普通の人
正面の少し高い所に、国王と王妃がいた。国王は40代ぐらいで気が弱そうだ。王妃は同じ40代ぐらいで性格がきつそうな美人だ。これは王妃の尻に敷かれてそうだ。
私達の前に、一人の男が現れた。
長身の20代ぐらいのイケメンだ。金髪で目は緑色だ。ローブを羽織っている。
「ようこそ、ザナンダ王国に。今この国は、滅亡の危機にある!そなた達の力でこの国を救ってもらいたい!」
男の声はよく響いた。周りはシーンとなった。
「まず、鑑定をさせてくれ。」
男は、大きな水晶玉をとりだした。
男子高校生が、手をかざすと。一瞬光った。
「聖剣、勇者!」男が叫ぶと歓声があがる。次に女子高校生が、手をかざす
「光りの聖女だ!」
男がまた叫ぶ。歓声がさらに大きくなる。次にサラリーマンの前にやって来た。サラリーマンが手をかざす。
「炎の魔術師」と男が叫ぶ。
三人とも嬉しそうだ。
最後に私の前にイケメンがやって来た。ここで手をかざさない選択はできるのか?聖女も勇者も魔術師も出たら後は何かあるかあ…
手をかざすのを迷っていると、イケメンがズイッと水晶を出してくる。無言の厚が凄い。
仕方なく手をかざすと一瞬光った。
イケメンが水晶を覗き込む。
「、、、」
イケメンが私をじっとみてくる。
え、なに、恋の予感?私もイケメンをじっと見る。
イケメンがまた水晶を覗き込む。私もついでに覗き込んだ。けど何にも見えない。
イケメンが、大きなため息をはいた。そしてポツリと呟いた。
「普通の人、その他」
普通の人?その他?何だそれ?
「ぷ!アハハ」
女子高校生が、笑い出した。つられて男子高校生も笑い出す。サラリーマンは、苦笑いしている。
まずい!まずい!どうする
周りもザワザワし始めた。
「普通って何だ」
「さあ?」
ザワザワ、ザワザワザワ、
消えたい!逃げるか?どこへ
私が冷や汗だらだらしていると
イケメンが、国王の方へ振り向いて
「以上です。直ぐに出発の準備を!」と叫んだ。
国王も「召喚してすぐで申し訳ないが、危機が迫っている。この国を救ってくれ。頼む。」国王は、すぐに席をたって広間から出て行った。騎士達も私以外の三人を連れて出て行った。
残ったのは、私とイケメンと数人のローブを羽織った男達だった。
私、ヤバくない?