第三話「提携関係」
──────現在
「うぅ、しまったなぁ〜つい勢いで撃っちゃった…」
頭に風穴の空いた二つの死体は所々に血肉を撒き散らしている。そんな死体を尻目にリリアは頭を抱えていた。
「どうするんですか、楓君呼びます?」
「うん…仕方ないよね」
楓君とは僕達の作りだした死体や血痕、肉片の後始末をしてくれる、いわば“掃除屋”である。
懐から取り出した携帯である番号を打ち込み、三回目のベルで受話器を取る音が伝わってきた。
「もしもし…こちらクリーニングサービスの楓です…コースは?」
「“ミートローフとケチャップをこぼした”。場所は中心部のルート27裏路地の倉庫。宜しくね」
「…ぁあ、レイ君か〜。てことはお仕事終わり?リリアさんがまたやったんでしょ〜」
じゃあまた後で、と通話を終える。
暫くすると、荒々しいエンジン音と共に一台のワゴン車が倉庫の外に停車し、中から背の低いまだ幼さの残る少年が降りてきた。
髪は少しぼさついていて、マスクを身に付け、手にはバケツを抱えている。
「お待たせ〜、じゃあ後はやっておくね」
「ごめんねカエデ君…今度飲みに行こうよ!ねっ?」
「子供と行く場所じゃないですよリリアさん…僕達はもう帰りますよ、報告しなきゃいけないんですから」
楓に別れを告げ、乗ってきた車で帰路に就く。
事務所に着くと、一人の男が煙草を吸いながらソファに大股を開いて座っていた。今回の依頼人であるジルス=ヴェイダーである。
彼はガーディアンでありながら唯一WWCと関わりのある中心部の人間だ。
「よう、終わったか?ご苦労さん」
顎の無精髭を触りながら話しかけてくる。
「ええ、終わりましたよ。多分新しい顧客に売り捌いてる時でした」
「もぉ〜、ガーディアンももっと働きなよ〜。捕まえるのは出来るんだからさ〜」
「バーカ、あいつは二回捕まえてる。それで今回だ。流石にアホらしくなったんだよ」
「じゃあもう私達みたいに殺しちゃえば?」
「あのなぁ…いいか?中心部の人間は富裕層なのは知ってるだろ?中心部はそいつ等の資金援助で成り立っている。ガーディアンの収入もそいつ等の税なんだよ。資金源をそうポンポン殺せないってのが現状だ。捕まえて罰金するのが最善策って訳だ」
「でもじゃあ何で僕達に仕事を頼むんですか?」
「そうしないと犯罪は蔓延していずれ秩序すら崩れていく、それを防ぐ為だよ。…まあ最もな理由はこのやり方ならガーディアンは疑われないってのが本心だがな。でもあんまりやり過ぎるとガーディアンとお前等の関係もバレちまう、だから俺だけがお前等と関わるようにしてる」
「ところで報酬は〜?早く飲みに行きたいんだけど〜」
「あぁ、そうだったな。ほらよ、300000ゼルだ」
「わぁ〜い!じゃあレイ君ッ!後は頼んだぞっ!」
今日も一仕事を終えた。