12月24日 第一章「ゆめ」
=登場人物=
北山 香澄
高校2年生 吹奏楽部 クラリネット
青坂 裕太
高校2年生 吹奏楽部 クラリネット
川杉 愛美
高校2年生 吹奏楽部 クラリネット
山藤 佳奈
高校1年生 吹奏楽部 バスクラリネット
朝目を覚ます。
夢を見ていたのを鮮明に思い出す。
青坂くんの笑顔が鮮明に脳裏に映る。まだ心臓がドキドキする。こんなこと、いつ以来だろう。
私はまだ温もりの残っているベッドを名残り惜しく離れ、制服に着替えた。
ふと時計を見る。午前7時32分。12月24日だ。
「行ってきます」
私はまだ誰も起きていない家をあとにした。
今日はクリスマスイブかぁ……。
外に出る。冷たい空気が頬を刺すように風として当たってくる。
「うぅ……」
私はマフラーを口もとまで持っていった。こうすると少しは温かい。
いつもの道を歩く。学生は冬休みとはいえ、普通に仕事している人はこの時間に歩いているのが多い。私は北木刈市駅まで歩いていつもの改札口をくぐる。そして定刻通りの電車に乗った。
電車の窓から外を見る。近くのものは早く流れてゆき、遠くのものはゆっくりと流れていく。
「はぁ……」
溜息をつく。その溜息が窓ガラスに白い模様をつける。
ガタン
電車が揺れた。
「うごっ……!」
おでこを窓ガラスにぶつけてしまったようだ。
私は恥ずかしくなって降りる駅までずっと下を向いていた。
ティンローンティンローン
ドアが開く音がして私ははっと顔を上げる。その途端バンと頭をドアにぶつける。
「いっつつつつ……」
後ろの人が使えているので私はぶつけた頭を押さえながらさっさと降りた。
そして少し市街地から外れた方へと歩く。3分ほど歩くと、私が通う学校、木刈高校だ。
この高校は全校生徒600人程のごく普通の学校だ。
「おっはよーっ」
後ろから飛びついてきたのは私の親友の川杉愛美だ。
「ん、あぁ、おはよ」
「いやー、今日もかわいいねー」
「なっ、何いってんの?!」
彼女はどっかおかしい。女である私に対して恋愛感情を持っている。絶対にどうかしてる。
「なんか言った?」
「いや、何も……」
私は思っていることをついついぼそぼそとひとりで喋ってしまう癖があるらしい。そのせいで周りから少し引かれている。
「いやー、今日も部活なんてどうかしてるよねー」
彼女は青い空を見上げながらそう言った。
「そうだね」
今日はもう冬休みだ。それなのに私たち吹奏楽部員はアンコンが近いということもあり学校に来ているわけだ。
「本当だったら今日は彼氏とクリスマスイブを過ごすはずだったのになー」
「本当も何も彼氏なんて出来ないでしょ」
「あははー、そうだったね」
私は彼氏なんていらない。欲しくない。中学2年生の頃、ひどい振られ方をされてから……男子とは関わらなくなった。
――たったひとりを除いて。
「おはよう……」
あくびをしながら後ろから男子の声が聞こえる。――その人が私が唯一関わっている、男子だ。
「おはよう」
私はぼそぼそっと短く答える。
彼の名前は青坂祐太。同じ吹奏楽部で、今度やるアンサンブルコンクールで同じグループ。私と同じクラリネットをやっている。
……結構かっこよかったりする。
「かっこよかったりする?」
愛美が私の顔を覗き込んできた。やばっ、また独り言を……。
私は彼に聞こえていないか心配になって彼の方を見たが、先に下駄箱の方へと向かっていったようだった。
「なんか最近、香澄さーおかしいよね」
私はいつでもおかしいような気がする……。
「なんか、青坂くんの方ばっかり見てるよ?」
「えぇ……」
やっぱりわかってるんだ。私は顔が赤くなるのを感じた。
「いいよいいよ。何も言わないで」
そう言っているうちに下駄箱についた。私は靴を履き替える。
そして、部室へと向かった。
「今日もね、グループで練習してね」
顧問の先生の話があって私のグループのメンバーは割り当てられた理科室へと行く。
メンバーは私、北山香澄と青坂祐太くん、さっきの川杉愛美、そして後輩の山藤佳奈だ。
理科室のドアを開けて、そこら辺に譜面台を置く。そして机の上に置かれていた椅子を準備した。後ろからあとの3人がぞろぞろとやってくる。
「じゃあ、始めよ」
私は何故かリーダーに指名されてしまった。先生の気まぐれ……かな。
本当はひとりで困ってるけど、青坂くんが手伝ってくれる。優しい彼に私は恋をしてしまった。
「わーい! 隙あり!」
「ちょっと!」
愛美がまたもや抱きついてくる。
「わー、香澄あったかーい」
「ちょ、何いってんの!」
私たちががやがややっているのをみて後輩の佳奈が一言。
「百合……」
「そこぉおおお! 顔を赤らめて何いってんの!」
私は思わず叫んでしまった。絶対に違う! どうかしてるよ。
「まぁ、いいよ。始めよう」
落ち着いた口調で(顔を赤らめているのはスルー)青坂くんが言った。
演奏はなんとも言えない。うまくもなく、ヘタでもなく。平均的だった。だけど、やっているときは楽しい。青坂くんと吹いていると幸せな気持ちになれる。
「ここ、違うかな?」
演奏を止めて彼が私の隣にやってくる。このメンバーで実質一番うまいのは彼だ。
「え……? あ、うん」
肩と肩が触れ合う距離だ。私の心臓は張り裂けそうなくらいに脈を打っている。
――と、その時彼が楽譜に書きこもうとしたときに肩が触れる。
「ひゃぁあぁあぁあああ!」
「わっ! ごごごごめん!」
思わず悲鳴をあげてしまう。彼も驚いたように謝った。佳奈がニヤニヤしているのは気のせいだ。うん。
そんなこんなで練習は午前中で終わりを告げた。
こんばんは、まなつかです。
すいません、本当は今日完結予定だったのですがいろいろあって……。
出来れば今年中には完結させたいのでよろしくお願いします。
さて、内容について少し入らせていただきます。
今日、市駅に行って来ました。なんかネタになることがないかーと。
……思ったよりカップルが少なかったです。
イブがよかったかな……。
さて、それはともかく、今回の話は女子視点になっています。
若干百合が入っていますが……純愛です。
私は恋愛経験が薄いので妄想が半bげほんげほん
それでは、また。




