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ハナちゃんのポンコツの恋  作者: ひろの
第一部 ポンコツのフクオカ

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11/31

第11話 ハナ、強い覚悟を持て!

別の日。


ハナの執務室に再びエルミナが訪れ、打ち合わせテーブルでクッキーを食べている。


「ねぇ、エルミナ。サボらずに仕事してよ。」


「あ!しまった。そうですね。ハナさんの部屋に置いてあるお菓子って上等すぎて止まらないんです。」


「……持って帰って良いから仕事して。」


「ありがとうございます。持って帰りますが、もう少しサボります。」


「………。」


「ハナさん、デートのこと。どう考えてますか?」


「え?デート?えーっと。あーっと。そのぉ。あー。」


「何も考えてませんよね!!」


「うぅ・・・。」


「状況が変わったことは分かりますよね?」


「何の?」


「”何でも言うことを聞かせる券”の存在です。」


急に顔が真っ赤になるハナ。猫耳がピクピク動く。


「ふふ、さすがに、ハナさんもこの事実には期待せざるをえませんね。」


「うん、何を言われるんだろう、あードキドキする。

 絶対次のデートで使ってくるよね?!負けてよかったー!!」


「はい、私も最初『あの堅物!何、勝ってるのよ!ばかやろー!

 ハナさんの恋路を邪魔すんな!』って正直に思いました。」


「エルミナ、酷い、フクオカ君を悪く言っちゃダメ。」


「あー、はいはい。でも、あいつも男でしたね。

 保留か。良い判断だ!

 なかなかやる!ちなみに、ハナさんは何を要求されると思ってるんですか?」


「えっと……。例えば……。『名前で呼んでいい?』とか『チューしていい?』とか。」


エルミナが顔をしかめた。


「はぁ?」


「え?」


「名前呼びとかチューとか。中学生ですか!!」


「え…?」


「そんなの何でも言うことを聞かせる券なくても次回か次々回には果たせてますってば!」


「そっそうなの?じゃあ、何?」


「ハナさん、27ですよね?あいつもです。となると?」


「となると?」


「いや、分からないんですか?!」


「分からない。」


「あのクールなフクオカがあれだけ、ゲームに熱くなったんですよ?

 男があれだけモチベを持つと言ったら一つでしょう!!」


「分からない。」


「はぁ…。ハナさんらしくて安心しました。

 一つだけヒントをあげます。」


ハナの執務室から高級そうなチョコレートボックスも手に取る。


「ヒント代にこれも貰っていきますね。」


「……。何?あげるから教えて。」


「その日、一番可愛くて新品の勝負下着を着て行って下さい。」


「は?勝負下着って……何?」


「家帰ってから自分で調べてください。」


「んん??」


・・・

・・


翌日早朝。


「エルミナぁ!!!!おいエルミナぁ!!!」


「はい、なんですか?人を早朝から呼び出して緊急事態ですか?(棒読み)」


「あれって……あれって……。」


「あー、調べました?そうです。あれです。覚悟して行ってきてください。」


「待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て、そういうのはそういうのはそういうのは結婚してからであって、普通はそういうことはよくないのであって、おかしいおかしいおかしい。」


「ハナさん、途中で息継ぎしないと窒息しますよ。小学生ですか?」


「はぁはぁ。それって本当?どうしたらいいどうしたらいい?」


「いつも通りのハナさんでいればいいんですよ。」


「い…い…い…い…い…い…い…い…つも通り?」


「そうです。そりゃ恥ずかしいでしょうけど、ちょうどいいじゃないですか。

 何でも言うことを聞かせる券のせいにして、素直についていってください。」


「あがががががががががががががが」


猫耳がペタンペタンと開閉して顎が震えている。


「ぷっ。とにかく頑張ってください。既成事実を作って侯爵家に責任を取らせましょう!」


「お…お…お…お…おう!」


「でも、まずは落ち着きましょう。3日後、具体的な作戦会議です。

 大丈夫、落ち着きますよ。3日もそのテンション無理ですよね?ぷぷぷ。」


「りょ・・・りょ。」


「はいはい、早朝から呼び出されたので、この洋菓子ボックス貰っていきますね。」


・・・

・・


3日後


「ハナさん、少しは落ち着きましたか?」


「押忍っ!」


「よろしい。覚悟も決めたようですね。」


「押忍っ!」


「では具体的な作戦を立案します。今回は高度な心理戦です。」


「おぉぉ・・。」


「まず、セレニャールのニャオンモール内のカジュアルイタリアンレストラン ”ニャパスタ”に17時に待ち合わせです。」


「了解、今回も庶民的な所に行くんだね?」


「否っ!待ち合わせた場所の店に入ると思いますが、違うんです。

 心理戦って言ったでしょう?」


「というと?」


「予約は20時、ニャオンモール隣のニャルトンホテルの最上階のVIP用の”ニャレスター”に予約を取ります。」


「はっ、はい。」


「当然、ドレスコードはとても厳しいです。

 ですが、彼はニャパスタに騙されて、ドレスコードを守れないでしょう。」


「なんと卑劣な!それじゃ、フクオカ君に恥をかかせちゃう。」


「馬鹿おっしゃいますな!

 何のために予約より3時間も前に待ち合わせをしていると思ってるんですか!?

 ニャルトンの地上5階分に何があるか?」


「デ・・・デパート!?」


「そうです。ここでハナさんがフクオカのために服を選んであげるんです。

 ハナさん、センスいいので、素敵な衣装を選んであげることが出来ます。

 つまり―――さりげない買い物デートの追加です!」


「かかかか…買い物デート。なんて策士なの!?」


「そして、遅めの食事。

 ニャレスターならハナさんだったら口を利いてもらえますよね?

 コースの出方をさりげない程度にゆっくりにしてもらうのです。

 その間は話が弾む上に。」


「弾む上に?」


「夜が遅くなります。フクオカはハナさんを持ち帰りたくて仕方がない。

 だが、あいつはポンコツ。背中を押す何かが必要です!

 さりげなく、そのお膳立てです。」


「もももももももももも、………お持ち帰り……される?!」


「はい、これが恋参謀エルミナ様の渾身の策略です。」


「こほん、恋参謀、採用します。」


(きゃああああああ!!!!お持ち帰りされるされるされるされるぅぅぅ)


「ハナさん、あなたにできますか?」


「できるか、できないかじゃない。やるか、やらないかだ。やるぅっ!!」


「よく言いました!」


「ありがとう、エルミナ。あなたがここまで恋策士だとは思っていなかった。」


「言ったでしょう?百戦錬磨だって。」


「うんうん、エルミナ、これ持って行って。これも。これもこれもこれも。」


「おー、美味しそうなものばかり。いただきますっ!」


(ダメだダメだダメだ。成功する未来しか見えない!

 遂に、遂に私も大人の階段を上る……。)


「あっ。そうそう。勝負下着は選びましたか?」


「うん、これとこれとこれ。どれがいい?」


「しいて言うならこれです。

 ですが、その3つではなく、これにしましょう。」


「ななななな…こんなえっちぃなので良いの?

 こっこっこっ、これ、隠す気ある?」


「はい、大丈夫。多分ですが、奴はムッツリです。」


「ふっフクオカ君、ムッツリ。」


「でも……ちょっと恥ずかしい。」


「……。ま、そうですね。やっぱり最初のこれにしましょう。

 あいつ、初心だから鼻血で失神とか面白イベント起こしかねないので。」


「……。まぁ、ありうるかも。」


「これなら清楚でハナさんに合います。

 頑張って大人の階段を上り切ってください!」


「うん!!」


この時、フクオカは野生の勘で悪寒が走ったという。


挿絵(By みてみん)

【あとがき】

『タイトル:提督の「押忍!」日誌』


押忍!恋参謀、覚悟を決めました!


ハナです!「何でも願いを叶える券」の正体が**「お持ち帰り」**の権利かもしれないと知って、私の猫耳はペタンペタン、大混乱!


しかし!百戦錬磨の恋参謀・エルミナが本気を出しました!


待ち合わせから3時間前倒しで**「さりげない買い物デート」**を追加!


高級ホテルの最上階VIP席を予約!


食事をゆっくりにして**「夜が遅くなるお膳立て」**!


もう、成功する未来しか見えません!

「やるかやらないかだ。やるぅっ!」と宣言したハナ大将、可愛くて清楚な勝負下着も準備万端です!(鼻血で失神するフクオカ君も見たい気もしましたが...)


さて、全てはお膳立てされました。

フクオカ君が勝ち取った**「願い」とは何なのか?

そして、ハナ大将は、この完璧な策略で大人の階段**を無事に上り切れるのか!?


次回、遂にこの物語で最も重要な**「お持ち帰り作戦」**の火蓋が切られます!


毎週、日木  朝8時更新!


ご感想、スタンプ、「フクオカ君の悪寒は誰のせい?」など、どんな些細なものでも大歓迎です!

もしよろしければ、次の読者への道標に、評価やブクマをお願い致します。

レッツログイン、ボタンぽんっ!


(ひろの)

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― 新着の感想 ―
いやいやいやいやいやいやいやいやないでしょう。 絶対面白がってたきつけてますよね、エルミナ。 でもそんな彼女が大好きですw それを信じ込むハナさんの小学生ぶりにわたしの耳もペタンペタンしそうですw
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