12月25日 第十章「ゆうしょく」
あれからは何事もなく部活は終わりの時間を告げた。
私と青坂くんは二人して下校することにする。もうすでにあたりは暗くなり始めていた。
「あ、あのさ」
私は校門のあたりで勇気を振り絞って声をかける。
「ん? どうした?」
「ご、ご飯食べない?」
私は彼と一緒にご飯が食べたかったのだ。今も少しおなかが減っている。
「あぁ、いいね。マクドナルド?」
そこしかないの!? 男なんだからもう少し調べてよ!
「べ、別のところは?」
「モスバーガー」
何でハンバーガー系!? ファーストフードからいい加減離れようよ!
「あ、いや、せっかくのクリスマスなんだし」
「わかった! ケンタッキー!」
あぁ、もういいです。私が提案します。
「ファミレスにでも行く?」
「お、いいね」
彼は快く承諾してくれた。
私たちは校門を抜けて国道を歩く。歩いている人は少なかった。無言でいる私たちの耳にはお互いの息づかいと車の走る音だけが聞こえていた。
私は彼に少しだけくっついた。彼もそれを意識したらしく、そっと手を差し出す。私はその手をきゅっと握った。
空は、雨が降りそうだった。
「うわぁ、降ってきたねぇ」
彼がぼそりとつぶやく。私たちがファミレスに入ったとたんに雨が降り始め、すぐに本降りになったのだ。
私はおしぼりで手を拭きながら窓の外を見た。アスファルトの道路に雨が激しくたたきつけられている。私は少し不安感を覚えた。何故だろうか。
「おまたせいたしました~『北北西からきたカニグラタン』でございます」
ウエイターが料理を運んできた。いちいち長いそれは青坂くんが頼んだものだ。
「『あ』のお客様はこちらですね」
こっちは逆に短すぎるというか、適当すぎるというか。……何の料理かわからない。運ばれてきたのはパスタだったが。
「ん、この北北西から来たカニグラタンおいしい」
「いちいちフルネームで言うんだ」
彼はそのカニグラタンをさもおいしそうに食べていた。私も食べることにする。
「あ……」
「ん? どうしたの?」
私は食べようとして手を止めた。
「"あ"ってパスタで書かれてる」
「ほんとだ。すごい」
無駄にこったものだった。
「それで、どうする? これからは。雨降っちゃってるよね」
「そうだね……」
彼は少し考えるようにもぐもぐさせて、水を飲んでから答える。
「ラブh……」
「どるあぁあああ!」
私は彼に氷を投げつけた。何故かそのときだけは無駄に器用になって箸でつかんで投げたのだ。
「なんでいきなりそれ?」
男って、本当に変態の固まりね。
「だって僕、香澄のことが好きだし……」
「……」
これ以上彼にしゃべらせるとさすがにいろいろまずい。
「じゃ、じゃあさ」
「ん?」
「駅前のツリー見に行かない?」
「お、それいいな」
ふぅ……やっとこれで決まった。
私は最後の「あ」の字に切り取られたマカロニを食べて、口を拭いた。
「あ、今日は俺のおごりだから」
「え? いいの?」
何故か急にかっこつけたようにしゃべり出した。俺……って、いきなり?
彼はそのままレジに行くと、「親父~つけといてくれ~」って叫んでいた。
ははは……そういうことね。
こんにちは、まなつかです。
ノベルゲームのほう、着々と進んでいますが、またまたPC禁止になりそうです。
なる前に、もう一度体験版を公開したいと思いますが……。
それでは、また。




