サヨナラの朝
目が覚めた朝
今日はサヨナラの朝。
隣にはもう、
愛しい君の温かさはない
並んだコップ
テーブルの上には
君が最後に用意してくれた朝食
一枚だけのトースト
一枚だけの白いお皿
ふと、寂しさが込み上げてくるけど
僕はグッと我慢する
ガチャ
そんなときに聞こえたドアの音
いないはずの君が
まだ僕のテリトリーにいる証拠
僕は慌てた
急いで、君がいるドアへと走った
出ていこうとする君
必死に見れたのは
寂しそうな君の後ろ姿だけ
僕の存在に気付きながらも
君は無視して外へと出た
サヨナラするのはわかってる。
このサヨナラは止められないことも
もちろん、わかってるよ。
だけど、
だけど、最後に一言だけ
一言だけ言わせてくれっ!
一瞬、少し振り返った
黒い綺麗なショートヘアがかかる
君の小さな肩に
僕の重たい一言
出ていこうとする君にとって
鎖になってしまう最後の一言
「またね」
僕は引きつった笑顔で
君を見送った。