12月25日 第九章「あきらめ」
「こら! 二人とも遅いよ!」
音楽室に息を切らしながら入ると顧問の佐藤先生がそういった。顧問は基本的に優しい人だから怒ってもこわくないもんねー。
私が音楽室から出ようとすると……
「ちょっと」
「はい?」
佐藤先生がにやにやしながら私の袖をつかむ。
「ど・こ・ま・でやってきたの?」
「あぁ……」
私はため息をついた。先生、こういう話好きそうだもんなぁ。
「想像にお任せします」
私はそういって音楽室を出た。後ろで「きゃー!」とかいいながら暴れる先生の音だけがこっちまで聞こえた。どんな想像してんだろ。
私と青坂くんは音楽準備室へ。佳奈はそのまま音楽室で練習に入っていった。
「いやー、大変だったね」
青坂くんが楽器を組み立てながらそういう。私も彼の隣にケースを出して準備を始める。
「うん……まぁ、でもなんとか切り抜けられたし! 問題ないんじゃない?」
「まぁ、そうだね」
楽器を組み立て、チューナーで音あわせをする。うわっ、低い……。
「準備室は寒いからね……。早く行こう」
「うん」
私たちは音楽室のドアを開いた。
「――ってやっぱりそこまでいってるんでしょ! 不純異性交遊だぁあああ!!」
「先生!? まだやってるんですか!?」
佐藤先生は大声で叫びながら頭を抱えたり飛び跳ねたりしていた。それを音楽室のみんながこそこそしゃべりながら見てる。ちらちらとこっちに視線が飛んでくる。
「青坂くん……どうしよう」
「……」
青坂くんは名字の通り真っ青だった。
その後、暴れる先生に佳奈が耳元でこっそり耳打ちをすると気を失ったようだ。保健室に運ばれていった。
……何を言ったんだ?
みんなでパートで別れて練習を始める。
「さ、今日もがんばりますか」
私は明るく振る舞いながらも愛美をよく観察していた。さっきから気味が悪いほどテンションが低い。
私は気づかないふりをして練習を続けた。
「じゃ、今日はここまでにするよ」
私は時間を見て切りのいいところで切り上げた。
そして理科室をでようとした時
「香澄……待って」
ずっと黙っていた愛美が私の裾をつかむ。同時に部屋を出ようとしていた青坂くんと佳奈も立ち止まる。
「私のこと、嫌い?」
愛美は私の首もとあたりを見てそういった。
「ううん、嫌いじゃない。好きだよ」
「えっ!?」
「いやいや、そういう意味じゃなくって。友達として、好きだってこと」
一瞬目を輝かせたが、すぐに暗い表情に戻る。
「ごめんね。私が二人の邪魔をするなら……私、あきらめるよ」
「そっか。こっちこそごめん」
愛美の目には涙が少し、にじんでいた。でも、すぐにいつも通りの笑顔に戻る。
「これからは、全力で応援していくからねぇ」
「……逆に怖いね」
私たちは笑いながら理科室をあとにした。
こんにちは、まなつかです。
最初で最後のバレンタインを書いたりいろいろしているうちに更新が止まったままでした。すいません。
ゲームの制作もそろそろ再開しますので、よろしくお願いします。
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