12月24日 第三章「でーともどき」
「一緒に昼ごはん食べない?」
え――今なんて?
「いや、よかったら一緒にいいかな?」
「いやいやいや……! 私なんかと食べても!」
何いってんだ私! せっかくのチャンスを!
「ん、いいよ。別に北山さんと食べてみたいし。いろいろ部活の話もしたいしさ」
なんでこんなにうまく話しがいくの!? 小説やドラマじゃあるまいし!
「い、いいの……?」
「あぁ、そうだ。そこのマックでなんか食べよう」
私たちは駅にあるマクドナルドに入った。一応自腹だ。私は百円マックのハンバーガーとジュースのSを買った。青坂くんは――
「あ、僕はハンバーガーとスマイルをください」
マジでスマイル頼むやつがいた!?
「あ、あぁ。はい……」
うわ、まじで店員さん困ってるよ!? あぁ、何あのぎこちない笑みは!?
「……本当にしてくれるんですね」
「え、えぇ。まぁ。お代は一〇五円になります」
彼は財布から一〇五円ぴったり出す。そしてハンバーガーを受け取って二人で向かいあわせの席についた。
「ほ、本当に頼んだんだね」
「はは、ちょっと頼んでみたくなって」
物静かだと思っていた彼の一面が見れたのは嬉しいんだけど……。複雑な気分だ。
そしてハンバーガーを食べながら、部活についていろいろ話した。お母さんには夕飯までには帰ると電話しておいた。
「あ、この後図書館に行くから」
彼は鞄を持って立ち上がった。
「私も行っていいかな?」
頭で思うよりも先に口が言っていた。言ってからカーッと顔が赤くなるのがわかる。
「あぁ、いいけど」
彼はいつものようにクールな感じに戻っていた。
マクドナルドを出て、彼の横を歩く。うわぁ。なんか今日だけでなんでこんなにうまくいくんだろう!
今年のクリスマスイブは最高だ!
「何が最高?」
「いやいやいや! なんでもないよ」
「そう。あ、ここだよ」
彼は市立図書館に入っていく。私もその後をついて行った。
ここに入るのは久しぶりではない。毎日のように来ているのだった。彼の後を追うように。
「ねぇ、青坂くんは何の本を借りに来たの?」
「うーん」
彼は顎に手をやって少し考える。そしてメガネをキラっと輝かせて
「アクアライフ」
と答えた。……なにそれ。
「雑誌だよ。熱帯魚や海水魚の」
「へぇ……そんなんあるんだ。面白いの?」
「ちょっと待ってて」
彼はそう言い残すと早歩きで雑誌コーナーへと向かって何冊かを持ってきた。
そして私に一冊を手渡す。
「コリドラス……?」
なんか変なヒゲの生えた魚がカラー写真で載っていた。
「そう! コリドラス! かわいいでしょー」
「そ、そうだね……」
パラパラと中をめくる。そのコリドラスの特集が組まれているようだった。きれいなのがたくさんいるんだな。
「で、これが今月号」
彼は『ポリプテルス』と書かれたものを私に見せた。
「な、なにこれ……」
なんかにょろにょろしてそうな龍みたいのが写っていた。気持ち悪い。
「気持ち悪くないよ、かっこいいよ」
「……青坂くんは魚が好きなの?」
「うん、そうだよ」
「家でも飼ってる?」
「いや、家では飼いたくても飼えない。親が嫌いなんだよ。生臭いって」
あはは、そうかも。
私たちはしばらく二人でそれを読んだあと(きれいな魚もいて、飼ってみたいと思った)図書館を出た。
一気に寒い空気が私たちを襲った。
「さみいな」
「うん、っていうか、雪降ってる!?」
私は空を見上げた。さっきまで青空だったのに灰色の雲が覆っていた。そこから何かが降ってきていた。
「いや、これは雨だね」
なんだかロマンチックだと思った私はがっかりと肩を落とした。っていうか傘を持ってきていない。
「僕、傘持ってきているから。送るよ」
あぁ、なんだかユメみたいだー。私もそろそろ目覚めなきゃな。
私は木刈市駅まで彼に送ってもらう。
「あれ? 北山さんも北木刈市駅だったの? 僕もそこだから一緒に行くか」
私と彼は一緒に電車に乗って北木刈市駅に行く。
ガタンゴトンと電車が揺れる。窓を見るとパラパラと雨がぶつかってきていた。
そして電車を降りる。
やはり電車の外は雨が降っていることもあって寒かった。
改札口を通って外に出る。ドキドキする。
駅前はサーっと雨の音がするだけで静かだった。人はひとりも見かけない。腕時計を見るともう六時だった。
彼は急に立ち止まった。私もドキリとして立ち止まる。彼は振り返る。
「あのさ、北山さん。聞いて、もらいたいことがあるんだ」
こんにちは、まなつかです。
なんか話がよすぎますよね。すいません。
ですが、少女ものの小説には王道かと。
私もこんな風になりたいなぁ。
それではっ!




