人の為ならず
「この国に相応しい者?」
「ああ、上手くいったよ。あの三人とも鑑定したらクズだったからな。
若い男は、彼女に子供を中絶させていた。若い女は、同級生をいじめて自死させて楽しんでる。中年の男は、外では気の弱い振りをしているが、家族に暴力を奮っている。救いようがないクズだ。」
「じゃ、あのスキルは、聖剣や聖女や魔法使いは、嘘なの?」
「嘘じゃない。確かにあの者達は努力すれば持ってるスキルを使うことが出来る。スキルを使うにも、そのスキルによって発動する条件が違う。
あの者達のスキルは、他人を助けたいと想う心の強さに関係する。自分のことだけには使えないんだ。あの者達は、危なくなったら、真っ先に逃げ出すだろう。発動することはない。たとえ持っていても使えなければ、持っていないと同じだ。魔方陣は壊した。この国と滅びるのか、余所に行って生き延びるのか、自分達で決めるだろう。
人にしたことは、全て自分に戻ってくる。人は生きたように死んでいくものだ。」
「じゃ、私は、私もそんな理由でここに連れてこられたの?」
「君は違う。君のことを話す前に呼ばないといけないな。ミール出ておいで。」
アンドレアがそう呼び掛けると、私の足元から酷く汚れた白い子猫が現れた。
?!この子猫は、!
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うーさぶい!今日は買い物に行かなきゃなあ。厚いダウンを着て、ジーンズに毛糸の帽子をかぶり、モコモコのブーツを履いて、黒のリュックを背負いアパートを出た。引っ越したばかりの部屋には殆ど物がない。まず、食器やフライパンに調味料と食べ物は買わないと、あとは、まあスーパーに行ってから考えよう。
結構買ったなあ…
二時間後、両手にパンパンの買い物袋を提げて家に帰ろうと道を歩いていたら、目の前に汚れた白い子猫が現れた。ええ?!どっから?いきなり現れたよね!ええ?!ちょっと何で倒れるの?
私の足元に倒れた。う~ん私、動物が苦手なんだよね…人間もだけど、コミ障だし、、
でも目の前の子猫を見ない振り出来る程、血も涙もない訳じゃない。ちょっとはある。
何か、子猫が、食べられる様なもの何かあったかなあ…買い物袋の中を探していると、強い光に包まれた。
現在に至る。
子猫も巻き込まれてしまったのか…可哀想に…?!
今この人、子猫を名前で呼んだよね!
子猫の飼い主?
アンドレアが呼ぶと、子猫はヨタヨタと近づいて行った。子猫を抱きかかえて優しく撫でると、汚なかった子猫が真っ白になった。子猫は、安心したような安らかな顔で寝てしまった。
「この子は、ナタリアが大事にしていた猫なんだ。この子だけは守りたくて、この子が、安心して暮らせる場所を意図して、ここから送り出したんだが、君を連れて戻って来てしまった
よ。すまないね。」
「ええ?!じゃ、私はこの子猫のせいでここに!」
「そうなるね。私が召喚したのは、あの三人だけだ。