12月24日 第四章「こくはく」
駅前はサーっと雨の音がするだけで静かだった。人はひとりも見かけない。腕時計を見るともう六時だった。
彼は急に立ち止まった。私もドキリとして立ち止まる。彼は振り返る。
「あのさ、北山さん。聞いて、もらいたいことがあるんだ」
「な、何?」
彼は少し下をうつむいて話し始めた。
「僕さ、北山さんのことが、好きなんだよ」
「……」
「アンサンブルでリーダーとして頑張っている君のことが好きになった。どうしようもないほどに」
私も、私も青坂くんのことが好きだ。そう言いたかった。だけど、声が出ない。
「だけど、北山さんは……僕のこと、どう思っているの」
「……私は……青坂くんのことが好き。こんなリーダーにいろいろと優しくしてくれたあなたが好き」
「本当?!」
彼は顔を上げる。笑顔だった。
私も笑った。
「付き合って……くれる?」
今度は私からだ。
「あぁ、いいよ」
「あのさ、私とキスしてくれる?」
「いいよ、大好きだ。北山さん」
私は目を閉じる。彼が近づいてくるのがわかる。そっと私を包み込むように彼の腕が私の肩に回る。
そして私たちはキスを――
バシャーーーーーン!
「うわぁああぁああああぁ!?」
「ぐほへっ!?」
雷が隣に落ちた。すごい光と音だった。私は思わず悲鳴をあげて飛び上がってしまった。そして目の前の彼の唇に顎をぶつけてしまった。
「イタタタ……」
「ご、ごめん! 青坂くん!」
「い、いいよ。怖くない?」
「うぅ……」
雨脚がいっそう強くなる。
「早く帰ろうか。ほら、入って」
「……うん」
キスは出来なかった。また今度……かな。
私は彼の横に入った。
そして二人で土砂降りの中、帰った。
こんにちは、まなつかです。
話の調子が良すぎなんで、雷を落とされました。えぇ。
それでは、次話で……




