急な訪問
「……おい、どうしてこうなってんだよ……。」
「僕だってわからないよ……というか、説明も急だったし。」
「まさかこんな事になるなんてね……流石に予想外だわ。」
「さ、流石にアタクシも緊張してきましたわ……ベルナ様とはお付き合いがありますけど、今回は初対面ですし……。」
私達は、ひそひそと話していた。
というのも、今回は流石に予想外の事が起こってしまったからだ。
何故なら……今、私達は……。
このインフロールの王城、ルスフロル城に来ているのだ。
事の発端は、第二回会議からまだあまり時間が経っていない数日が経った日であった。
その日はジュビア先生がやけに遅いな、と思っていたら、ベルナと先生は共に来たのであった。
その日、部室に来たベルナは、来て早々こう言った。
「皆に、大事な……話が、ある……。」
「ん?んだ急に?」
「何かあったのかい?」
はて、何であろうか、と思って私達はベルナの方を見た。
ベルナは、私達を見まわしながら、大きく息を吸って深呼吸し、その内容を言った。
「シャル君……リジャール王子が、皆に、会って話してみたい……って……。」
「「「「…………は????」」」」
「……まあ、急にこんな事を言ってもそういう反応になるだろうな。」
はあ、と小さくため息をつきながらジュビア先生が言った。
「い、いやいやいや!あ、アタシ様達、もしかして何かやったか!?」
「ぼ、僕達は失礼な事は何もやっていないはずだよね!?」
「わ、私にはわからないわ……ティエラ、貴女は何か知っているの?」
「あ、アタクシも王家の言葉や動向まではわかりませんわ!ベルナ様、どういう事ですの!?」
「君達まずは落ち着け、よく話を聞いてほしい。今回は私とベルナ王女候補からの説明をしよう。」
「ん……まず、前回話した事を、リジャール王子と、王家の人達……あと、関係者の人達に、話した……。」
「あ、ああ……確かに、それはまあ必要だよな。」
それは確かに必要だ。
だって、そうしないとそもそも話が進まない。
そうしないと、そもそもベルナの進展が無いからだ。
「で、それを聞いたリジャール王子が、是非ベルナのご学友に会ってみたい、と言っていてね。一応、君達には断る権利はもちろんあるが……まあ、断ったら良い印象を持たれないのは言うまでも無いだろうな。」
「それって、実質断る権利は無い状態ですよね……?」
「そうだな……リジャール王子の性格から考えて、彼自身がこちらに悪い印象を持つ事は無いが、その周りの王家の人間からは……と言うとな……。ベルナ王女候補以外の王女候補達から一歩引く事にもなるから、メリットが無いどころかデメリットしか無い、と考えると、断る理由が無いからな……。」
「……皆、迷惑かけたなら、ごめん、なさい……。」
「い、いえ、ベルナ様!迷惑って事では無いのですのよ!?」
「そうね……迷惑、というわけでは無いけれど……。」
「心の準備と、あとそもそも何話すかってとこだよなあ。」
「僕達はあくまで何をするかを考えただけで、まだ具体的なプランも考えていない。そして何より、植物に詳しいってわけでも無いからそのプランを考えるのも今からやらなきゃいけない……って考えるとねぇ。」
「……私、花、少しは分かる……よ……?」
「「「えっ?」」」
ティエラ以外の私達三人はきょとんとする。
そんな話は前回聞いていないが……。
そう思っているとふふん、とティエラは自慢げな顔をする。
「ベルナ様はお花が好きですから、趣味で自分で庭園の手入れや植物の研究をしているのですわ!」
「なるほど……セプレンディ家ではなく、個人的な趣味でやっているのね。」
セプレンディ家が植物関係の家系という話を聞いた覚えは無いし、もしそうならば恐らく地属性や木属性の魔法の方が得意な可能性の方が高い。
だが、ベルナは魔法は氷の女王、氷霧の女王だ。
そしてそれをセプレンディ家の人間に何か言われたりしてない事を考えると、魔法の適正的には何も問題は無かったのであろう。
むしろ、熱属性を使えるかはわからないが、氷といった温度に関係のある魔法が使えるのは植物の生育に良いのかもしれない。
「まあ、そういうわけで、ベルナ王女候補が花について説明しながら、各地を回る……という方向性で行く事になると思う。そこで、君達にリジャール王子から話を聞きたいと頼まれた……というわけだ。あと、君達に頼みたいこともあるらしい。」
「頼みたいこと?」
「それってなんですか?」
「内容についてはまだ話せないらしい。私も呼ばれているからな、多分何か私にも頼みがあるのだろう。」
「内密にしたい内容って事ね……。」
私は、考える。
断ってもいい、とは言うものの、ベルナの事を考えると断る、という選択肢は無いだろう。
……私が先にシャル王子に会う事で何か悪い影響が出ないと良いのだが。
だが、それを考えていても仕方ないだろう。
私の答えは決まった。
三人を見ると、三人とも頷いた。
どうやら答えは同じらしい。
「その話、受けるわ。」
「断るわけにはいかなそうだしなぁ。」
「僕達も何かメリットがあると考えたらいいさ。」
「アタクシもベルナ様と一緒に過ごすならこういう事は避けられないでしょうし、もちろんお供いたしますわ!」
「皆……ありがとう……。」
「さて……それで、いつ行けば良いのかしら?何か準備が必要なら準備しておきたい所だけれど……。」
「明日だ。」
「「「「……えっ?」」」」
「行くのは明日だ、必要な物は、既に私の元に届いているからな。」
「「「「…………えっ???」」」」
……というわけで、唐突な王城訪問が決定したのであった。
元々この話は予定に無かった話ですが、まあ入れても問題ないでしょう……という事で、王子様との邂逅です。




