訳あり勇者 3話 俺って悪いやつだよね…
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に入ってみると、中には老人が一人いた。
クレド『ただいま爺ちゃん!』
老人『帰ってきたか…何処に行っていた?』
クレド『ちょっとした人探しさ』
老人『人探し……?普段外を出ないお前が何故…?』
クレド『俺が今日から一緒に旅に出る仲間…だな!だから今日からトリストはここに住んで貰うぜ!』
トリスト『はい!?』
老人『名前はトリストと言うのか』
????
トリスト『あの…旅に出るって…何のですか…?』
クレド『魔王を倒す旅』
トリスト『』
クレド『うわー!!!ごめんって!!ちょっと待ってくれ!!』
老人『クレド…お前は昔から人と話すのが下手過ぎるぞ…本当に申し訳無いのう、トリスト殿…』
トリスト『大丈夫です…あの…魔王を倒す旅って一体…?』
クレド『単刀直入に言うと魔王退治』
老人『クレド』
クレド『をするのに仲間がいるんだ、だからこれから行く所が無いのなら俺と冒険者にならないか?』
え…冒険者なんて…自分には戦闘経験なんて無いし、ましてや喧嘩もした事なんて…
トリスト『でも冒険者になるって事は魔物とも戦う事になるんですよね?自分…戦闘経験なんてありません…』
クレド『それに関しては俺が剣術を教えてやるよ』
トリスト『え!?』
老人『なに…!?あのいつも面倒くさがり屋で人に合う事すらままならないクレドが…人に剣術を…!?儂は夢でも見ているのか!?』
おいジジイ
クレド『俺の教える剣術を少しでも覚える事が出来れば、通常の魔物は倒せる筈だ。後はお前が魔物と戦う根性さえあれば…だな』
ベリテさんの言う通り、この人は僕の助けになりそうだ。本当に何者なんだろう、いやあの人自分の事魔族とか言ってたけど…
トリスト『あの、一つ質問しても良いですか?』
クレド『んー?なんだ?』
トリスト『魔族と魔物って何が違うんですか?』
クレド『魔族と魔物は…簡単に言うと知性があるかどうかだな。知性が無ぇ奴が魔物、悪いヤツには変わりは無ぇけどなー。』
トリスト『なるほど…教えて下さってありがとうございます。』
悪い奴には変わりは無い…本当にそうなのかな…?確かに信用出来る訳では無いけど、少なくともベリテさんは悪い魔族には見えなかった……………………………
クレド『取り敢えず今日はもう休め、剣術は明日から教えてやるよ』
老人『確か部屋が1つ空いとった筈じゃ、そこを使うと良い。』
トリスト『あの…!』
老人&クレド『ん?』
トリスト『本当にありがとうございます…!!見ず知らずの自分にここまでやってくださって…本当にありがとうございます…!』
老人&クレド『…………………へへ』
とっても嬉しそうだ。自分もなんだか嬉しくなる…
今日一日色々な事があって凄く疲れた…攫われて…魔族に助けて貰って…街に転送されて…剣士探して…その剣士が変な人だけど何も無い自分に住む所をくれた凄く良い人で…本当に色々な事があった…そう考えている間に…とても眠く…
一日後
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トリスト『おはようございます』
老人『おぉ、目が覚めたか、寝心地はどうだったかね?』
トリスト『えぇ、凄く良かったです!あの…クレドさんは何処に?』
老人『クレドなら……墓参りに行ったよ。会いに行ったらどうだい?』
そう言うとお爺さんは場所を教えてくれた。
トリスト『ありがとうございます。行ってみますね。』
老人『トリスト殿』
トリスト『はい?』
老人『クレドは昨日あんたが寝た後、とても喜んでいたぞ。初めてのダチが出来たー!わーい!!って言っておったわ…あ!これはクレドには【内緒】じゃぞ?』
トリスト『クレドさんがそんな事を!?初めてのダチ……』
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???『今日から俺とあんたはダチだぜ!俺の初めてのダチだ!これからも一緒に頑張ろうな!』
???『私達は友達でしょ!辛い事があってもこれから一緒に頑張るの!!』
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トリスト『………!!!!!』
老人『ど、どうした!?』
トリスト『い、いえ…大丈夫です…少し頭痛が…』
老人『無理はするな…トリスト殿に何があったのかは知らんが、それぐらい凄く疲れていたんだろう…無理は本当にするでないぞ…』
トリスト『ありがとうございます…恐らく疲れていたんだと思います。ではクレドさんの方へ行ってきます。』
老人『気を付けて行くんだぞ!』
こうしてトリストは、クレドのお爺さんが教えてくれた道を進んで行き、例の場所に着く事が出来た…そこにはクレドと2つの墓があった。
クレド『…………………………』
そこにはクレドが2つのお墓に黙祷を捧げていた。
昨日まであんなにテンションの高かったクレドがここまで静かだと、なんだか凄く不思議な気持ちになる。
トリスト『……………………………』
今はそっとしておこう…一人にさせた方が絶対に良い気がす
クレド『ん?居たのかトリスト』
トリスト『え!?ちょ…はい!?』
クレド『はは!おいおい、足音で分かったぜ!ビビり過ぎだっての!』
クレドは大笑いした。自分をバカにしたような笑い、だけど…何故か心底凄く安心だった。さっきまでのクレドはなんだかとても悲しそうだったから…
クレド『ここは、俺の大切な場所なんだ。過去と同じ事を起こさないように思い出させる場所でもあるんだ。』
トリスト『過去と同じ事…?』
クレド『……………』
クレドはしばらく沈黙した後、話し始めた。
クレド『俺の両親さ、殺されたんだ。しかも一番殺されたくない奴に…さ。』
トリスト『え?』
クレド『町の人達も助けを求めていたのに、その時の俺は何も出来なかった。ただ逃げる事しか出来なかったんだ。今でも思い出すんだ、人々の悲鳴が。大切な人を失い、泣いている人達の声が。』
トリスト『……………………』
クレド『俺って酷い奴だよなあ』
トリスト『そんな事ありません!!』
クレド『え?』
(クレドは昨日あんたが寝た後、とても喜んでいたぞ。初めてのダチが出来たー!わーい!!って言っておったわ…)
トリスト『確かにクレドさんは変な人ですけど…行き先も無く…クレドさんからしたら素性の分からない自分に明るく接してくれて、友達って言ってくれたんです…!その…過去の事は忘れられないかもしれませんが、少なくとも自分はクレドさんの事を酷い奴なんて思っていません!』
クレド『トリスト……………はは…!お前って本当に良い奴なんだな!まぁ俺の事は心配するなって!』
クレドの顔がますます笑顔になる。
クレド『そういえばなんで俺がお前の事【ダチ】って言った事を知ってるんだ?俺お前に言った事ないよな?』
トリスト『あ』
老人(…これはクレドには【内緒】じゃぞ?)
トリスト(お爺さん本当にごめん。)