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転生悪役令嬢はヒロインの影になりたい  作者: 大蛇山たんと


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番外編3 聖夜祭の輝きと時間を刻む暖かな想い

時は、まだマルニがサンターリオ学園に入学する数年前の事……。


「マルニ様っ、今日は聖夜祭ですよ、聖夜祭っ!」

「あら……ふふ、いつになくはしゃいでいるわね、ソルス。」

「もちろんですっ、聖夜祭と言えばこの孤児院でもお祝いをしますし、それに町中の活気ある様子も私、好きなんですっ!なんというか、皆幸せそうだなーって感じがして、ふわふわーってして、町中がキラキラーってして……!」

「ふふ、はいはい、わかったわ。なら、私もそれを盛り上げられるように頑張らないといけないわね。」

「えへへ、マルニ様と一緒に過ごせるなんて、嬉しいのがもっと嬉しくなっちゃいますっ!」


聖夜祭の朝、私とマルニはスエルテ孤児院の手伝いで買い物をソルスとしながら歩いていた。

因みに私は聖夜祭を知らなかった……わけではない。

実は、原作ゲームの隠しイベントで、現実のクリスマスかクリスマスイブにゲームを起動するとこの聖夜祭に関するイベントストーリーが見れるのだ。

なのでこの世界にクリスマスのような日がある事は事前に知っていたのだ。

まあ、日本の乙女ゲームなんだから日本のイベントに合わせたタイミングのイベントが見れるのはもしかしたら当たり前……に感じるが、そういうのが無いゲームもあったので全部のゲームが全部そういうのがあるというわけでは無いのではないのだなあと驚いた記憶がある。

そういえば、大人の男の子がするえっちなゲームとかにもそういうイベントがあるゲームもある……みたいな話を前世でネットで見た事があるのだが……もし前世でまだ生きていたら、そういうゲームにハマっていたかはわからないけど、とりあえずやってはいたんだろうなあとちょっと思ってしまう。

だって今まさに可愛い女の子とデートして心の中でニヤニヤしてるわけだし……別に女の子以外に興味が無いとかというわけではないが、それでも今一番近くに居る、そして一番近くに居てほしいのがソルスだし……。

なんというか、私は女の子が好きなのだろうか……?と思ってしまうが……まあ、それは今は置いておこう、今考える事ではないだろうから。

別に現実逃避ではない、決して、断じて、うん。

いやだってソルスが可愛すぎて目に入れても痛くないって言葉の意味がヘドバンしそうなくらいにわかるって頷いてしまうから。

だからこれは可愛すぎるソルスが悪いのだ、うん。

可愛いは罪、だけど同時に可愛いは正義。

……美少女ゲームもやっておけば良かったなぁ、がっくり。


「マルニ様?何か遠い目をしてますけど……どうかしましたか?」

「あ、ああ……いえ、私は勉強不足だったなあと心の中で実感していただけよ。」

「……?マルニ様でも勉強不足だなんて、世界って広いんですねえ。」

「あはは……そうね……。」


いけないいけない、そんな目をしていたのか。

前世の事やゲームの事を話すわけにはいかないし、なるべくボロが出ないようにしなければ。

と、そんな事を考えていた所だった。


「……うん?これは……。」

「……?どうかしましたか、マルニ様?」

「ああ、いえ、少し気になる物があって。」

「気になる物ですか?ここは……魔法に使う魔道具や触媒の店ですね。」


私が足を止めたのは、古ぼけた魔道具店であった。

別に特別な特徴があるわけではなく、よくある個人経営の小さな店だ。

でも、何か引っ掛かるような気がしたのだ。


「うーん…まだ時間の余裕もありますし、少し見ていきますか?」

「あら、準備に急いで行かなくてもいいのかしら?」

「大丈夫ですっ、それにマルニ様が気になった物が私も気になりますっ!」

「あら……ふふ、なら、少し付き合ってくれるかしら?」

「はいっ!」


という事で、中に入ってみる事になった。


「お邪魔します。」

「お邪魔しま~す……。」

「あら、あらあら、珍しいお客様が来たと思ったら最近話題のオスクリダ家のマルニーニャ様とスエルテ孤児院の子じゃないですか。」


中に入って私達を迎えてくれたのは、少し老齢の女性であった。

魔法が当たり前のこの世界では魔女らしい恰好の魔女、という人はこういった魔道具や触媒を取り扱う店でも少なく、普通の主婦、普通の庶民といった様子の女性だ。


「話題?私達がですか?」

「あ、えっと……。」

「ああ、何となく察しました。大丈夫ですよ、ここだけの内密な話という事で、私とソルスだけが聞くという事で。」

「あ、ありがとうございますっ。」


言いにくそうにしている話という事は恐らくオスクリダ家の人間に本来あまり聞かせない方が良い話、という事であろう。

こういうのはもう慣れっこだ。


「最近オスクリダ家の変わり者なご令嬢とお付きのメイドさんが、このコミエドールの町の為に、スエルテ孤児院の子供達と色々頑張っているって聞いてねえ、まさかこの目で見れるなんて。」

「私達……というか、マルニ様、変わり者、ですか……?」

「まあ、お母様やお父様を見ていたらそうなるでしょうね。」

「皆感謝しているんですよ、だんだん私達の生活も変わって行けるかもしれないって期待が出来て。」

「ふふ、なら嬉しいです。皆さんの生活にもっと直接的に関われるように、今は勉強中の身ですから、これからも頑張ります、よろしくお願いしますね。」

「わ、私も頑張りますっ!」

「いえいえ、こちらこそありがとうございます。さて、今日は何を御覧になりますか?」

「そうですね……。」


軽めの挨拶も終わり、さて、何を買おうかな……と軽く商品を軽く見ていて。

そして、ようやく私が見つけたものが分かった。


「これは……。」

「マルニ様、これ、魔法の訓練用の小瓶ですよね?」

「あらあら、そんな物が何かご必要で……?」


店主さんやソルスの不思議そうな声も納得であった。

それは特別な物ではなく、よくある魔法の持続やコントロールの訓練に使われる小瓶であった。

明かり代わりに使われる事もあるので、この時期には聖夜祭の飾りとしても使われる為、良く見かけるのであった。

それは、サイズも色々あるのだが、よく使われるのはカンテラのような形の物だ。

その中から私は更に小さな小瓶……キャンドル瓶型の物を取った。

(クリスマス……魔法……明かり……属性……あっ)

私は、ある物を思いついた。

多分準備に必要な物はある筈だ。


「店主さん、これをありったけ買ってもよろしいかしら?あと、入れ物もあったらお願いしたいわ、私の個人的な買い物だから、私のお金から払うわ。」

「え、えっと、マルニ様?」

「えっと……は、はい、少々お待ちを……。」


慌てる二人を気にせず、私はお金を置く。

流石に硬貨の量が多いから少し子どもの私には重い。


「えっと、マルニ様?これはいったい……。」

「少し、良い事を思いついたのよ。ソルス、耳を貸してくれるかしら?」

「へ?んん……へっ?」


言うが早いか、私はソルスに耳打ちする。

それを聞いたソルスは、いまいち分からないからか目をパチクリとさせていた。


そして、その日の夜、スエルテ孤児院にて……。


「んしょ、んしょ……これでいいか、マルニ?」

「ええ、ばっちりよ。皆、こっちへ来てちょうだい。」

「はいっ。」

「……何やるんだよ、これ。」

「アルにも協力してもらうわ。院長先生、明かりを消してください。」

「はいはい、わかりました。」


アルくんに協力してもらい、孤児院の周りの木に紐で小瓶を括りつけてもらった。

そして、皆で一か所に集まる。


「皆、やり方は教えた通りよ。小瓶に魔力を与えるの。いいかしら?」

「「「「はーいっ。」」」」

「じゃあ、いくわよ……始めっ。」


そして、私の合図と一緒に、皆で魔力を沢山の小瓶達に注いでいく。

すると……。


「わああ!」

「きれーい!」

「……これは、すげえな。」


小瓶が、魔力で輝いていく。

闇属性の魔力は使わないから、闇と光は無いけれど。

炎、熱、水、氷、雷、風、土、木、無。

9つの輝きが様々な色に輝いていく。

……雪が降ってきた。

白い雪が、だんだん世界を染めていく。

魔法ではない自然の雪が、世界を白く染めて……。

そして、しんしんと降っていく雪が、魔力の輝きの色で染まっていく。


「凄い……凄いですっ、マルニ様っ!」

「ええ……私の想像以上だわ。」

「よくこんな事思いつきましたね、マルニ様、凄いですっ!」

「ふふ……まあ、ね。」


私はその光を見ながら、昔……前世を思い出していた。

病院や街中で見た、クリスマスツリーの明かり。

オーナメントの輝き、イルミネーションの光。

流石に前世と全く同じ輝きではないけれど……あの時とは違う輝きが、ここにはある。


「……ソルス。」

「んっ……マルニ様……?」


私は、そっとソルスと手を繋ぐ。

雪も降るような寒い空気の中で、冷えた、小さな手。

でも、暖かな手。

本当に、ここに居るのだと、確かに感じさせてくれる、柔らかく、暖かな手。


「……少し、寒くなっちゃった。」

「ふふっ、なら、私が暖めますねっ。」

「ええ。」


そっと、握り返してくれる手。

私は……そっと指を絡める。


「ソルス。」

「何ですか、マルニ様?」

「綺麗ね……。」

「はいっ……綺麗で、本当に素晴らしくて……本当に、素敵ですっ。」

「ええ……本当に。」


ソルスも、そっと指を絡めてくれるのを、感じた。


私が、あと何年一緒に聖夜祭を迎えられるか、分からない。

もし、ソルスが遠くに行ってしまったら、きっともうその時は一緒に聖夜祭を迎える事は、もう出来なくなってしまうだろう。


だから、私は、ぎゅっと強く手を握った。


この手の感触を、暖かさを、忘れないように。


残りの一緒に居る時間の全てを、しっかりと私の中に刻むように。





本編でマルニが氷漬けになっているのにどうなんだ?と思いもしますが、クリスマス回という事で番外編です。今年はこれと、あとはお正月のための書き溜めで終わりかな……と思いますので、年内の更新はあと一回あるかわからないのでまとめて挨拶させていただきます。またお知らせで書くとは思いますが、読者の皆様、ハッピーメリークリスマス、良い夜を、そして良いお年を!

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