私についての世間話 ベルナ編 その4
遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。今年は去年以上にペースを上げて行けるようにこれから頑張って行こうと思いますので、どうかよろしくお願いします。
「……あ、あれ……?」
「あ……起きた。」
私は暗闇から目を開けると、そこにはこちらを覗き込むベルナの顔が見えた。
……正直胸が大きくてあまり顔が見えていない事はあまり気にしない方が良いだろうから気にしない事にしよう。
(私も結構大きい方な筈なんだけどな……。)
と、余計な事を考えていたが、そこで私は気づいた。
何故私の顔を覗き込んでいるのだろう、と。
……記憶はぼんやりとある。
確か模擬戦中で、私がベルナに向かって一か八かで突撃した……が、その突撃は届かないままベルナの魔法が発動して……。
ああ、そうだ。
恐らくだが、魔法で氷漬けにされたのだろう。
早い話が、私は負けたのだ。
そうして、魔力体への変換が切れて氷の中で気を失ってしまった……といった所であろうか。
(悔しいな……私は騎士で、偉い人を、大事な人を守れるくらいに強くならなきゃいけないのに)
そう思って歯を食いしばる。
もちろん相手は魔法の天才で次期王女第一候補だ。
多分、魔法の可能性を模索する研究家であるウルティハやエスセナとは違う方向……それこそ、実戦的な魔法使いとしての単純な強さなら、きっとウルティハやエスセナさえ凌駕するくらいであろう。
事実として、単純な魔法比べでは私はあの二人には勝てないが、実戦的な模擬戦型式なら私の方があの二人より、槍術を含めた総合的な実力では強い。
そして接近戦でも怪力を持つティエラよりも槍術と魔法による技術で勝てる。
何なら、模擬戦の成績は私は騎士志望の中では我ながらなかなか良い方であると自負している。
その私が、多分接近戦では私の方が分があるとは思うが、それでも魔法だけで上回られた。
その事実は私の中に大きく響いた。
だって、それくらいに圧倒的な実力差があるという事なのだから。
この国では王家に入る人間は基本的に強くて当たり前だ。
その護衛をする騎士団の、王族護衛の専属騎士となると尚更実力者が選ばれる。
もしソルスがリジャール王子と結ばれて王族になるなら、私はその専属騎士になる必要があるのだ。
だから尚更、簡単には負けては居られないのに……。
これが、王家に入ろうとする人間の実力か、と痛感したのだ。
……これから、もっと強くなる事はきっと出来るのであろう。
伸び悩むのか、それとももっともっとぐんぐん成長出来るのかは分からないが、それでも、私という人間はこれから身体も技術も学習したりして成長するだろうから。
でも。
もし、でも、だ。
いつか……私という人間の限界は、来るのかもしれない。
例え「私」という限界がまだ、先だったかもしれないとしても、身体は「マルニーニャ・オスクリダ」なのだ。
先に、マルニーニャとしての才能の限界がもし来てしまったら……。
その考えが頭に過ってしまっては、止まらない。
だって、きっとそうなのだろう。
私は、闇属性という特異な資質はあったかもしれないが。
マルニーニャ・オスクリダの身体で生まれるという特殊な生い立ちではあるが。
何か特別な力を持って、特別な存在として生まれなかったのだから。
そして、これからそれが何か発現でもしない限り、私は、この世界で誰よりも強くなる、という事は、きっと出来ないのだろうから。
(……せめて、私の光だけは、ソルスだけは、守れるようにならないと)
そう、心の中で強く誓った。
「……大……丈夫……?」
「へっ?」
「……マルニ、暗い顔……してる、よ……?」
「あ、えっと……大丈夫、大丈夫……流石に魔法だけで負けたから、少し落ち込んだり反省していただけよ。次は、きっと負けないつもりだから。」
「……よし、よし……。」
「へ……?あ、あの、ベルナ……?」
「……マルニも、沢山頑張ってるの、わかるから……だから、沢山、良い子、良い子って、するの……良い子には、必要……でしょ……?」
つい思っている事が顔に出ていたのを誤魔化して、元気なふりをしていたら、何故か頭をそっと撫でられた。
あと凄く褒められた。
……正直、凄く嬉しい、嬉しいけど、照れるというか恥ずかしい。
ベルナの手つきは、そっと優しい手つきで、つい私と一つしか変わらないのに凄くお姉さんに見えてしまった。
ベルナの身体は、締まる部分はしっかり締まっているのに女の子らしい柔らかい感触で気持ちいい。
私を撫でる為に寄せた身体の影響でベルナのお腹や胸を軽く顔に押し当る形になってしまっているので尚更それを感じてしまう。
筋力量の違いであろうか、多分私には無い柔らかさだ。
それに包まれるというのはなんかこう……同性とわかっていてもつい少しドキドキしてしまいそうになる。
そんな女の子がこんなに優しく褒めてくれるなんて、私ってそんなに前世で徳とか積んだかな……とつい思ってしまった程だ。
冷静に考えるとリジャール王子ってこんなに魅力的な女の子を選ばずにそれよりもソルスを魅力的と思って選んだのだから、贅沢な選択をしたものだ、とつい少し羨ましくなってしまった。
私だったら、王子様だったら偉いから両方と結婚する!とか言ってしまいそう……とかつい心の欲望が溢れてきた。
……というか、そういえば今この状況はおかしい事に気づいた。
だって、冷静に考えると……。
「あ、あの、ベルナ様……?」
「……?」
「あの、何で私は今、膝枕されているので……?」
「…………?」
「そ、そこで不思議そうにされても困るのだけれど……!?」
「……うーん……強いて、言うなら……そっちの方が、寝心地、良いかな……って……。」
「そ……そう、なのね……それだけ、なのね……。」
「……私の太もも、気持ちよく……なかった……?」
「……その言い方はずるいわよ……すごく、気持ちよくて、心地良いわ……。」
「ふふ……良かったぁ……。」
「な、何よ、この恥ずかしい会話は……。」
「うふふ……。」
ベルナの柔らかい太ももに頭を乗せた状態から、私は動かないまま、視線を逸らす。
多分、私は今顔が赤くなっているであろう。
そして、珍しくベルナも私を少しからかっているのであろう。
少しだけ、いつものおっとりした穏やかな笑みでは無く、いたずらした子どものような笑みだからだ。
それが分かっていながらベルナの思うままなのが少し悔しいから目線を逸らしたが、それでもこの膝枕が心地良いというのは変わりはないので。
なので、もうしばらく、このまま膝枕してもらう事にしておくのであった。
今までよりまた少し、ベルナとの心の距離が近づいた気がするのであった。




