私のエゴだよ
はあ~まったく、ため息しかでない。
何て事だ。子猫のせいだったなんて…
子猫に怒っても無駄だしなあ~
「先程、広間 で君に謝ったのは、本心だよ。戻してあげられない代わりに、出来ることはするつもりだ」
「出来無いこともして下さい。」
「....」
無言にならないで。
「鑑定したら、君にもちゃんとスキルがついていた。スキルのことは、まだ謎が多く、どうしてつくのか、どう使うかもあまり解明されていない。わかっているのは、ほんの一部に過ぎない。君が持っているスキルは、二つ。鑑定とクリーンだ。鑑定はまず持つ者が少ないスキルだ。だから持っていると便利な反面、利用されて狙われる恐れがある。隠しておく方が身のためだ。クリーンというのは、見たことが無い。スキルはその者の性質を反映することが多い。何か心当たりはないか?」
う~ん、?クリーン、クリーン
キレイ、掃除!
「あ!私、キレイ好きなんです。趣味が掃除で、時間があると何処か掃除しちゃうぐらい、そのせいかなあ。」
「そうかもしれないな。発動するのに他人は関係無さそうだ。」
「どうすれば使えるんですか?」
「鑑定の場合は、鑑定したいものをじっと見ればいいだけだ。」
「簡単ですね。じゃ、クリーンていうのもキレイにしたい物を見ればいいんですか?」
「スキルは、発動した後の様子を頭で描く必要がある。もしクリーンが掃除のスキルであれば、先にキレイになった状態を描く事だ。但し、スキルを使うには魔力が必要だが、君の魔力の量は少ない、使う時は十分気をつけることだ。」
「ええ?魔力?私、魔力があるんですか?凄い、面白い!私の世界には魔力なんて無いんで。」
「ここに来たことによって、体が変化したのだろう。私は、君には利用出来るスキルがないとあそこで言った。だから君を狙う者は、今のところいないだろう。たが愚かな者は、どこにでもいる。なるべく早くこの国を出た方がいい。」
「私に利用価値がないと周りに思わせて守ってくれたんですね。」
「ミールが選んだ人だからね。当然だ。後君について伝えておくことは、その黒い袋。異次元にまだ繋がっている。此方からは何も出来ないが、向こうのものは、取り出すことが出来る筈だ。しかし、無理やり開けたものだ。時間と共に塞がる筈だ。今、私が塞ぐ事が出来るが、どうする?」
ええ?!穴が開いてるの!恐いけど、
上手く使えばいいんじゃない?う~ん、どうしよう?まあほっといても閉じるならまいっか!
「あのそのままでいいです。」
「そうか。話が長くなってしまったな。これからは君のこれからの話をしよう。私は、夜明けにはもうこの世にはいない。君を助けることは出来ない。この国の南側にガタール国がある。大きな国で身分制度もそんなに厳しくはなく、異国のものにも寛容で住みやすい国だ。そこに向かうといい。
護衛はつけてあげることは出来ない。
戻って来たら国がなくなっているからね。だから、君が使えそうな魔法を教える。結界魔法だ。物理的な攻撃を防ぐものだ。分厚いものは長時間はもたない。本当に危ない時に使えばいい。
後、変身魔法だ。姿を変えるというより、相手の認識を阻害するんだ。
君の気配を消したり、声を低くしたり、色々出来る。そしてガタール国で
一年ぐらいは暮らせるお金を渡す。後はこの部屋にある役に立ちそうな魔道具を持っていけばいい。」
「どうして、そこまでしてくれるんですか?」
アンドレアは優しく微笑んだ。
「私は、誰も救えなかった。
最後に君を守ることで自分を許したいんだ。私のエゴだよ。」