表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハナちゃんのポンコツの恋  作者: ひろの
第一部 ポンコツのフクオカ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/31

第9話 反省会は必須です

翌日。


「おはよう、エルミナ!」


「おはようございます、ハナさん。」


「おはよう、フクオカ君。」


「おはようございます、フクオカ提督」


(ん?提督?戻ってる?え?あぁ。

 そうか、プライベートは別だよね、うんうん)


エルミナがじっとハナの方を見つめている。

それに気づいたハナが笑顔で頷いた。


(大成功だよっ!)


まるでアイコンタクトのようにエルミナも笑顔で頷く。


二人のやりとりに少し不思議な顔をしたフクオカ中将だったが、そのままハナのもとへ。


「提督、先日から承認待ちの書類が山積みになっています。」


「あ……、そっそうだね。急に気分が滅入ってきたよ。」


「僕の方で、優先順位別に仕分けておきました。優先度の高いものからお願いします。」


(フクオカ君、やっぱり仕事でも優しい、頼りになる、愛してる!)


「あと、こちらは委譲さえしていただければ、僕の方で決裁できるものです。」


山積みの書類の半分くらいが仕分けられている。


「い……いいの?」


「はい、少しでもフクオカ提督の負荷が減るのであれば、お任せください。」


(あぁぁん、優しい優しい好き優しい優しい優しい!)


「では、任せるわ、とても助かる。」


「はい、任せてください。」


そういうと半分ほどの決裁書類を持ち上げて、自分の執務室へと向かっていった。


「相変わらず、よく出来た男だな。」


フクオカ中将がいなくなったのを確認してから、エルミナがぼやきながら近づいてきた。


「えぇ、やっぱり素敵。最高。好き。」


「ハナさん、いつもは隠してるはずの心の声が漏れてますよ。気を付けないと他人に聞かれます。」


「!!」


慌てた顔して両手で口を押えるハナ。


「危ない危ない。で、エルミナには残りの半分を委譲したらいいのね?」


「え?いやですよ。ちゃんと仕事してください。それとも何か奢ってくれます?」


「……。今度エルミナのコーヒーにフクオカ君の爪の垢を混ぜとく。」


「やめてくださいよ、汚い!」


「汚くないっ!」


「はいはい、で、どうでした?」


「どうって?」


「昨日の話に決まってるじゃないですか。上手くいったんですよね?

 今日、すごく上機嫌だし!」


ハナが黙ったままニヤリと笑った。


「良かったですね。」


エルミナも我が事のように嬉しそうだ。


「で、聞いてもいいんですか?どこまで進展しました?」


「ん?進展?」


「はい、進展。」


(進展……したんだっけ?)


「キスしました?」


「ぷっ!!」


あまりに驚いて噴き出してしまい、顔を寄せてニヤニヤしていたエルミナに盛大に唾がかかる。


「いやっ汚い!!!唾を噴かないでください!!」


「ごっごめん。きっキスしてよかったの?」


「もう…汚いなぁ。

 えっと、キスしていいとか悪いとかじゃなくて、そういう雰囲気には?」


「なってない。いや、焼肉デートだと息が臭いじゃない?だから……」


「言い訳ですっ!何のためにブレスケア持ってかせたと思ってるんですか!

 はぁ……いや、まぁ予想通りです。大丈夫大丈夫。

 ハナさんにはハナさんのペースがありますからね。」


「……。」


「ハナさんらしくて逆に安心しました!で、何か1mmくらいは進展したんですよね?」


「うっ、うん。呼び方が変わった。」


「おぉ!!!それは30㎝位進展してますよ!やっとハナって呼んでもらえたんですね!!」


「フクオカさん」


「ん?」


「フクオカさんって」


「んん?」


「だからフクオカさんに変わったの!!!」


「………。0.5mmくらいしか進展してないじゃないですか!!」


「うぅぅ……やっぱりそうだよね。」


「他には?」


「手を………。手を繋いだ。」


「ほぉ、ハナさんから?フクオカの方から?」


「フクオカ君から。」


「ほぉ、それはそれで10cmくらいは進展しましたね。

 あの堅物が……。なるほど、なるほど。」


「人通りが多いから迷子になるって。」


「……。はい?」


「迷子になるからって手を握ってくれた。」


「………。2mmしか進展してないじゃないですか!!」


「………。何も進展してないの?」


「はい、率直に言います。何も進展していません。

 何やってるんですかぁ!」


「……。」


「まぁ、ハナさんが幸せな気分になれたんだったらそれはそれでいいんですけどね。」


「うん、幸せな気分だった。さっきまでは。」


「あぁ、ごめんごめん。せっかくの幸せ気分に水を差しちゃったね。」


「ぐすん……やっぱり、全然進展してないんだ……。」


「いや、ハナさんとあのフクオカだったら2.5mm進めば上々ですよ。」


「はぁ、次は頑張る。」


「次?」


「次の約束はしたよ。」


急にエルミナが明るい顔になる!


「オッケーです!進展してます!次の約束を取り付けたんだ?

 及第点です!ハナさん、合格合格!」


「え?そう?」


「はい、積み重ねです。次も反省会しますからねっ!」


「はい!恋参謀!!」


少し目を泳がせた後、エルミナが再びニヤリと笑ってハナに問いかけた。


「ハナさん、昨日のデート、笑顔が多かったですか?」


「うん、二人してずっと笑ってたよ。」


「自分らしく、心地よい会話は弾みました?」


「うん、もちろん。」


「時間の経過は早く感じられましたか?」


「うん、もっと一緒に居たかった。」


「オッケーです。なんか、ずっと見てきたせいで勘違いしちゃいましたが、そういえば、これ初デートですよね?」


「え?そうだけど。」


「だったら昨日のデートは100点満点です。ちゃんと次の約束も取り付けましたしね。

 次も頑張ってください。恋の百戦錬磨、エルミナ様の採点は正確無比です。」


「え?あ、うん!頑張る!次も頼むよ、エルミナ様!」



【あとがき】

『タイトル:提督の反省会日誌』


進展度、合計2.5mm!(でも、初デートとしては100点!?)


ハナです!昨日の焼肉デート(?)、最高でした!フクオカ君は相変わらず仕事もできて優しくて、もう終始デレデレでした。


しかし!恋の参謀長・エルミナによる厳正な反省会の結果、驚きの事実が発覚!


キス:なし(焼肉だから!...は言い訳認定)

呼び方:「提督」→「フクオカさん」(+0.5mm)

手繋ぎ:「迷子防止」(+2mm)


合計:わずか2.5mmの進展!?

正直、ショックでしたが、「初デートとしては100点」、そして**「次の約束を取り付けた」**というエルミナ様のお墨付きをもらって、ちょっと元気になりました!


...私らしいペースって、そういうことなのね。


よし、次は必ず進展させます!

フクオカ君が優しすぎるあまり、私のことを**「尊敬する上司」から「仲の良い同姓の友人」**くらいにしか思ってない可能性も…。


毎週日曜日 朝8時更新!


ご感想、スタンプ、「フクオカ君がハナさんをハナと呼ぶための魔法の言葉」など、どんな些細なものでも大歓迎です!

もしよろしければ、評価やブクマをお願い致します。

レッツログイン、ボタンぽんっ!


(ひろの)


ご感想やご意見、スタンプ、どんな些細なものでも大歓迎です。励みになります。

もしよろしければ、次の読者への道標に、評価やブクマをお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
亀ですねw だがそれがいい! 意外とすんなり次回の約束を取り付けたのは確かに驚きですね。 けっこう緊張するのにw 「汚くない!」の反論に笑いましたw恋って盲目。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ