表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハナちゃんのポンコツの恋  作者: ひろの
第二部 零七の奇跡

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/31

第22話 二度と失ってなるものか!

(時の流れ?運命?そんなのしらない!

 従ってやるもんですか!)


「エルミナっ!」


「は、はい!」


「本隊の指揮権を委譲します。

 本隊と右翼をまとめて指揮して!

 そして、あなたが今から左翼を狙う敵艦隊を包囲殲滅するの!」


「え?でも……。ハナちゃんは?」


「私の旗艦メルローニャは最新型の弩級戦艦。

 デュラスチール装甲を贅沢に使っているのは私の船だけ。

 そして初期型だけど発展型プラズマスラスターも搭載しているのもこの船だけ。

 亜光速最大船速はこの船が一番。」


「ハナちゃん、まさか!?ダメよ!危険すぎる!」


「何も言わずに従え!」


「え?」


「もう二度と失ってなるものか!」


「二度?」


「ううん、違うの。

 出来ることをせずに大事な人を失ったら、後悔しか残らない。

 そんなのは絶対にいや!」


「ハナちゃん………分かった!

 このエルミナ様に任せて!1秒でも早く追いかけるから!

 絶対にあいつら叩き潰してやる!」


エルミナは優しい顔でハナを見つめた。


「だけど一つだけ約束して。」


「え?」


「死ぬな!絶対に。どんな場面でも。諦めずに生きろ。

 私を置いて死ぬな!ばかもの!」


「……。ふふ。……セリフ、真似しないでよ。わかった!」


「じゃあ、行ってこい!」


「ありがとう、エルミナ。信じてるから。」


「うん、信じていいよ。エルミナ嘘つかない。」


「ふふ、任せた!」


エルミナはにっこり微笑んだあと、真面目な顔で全艦に号令を出した。


「本隊と右翼は左右に展開!

 焼き切れてもいい!最大船速で進め!

 敵を包囲して殲滅せよ!」


見届けたハナも指示を出した。


「船速が最速で防御が厚い本艦が左翼フクオカ中将を救出する!

 左翼前線まで最大船速で急行せよ!

 そして敵の攻撃の一部を引き受けて左翼の損耗を防げ!

 本体と右翼が包囲殲滅まで耐えきれ!」


・・・

・・


ハナの予想通り左翼艦隊は苦戦をしていた。

フクオカ中将の乗艦 戦艦ニャルローレッドはシールドが破られ装甲の至る所から炎が垣間見えた。


(フクオカ君!)


ハナの旗艦、弩級戦艦メルローニャがニャルローレッドと敵の間に無理やり割り込み、残りの攻撃を一切受け止めた。


フクオカからの通信が繋がる。


「てっ、提督!何してるんですか!?下がってください!」


「黙って言うことを聞く約束でしょ!フクオカ君こそ、そこから動くな!」


ハナがそう叫ぶと通信を強制切断して、着信拒否する。


「おそらくニャルローレッドが前に出ようとするはず。邪魔して前に出させるな!」


メルローニャは小刻みに動いてニャルローレッドの行く手を阻みつつ、盾となる。

シールドが打ち破られ、艦体に撃ち込まれたレーザーによって装甲がはじけ飛んでは爆発する。


炎上大破するメルローニャの艦橋近くにミサイルが直撃し、大きな爆発が発生した。

その衝撃でハナは壁に打ち付けられて負傷し、気を失った。


それと同時にエルミナが率いる本隊と右翼が到着、包囲が完成し、敵艦隊は殲滅された。


第7艦隊は完全に勝利した。

炎上大破するメルローニャも爆沈寸前で辛うじて持ちこたえた。


その時、この星系を取り囲んでいたジソリアン6艦隊から一斉にメッセージが届いた。


「ジゼジズ、ジジジズジジ、ゼゼゾゾズジジ」


このメッセージは絶えず繰り返された。そして6艦隊は静かに散開して、ジソリアン領へ向けて退却を開始した。第7艦隊は旗艦大破のため、ただそれを見送るしかなかった。


「ジゼジズ、ジジジズジジ、ゼゼゾゾズジジ」


万能翻訳機で訳す。


「勇者、敬意を表す、零七の奇跡」


・・・

・・


メルローニャはコロンニャ星系要塞に曳航されて無事帰還した。

この大勝利は通信施設修復と同時に本国へも伝えられ、ハナ大将は帝国内でも「零七の奇跡」の尊称を与えられることになった。


現在、第7艦隊はコロンニャ星系要塞内で修理を行っている。

もっとも提督のハナが入院しており、帝都へ帰ろうにも帰れなかった。


・・・

・・


ハナは集中治療を終えてようやく一般病棟へ移った。

すぐにフクオカとエルミナがハナの入院する病室にお見舞いに訪れた。


二人の姿を見てハナが目を輝かせて喜んだ。

思ったより元気そうだ。


「フクオカ君、エルミナ!!」


「フクオカ提督、お見舞いに来ましたよ。

 本当に無茶をして……。

 もし提督の身に何かあったら第7艦隊の将兵がどれほど危険に晒されるか考えてくださいよ。」


「……お見舞いにきていきなり説教?」


エルミナも説教に参加した。


「説教だってしたくなるわよ!

 もう、メルローニャのあの姿を見た時、私、心臓止まりかけたんだからね!

 ハナちゃん、みんなにどれほど心配かけたと思ってるのよ!」


「ごめん……。」


「それに提督。僕だって中将です。

 そこそこ良い戦艦を貰ってます。

 提督が頑張らなくてもきっと耐えましたよ。

 本当に無茶しないで下さい。」


一方的に責められて不服そうにしていた、ハナが爆発する。


「………仕方ないじゃない!

 フクオカ君が死んじゃうと思ったんだもん。

 そうしたら頭の中がどうしようもなくて。

 それに、こうでもしないと君みたいなポンコツは、私の気持ちに全然気づいてくれないじゃない!!」


フクオカの表情がくるくると変わる。怒り、悲しさ、呆れ。そして再び冷静なフクオカに戻る。


「僕の気持ちも知らないで。

 僕もエルミナ同様、心臓が止まるかと思いました。

 フクオカさんを失ってしまうんじゃないかって。」


少し間をおいて、フクオカがいつもと違う顔つきでハナに向けて畳みかける。


「はぁ……。やれやれ……。

 ポンコツにポンコツ呼ばわりされてしまいました。

 提督、いや、フクオカさん。

 あなた、あんなに露骨な態度を示していて、相手が気付かないとでも思ったんですか?

 本当に謎です。どれだけポンコツなんですか!

 僕はいつも鉄の意志で突っぱねていただけです。」


ハナとエルミナがびっくりした表情で固まる。


「なんで?って顔してますね。

 本当にポンコツですね。

 僕も男ですよ。

 好きな人の下ではなく横に並びたいじゃないですか。」


ハナの頭からまるで湯気が立つように脳味噌が沸騰している。

エルミナは驚きとニヤニヤが止まらない。


「あーそうそう。今回のお礼はまた焼肉で良いですか?

 ドレスコードはなしです。僕は騙しません。

 それに何だったら食事の3時間前に待ち合わせて、買い物に付き合ってもいいですよ。」


そして、いつもの優しいフクオカの顔に戻った。


「何でも言うことを聞かせる券、今使っていいですか?」


ハナは何も理解できていないが「うんうん」と首を縦に振る。


「……頭が付いて行ってない顔してますね?

 僕のお願いは……


 ”僕が大将になるまで待ってくれますか?”


 です。」


「ひゃ……ひゃい……待ちまふゅ……」


挿絵(By みてみん)


ハナは顔を真っ赤にして噛み噛みで答えた。

そのまま布団に頭から潜り込んで動かなくなった。


エルミナがフクオカに近づいて耳元で囁いた。


「やるな、フクオカ、サイコー。私も泣けてきちゃった。

 えっと……ハナちゃんの薬指のサイズ教えてあげるよ。

 代金として、リゾート地のメニャドゥの別荘を買って?」


「無茶いうな」


フクオカがエルミナの頭をコツいた。

【あとがき】

『タイトル:提督のプロポーズ成就日誌』


ギャアアアアア!!横に並びたい!!


ハナです!宇宙軍大将、勝利しました!未来改変、大成功です!


フクオカ君とエルミナの命を守りきり、「零七の奇跡」という最高の尊称をいただきました!命懸けでメルローニャを盾にした甲斐がありました!


そして…そして!フクオカ君の最高の告白を聞いて、私の脳味噌は今も沸騰中です!


「ポンコツ」の真実:「鈍感なポンコツ」ではなく、「好きな人の下ではなく横に並びたい」という鉄の意志を持った、宇宙最強の策士でした!


「願い」の行方:命を救った報酬は、まさかの「僕が大将になるまで待ってくれますか?」という、愛とプライドが詰まった、最高のプロポーズ!


「ひゃ・・ひゃい・・待ちまふゅ・・」 — これが、銀河帝国宇宙軍大将のプロポーズへの返事です。(布団に潜って動けないのは、大将としての威厳を保つためではありません!感動と羞恥心でバグっているだけです!)


これで、二人の恋は「両思い」となりました!この後、ハナとフクオカはどんな恋人期間を過ごすのでしょうか?そして、エルミナ参謀長は、メニャドゥの別荘を手に入れられるのでしょうか!?


そして次話からは少し変化します。最大の焦らしと共にラブストーリーでは珍しい構成です。

ですが、きっと喜んでもらえるかと。お楽しみに。


完結に向けて疾走、毎日 朝8時更新です!


ご感想、スタンプ、**「フクオカ君が本当に大将になるのか?」の予想、そしてハナがフクオカを「名前で呼ぶ」**日は来るのかなど、どんな些細なものでも大歓迎です! もしよろしければ、評価やブクマをお願い致します。 レッツログイン、ボタンぽんっ!


(ひろの)


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

もし「いいな」と思って頂けましたら、ブックマークや『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

ご感想やご意見、スタンプ、どんな些細なものでも大歓迎です。励みになります。

もしよろしければ、次の読者への道標に、評価やブクマをお願い致します。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


『作者子ちゃんからのお礼あとがき』

挿絵(By みてみん)

ここまで読み進めていただき、ありがとうございます。

最近のWEB小説は起承転結ではなく、結起承転結、転起承転結、あるいは結結な物語しか受けない傾向があります。

私の作品は紛れもなく起承転結、古典です。

最初の10話は「起」であるため、あまりインパクトはないです。

このトレンドに逆らっているので、WEB小説としては、異端かもしれません。

そんな中、ここまで読み進めて下さった読者様は、本当に私の心の支えです。

ありがとうございました。


私としては無理な構成を組むよりは、綺麗な起承転結にこだわりたいと思い、マイノリティの道を歩む覚悟を決めました。

なかなかPVも増えず、心折れかけますが、こうやってここまで応援していただける読者様のおかげで続けることが出来ました。

残り10話ほどではありますが、引き続きお支えくださいますよう、よろしくお願いいたします。


そして、今後より多くの読者様にもこの物語を認識していただくために、レビュー、感想、ブックマークを実施いただけたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
綺麗なプロポーズでしたね。 プレプロポーズなのかな? 作者子ちゃんが登場してびっくりしました(笑) でもおっしゃる通り、綺麗な起承転結だったと思います。 残り10話ほど、応援しています。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ