんですね」

『ああ。駅前でぼんやりしていていいぞ』

「……ええ」

 何か引っかかる言い方をしますね。まあいいんですけど。


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