表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生悪役令嬢はヒロインの影になりたい  作者: 大蛇山たんと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/90

番外編4 新年の祝いと二人の少女の願い

新年明けましておめでとうございます。読者の皆様、今年も頑張って行きますので今年もよろしくお願いします。新年という事で新年番外編です。恐らく次回からは通常の連載に戻ると思いますので、どうか改めてよろしくお願いいたします。今年も読者の皆様を楽しませられますように。

時は、まだマルニがサンターリオ学園に入学する数年前の事…。


この世界、ディアーユにも当然ながら新年、という概念は存在する。

そして一年の祈願などは存在する……のだが、私の前世のように社にお参りに行って祈願する、という文化はインフロールの文化ではなく、隣国である桜日の文化だ。

なので、あまりインフロール国内の中では一般的ではないのだが、偶然にもコミエドールには一か所だけ、桜日との友好の証として社が一か所あった。

何でも、友好の証であると同時に、異教である桜日の宗教が活動する拠点としての許可の証として作られた……という事だが、どうやら桜日の宗教家はあまり熱心な宗教家では無いらしいのか緩い宗教なのか。

どちらかはわからないがあまり宗教勧誘は行わず、その社は桜日の祭事に使うくらいの場所になっていた。

というわけで実質的な社の扱いは祭りの会場兼コミエドールの民の憩いの場のような扱いになって静かな場所になっていたのだが……こと新年は例外である。

日本よろしく、様々な国の行事のお祝いを取り込んだ結果カオスな事になっているこの国では、当然桜日式の新年のお祝いを楽しむ人達も少なくない。

そして、前世で日本人である私も当然ながら桜日式の新年のお祝いを楽しみにしていた。

そしてなにより今年の新年のお祝いは……。


「マルニ様っ、えへへ、どうですかっ!?」

「…………。」

「……マルニ様?どうかしましたか?……もしかして、似合っていなかったですか?」

「……はっ、いけないわ、ソルスが美しすぎて呼吸を忘れていたわ……。息を呑む美しさとはこういう事かしら……。」

「呼吸を忘れていたら危ないですよ……!?」

「大丈夫よ、呼吸をしたらソルスと同じ空気を吸えるから同じ空気を吸えるから深呼吸するわ、すー、はー……。」

「私と……?まあ、私も同じ空間に居れるのは嬉しいですけどっ。」


だめだ、いつもと違うソルスの姿にテンションが平静を保てない。

ソルスの姿は、ピンク色の着物に赤色の帯、金色の刺繍が入った姿だ。

髪は軽く結っていて、普段は見えない部分の肌も見えてどこか少し色っぽく感じる。

まだ少女でありながらこんな美少女なのだ、将来主人公になるくらい美少女になるというのがわかるという物だ。


「それに、マルニ様もお綺麗ですよっ!」

「へ?そ、そう、かしら……?」

「はいっ、えへへ、一緒に新年を迎えられて嬉しいですっ。」

「そ、そういってくれるなら、頑張った甲斐があるわね……。」


そういう私は、髪色より明るめの紫色の着物に黒の帯、銀の刺繍が入った姿だ。

髪を軽く上げて、後ろの髪は一つ結びにしている。

結っているからか首筋、うなじ辺りが少々寒く感じるのは致し方ない。

確かにいつもとだいぶ違う分違って見えるのだろう。


今日のこの着物はオスクリダ家の方で用意して、フレリスに着付けをしてもらった物だ。

といっても、流石に孤児院全員の着物を用意するのは不可能であった為、オスクリダ家の代表として私が、そしてスエルテ孤児院の代表としてソルスが全員の代わりにお参りに行くことになったというわけである。


「にしても、やっぱり混んでいますね……。」

「……そうね、はぐれないようにしなきゃいけないわ。」

「んっ……はいっ。」


私は、言いながらそっと手を繋ぐ。

指を絡めて、離さないように。

ソルスもこちらに握り返してくれたのが嬉しい。

並びながら、私達は会話する。


「……因みに、ソルスは何をお願いするつもりかしら?」

「そうですね……孤児院の皆やコミエドールの町の皆の無病息災とかですかね、やっぱり。」

「ふふ、なら皆の分しっかりお願いしないといけないわね?」

「はいっ、しっかり神様にお願いしないといけませんっ!……あ、でも……。」

「……?どうかしたかしら?」

「え、えっと、皆のためのお願いはもちろんですけど、個人的にお願いしたい事もあって……。」

「あら、ソルスが個人的なお願いなんて珍しいわね。一体何をお願いするのかしら?」

「え、えっと、それは……ですね……うう。」


どうしたのだろうか?

こちらが聞いていると、何故か段々とソルスの顔が真っ赤に染まっていく。

……何か恥ずかしいとか照れるような事なのだろうか?

ソルスがそんな赤くなるような事をお願いするというイメージが湧かないのだが。

いや、アルくんの事だろうか?

それなら、こうやって赤くなるのも納得できるのだが……。


「そ、それよりっ、マルニ様っ。マルニ様は何をお願いするんですかっ?」

「私……?そうね……。」

「……(じーっ)。」

「……ふふ、秘密よ。」

「えーっ。ずるいですっ、私も知りたいですっ。」

「ふふ、神様にだけの秘密よ。」


まあ、私のお願いなんて一つしか無いのだが。

そんなこんなで話しながら、やがて社に祈願する順番がやってきた。

儀礼通りに礼をし、手をぱんぱん、と鳴らす。

手を合わせて、頭を下げ、目を瞑ってお願いをし……やがてそれが終わる。


「よし……これで終わりね。」

「初めて桜日式のお参りに来ましたけど、ちょっと緊張しました……でも、マナーは結構簡単でしたね。」

「そうね、こうやって皆のようにお参りするように簡略化しているのだろうと思うけれど、そのお陰でこうやって沢山の人が集まって祈願に来るのだからそれは正解のようね。」

「はいっ、私は来年も来れたら来てみようかな……それか、着物で来れなくてもいいから孤児院の皆で来てみるとか。」

「そうね、大勢で来てみるのも、悪くないと思うわ。」

「えへへ、早速来年が楽しみだなあ……。」


と、社から離れて二人で手を繋いで歩いていると……。


「あら、おみくじがあるわね。」

「御祈願の紙もありますね。……マルニ様、両方やってみますか?」

「そうね、面白そうだし、両方やってみようかしら。……ごめんなさい、これを二人分良いかしら?」

「はい、どうぞー。」

「ありがとう。」

「わっ、マルニ様私の分まで……あ、ありがとうございますっ。」


二人分のおみくじと御祈願の料金を払い、私とソルスはまずはおみくじを引いてみる。

出てきたのは……。


「……吉ね。まあまあ悪くない、かしら?」

「わ、大吉ですっ。これって一番良いんですよね!?」

「あら、そうよ。ふふ、おめでとう、ソルス。」


こういう時に大吉を引く辺り、流石はソルスは主人公でありヒロインなのだろう。

まあ、そういうの関係なくソルスの運が良いのは間違いないのだが。

私はてっきり凶でも引くかと思っていたが……もしかしたら、まだ私が没落する年になったら大凶でも引くのかもしれない。

まあ、それは将来にならないとわからない事だが。


「えっと、御祈願は……。」

「はい、お願い事を書いてこの水の上に浮かせてくださいね~。」

「はい、わかりました。」


そういえば前世でも神社によっては紙にお願い事を書く所があるらしいとは聞いた事はあるなあ、と思いながらペンでお願い事を書いていく。

お願いする事は私もソルスも決まっていたらしく、すらすらと書いていく。

お願いする事は……社にお願いした事と同じだ。


「はい、これでお願いします。」

「私もこれでお願いしますっ……!」

「はい、ありがとうございます、良いお年を~。」


こうして御祈願で書いた紙を水に浮かせた。

和紙のような紙はやがて溶けていき、水の中にお願い事と溶けて消えていく。

まるで、お願い事を染み込ませていくかのように。


「……マルニ様、何書きました?」

「秘密、よ。ソルスは?」

「わ、私も秘密……ですっ。」

「ふふ、そう。」


そんな風に話していると、小さくお腹が鳴る音が聞こえた。

私……ではない。

ふと隣を見ると、ソルスが真っ赤になっていた。


「え、えっと、あの、マルニ様……い、今のは……!」

「ふふ……お腹が空いたなら、社の周りの出店でも見ていきましょうか。私も丁度小腹が空いた所だし。」

「……!!はいっ、行きましょう、マルニ様っ!」


そう言いながら、私とソルスは社の周りの出店で食べ歩きをする為に歩いていくのであった、手をしっかりと繋いだまま。


私達の願い……二人の願いは。


(ソルスが幸せな日々を送れますように。)


(マルニ様とずっと一緒に居られますように。)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ