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白布の汚点

作者: 碓氷馨

私は天涯孤独な色ボケ爺いなのであります。

兎にも角にも女が大好きなのであります。

勿論、女を女としても好きですが、「女」そのものが好きでもあるのです。

女になりたいのかも知れません。

特に若い女の白く柔らかい肌には滅法目が無く、これまでにも沢山の女どもを攫ってきては私の部屋に監禁し、夜毎の凌辱に溺れて参りました。

しかし私はある時期が来ると決まって性交中にその女どもを殺してしまうのです。

性交による絶頂への興奮はいつしか狂気と化し、女どもの首を強く絞め上げてしまうのです。

薄汚れた女の体液が、私の寝床の白布を汚すのが気に入らないのです。

女どもの体液で白布のすべてを埋め尽くすならばいいのですが、ほんの少しの汚れのために白布の白さを再確認させられるのがたまらなく厭なのです。

もう幾人の女を殺めたか忘れてしまったある日のことです。

私は街で18歳の娘イウナをみつけてしまうのです。

イウナは私の理想のすべてを兼ね備えた娘でした。

それまでの女どもとは比べものにならないほどのものだったのです。

早速私はイウナを攫い、その日からイウナを監禁して朝から晩まで毎日イウナとの性交に溺れました。

イウナはやはりそれまでの女どもとは違い、薄汚れた体液もなく、私に殺意すら抱かせないのです。

いつしか私はイウナそのものに成りたくなっていったのです。

そして、ある晩。

性交に疲れ果て、ぐったりとした私はいつの間にやら居眠りをしてしまったのです。

その後、小さな物音で私は目を覚ましました。

ゆっくりと薄目を開けるとそこには私に馬乗りになったイウナが、刃物を私の胸めがけて今まさに振り下ろそうとしているのが見えたのです。

私は咄嗟にイウナの腕を払い除け、イウナを思い切り突き飛ばしました。

そして今度は逆に私が彼女の身体の上に跨り、両手で力任せにイウナの首を絞めたのです。

どれくらいの時間絞め上げていたのかはまったく記憶にないのですが、ふと我に返ったときにはイウナは冷たくなっておりました。

「何でなんだ!何でなんだ!」

私は大きな声を上げながら嗚咽しました。

私は正座をしたままイウナを胸に抱きかかえながら、何度も何度も天を仰いで泣きました。

すると突然、イウナを抱きかかえていた腕は軽くなり、ふと見るとイウナの姿が私の腕から消えていたのでした。

私は何が何だかわけがわからず辺りを見回していると、部屋の三面鏡に映った私の姿は「イウナ」だったのです。

気が動転するのを必死で堪えながら、もう一度鏡の中の私の姿を今度はじっくりと見ることにしました。

「やっぱりイウナだ。」

そこに居たのは、素っ裸のイウナだったのです。


"孤独は孤独によってでしか孤独を埋められないのです"


そんなことを思いながら私はイウナの豊満な乳房を自分の手で何度も何度も愛撫しておりました。


<完>

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