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【完結済】その人、聖女じゃなくて聖女『モドキ』ですよ?~選んだのは殿下ですので、あとはお好きにどうぞ~  作者: みなと


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【閑話休題】その頃、元・筆頭聖女は

「さぁて、今からおうちに帰りましょ~♪」


 謎の歌を歌いながら、るんるんとスキップをしているオフィーリア。

 そんな彼女の隣を飛んでいるリューリュ。


『アンタ、良い性格してるわ……』

「あらまぁ、魔獣からの誉め言葉?」

『嫌味よ!』

「あっはっは、知ってる~」

『このクソニンゲン……!』


 リューリュの嫌味もしれっとはねのけているオフィーリアは、とんでもなくメンタルが強い。

 あの王宮の中でしっかりと己を保ちつつ、しかし筆頭聖女という役割はこなし続けていた。ルークとの婚約関係だって、不仲にならないようにと気を遣っていたりもしたのだ。

 全て水の泡になってしまったけれど、そうしたのはルーク自身だし、オフィーリアは何一つ悪くないと自信を持って言えてしまう。


『ねぇ、アンタ普通に帰るの?』

「帰るけど?」

『普通に?』

「勿論!」


 普通に……とはいうものの、ここからオフィーリアの実家までは遠いんじゃないか? とリューリュは考えつつ、歩いているオフィーリアの隣を飛んでいる。

 オフィーリアの実家は王都から少し離れた場所にあり、徒歩で帰るような距離でもない。


『どうやって帰るのよ。このまま徒歩とかじゃないでしょ?』

「まぁ……そうね。とりあえず飛んで帰ろうかな、とは思ってる」


 ですよねぇ、とリューリュは内心呟いてから、オフィーリアの頭の上にぽふん、と着地して短い手でぺしぺしとオフィーリアの頭を叩いている。


『あのねぇ、帰る手段は用意しておきなさいよぉ! 大体、帰るのも急なんだってば!』

「お父さまから何か連絡って来てる?」

『まだだけど』

「まぁでも」


 頭の上のリューリュをわし、と掴んでからすっと意識を集中させるオフィーリア。

 そうすれば足元に魔法陣がふわりと展開し、するするとオフィーリアの背中に魔力が集中していき、魔力で翼を編み上げ、ふわりと浮き上がった。


『アンタこれ上級魔法!』

「ちまちま飛んでいくなんて、私らしくないでしょ?」

『だからってあのねぇ!』


 ぎゃんぎゃん騒ぐリューリュにずい、と顔を近づけて、凄味のある笑顔を向けたオフィーリアは、実家のある方向を向いて、リューリュを掴んでいない方の手で実家の方を指さした。


「ええいリューリュ、黙ってちょうだいな! せっかくフルパワーで魔法を使えるんだから、思いっきり行くわよ!」


 言い終わった瞬間、掴まれているとはいえリューリュを物凄い風圧が襲い掛かる。


『んぶっ!』

「言い忘れたけど、自分へのシールドは自分で展開してね?」


 オフィーリアをぎろりと睨んでから、リューリュは必死にシールドを展開し、ようやく話せるようになった! と言わんばかりにオフィーリアに詰め寄った。


『早く! 言いなさいよ! お馬鹿!』

「そのお馬鹿に本体を封印されて、今私に使役されている魔獣様はだーーれだ?」

『んぎいいい!』


 掌の中でびちびちと暴れまわるリューリュを見て楽しそうに笑うオフィーリアは、ぐんぐんと加速して流れていく景色を楽しそうに見ている。


『もうちょっと……ゆっくり……飛んだら?』

「えー?」


 嫌よ、と一刀両断したオフィーリアは、今あの王家から解放された喜びでいっぱいなのだ。

 しかも、筆頭聖女であった頃は常にティアラに魔力を注ぎ、結界の維持から魔獣退治のお手伝い、怪我人の治療。ありとあらゆる事柄を請け負い、更にはルークを立てるために色々な勉強だってしていた。

 そんな状態で全力で魔法を使うだなんてもっての外。

 普段、自分のことに関しては、物凄く些細な魔法しか使うことができなかった。


 それが今は全力で、思う存分魔法を使うことが出来るし、『遠慮』という言葉が不必要になるくらいに今とても楽しい思いをしている。

 こんなにも楽しい状況を手放すだなんてしてたまるか、と言わんばかりにオフィーリアはまた速度を上げた。


『んぎゃあああああああああああああああああああああああ』

「魔獣のくせに、もうちょっと耐えなさいよね~」


 シールドを展開しているとはいえ、風を切るというよりも、耳に襲い来るのは轟音としか言えないほどのとてつもない音の数々。

 空にはリューリュの悲鳴が響いており、いつの間にか『空がとても青い日には、奇妙な鳴き声が聞こえてくる』という言い伝えが通り過ぎた村々でできてしまったとか何とか。


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