第一回会議?
「さて、第一回、ベルナ様とリジャール様をイチャイチャちゅっちゅさせてくっつけよう大作戦の作戦会議を始めますわよ。」
「え……私、キスまで、するの……?流石に、初めてだから……恥ずかしい……。」
「やるならヤるまでとことんヤるくらいの方が良いってこういうのは。」
「ティハ、流石に品がないんじゃないかい?まあ僕もロマンチックに盛り上がって熱い夜を過ごすのは同意だけれどっ。」
「……ヤるなら、ヤるまで……熱い夜……流石に、恥ずかしいかな……。」
「……その、こうやって顔をつき合わすのは意味はあるのかしら?あと、段々デートどころじゃなくなってるわよ……。」
「と、とっても破廉恥ですけれど次期王女としては必要ですわ……っ!」
私達の作戦会議は、相変わらずの空き教室で行われた。
だがなんというか最初から雲行きが怪しいというか早くもぐだぐだの空気を察知してやれやれと息をつく。
流石にもうにもなって、学園生活にも、そしてこのクラブ活動にも慣れてきたから、何となくウルティハとエスセナの考えている事は分かるようになってきた。
まあこの二人は突然突拍子も無い事を言いだしたりやりだすので完全に理解出来たというわけではないのだが、それでも春の頃から比べるとだいぶ慣れてきた所だ。
まあ流石に普段はこういう下世話な話はあまりしないのだが……デート、という事でいける所まで行こうとしているのだろう。
すでに私は頭が痛い。
「……それで、何か思い浮かんだ案はあるのかしら?」
「あーい!」
「はい、ウルティハ様!お願いしますわ!」
基本的に私とティエラが話を回す事になりそうだ。
手を挙げたウルティハは席から立つ。
「アタシ様プレゼンツ!魔法のショーで魅せて二人に素晴らしい時間を届けてやるぜ!」
「おお!以前ウルティハ様の魔法の話は聞きましたが、凄く素敵な魔法をお使いになるのですね!アタクシも地と木の魔法ならお手伝いできますからぜひ頼ってくださいませ!おーっほっほっほ!」
「お、いいじゃねえか、やろうぜやろうぜ!おーっほっほっほ!」
「「おーっほっほっほっほっほっほっほ!!」」
「……私達が思い切り前に出てもそもそも大丈夫なのかしら……。」
「「むっ。」」
「ちっ、そこの問題があるかぁ……。」
「アタクシもついはしゃぎすぎましたわ、申し訳ありません……。」
というわけで、ウルティハの案は一時保留となった。
「じゃあ、次は誰か案がありまして?」
「はいっ!」
「エスセナ様!よろしくお願いいたしますわ!」
次はエスセナが席から立つ。
……ウルティハがあんな感じだったから、既に嫌な予感がするが。
「シレーナ出身の僕と言えば!そう、演劇!というわけで演劇を見に行くのが良いんじゃないのかな!?」
「まあ、演劇!シレーナの劇場出身のエスセナ様の審美眼なら間違いないでしょう!いっそシレーナに行くというのもありですわね!」
「いいねそれ!そしてもちろん最後は僕が出演した素晴らしい舞台を魅せようじゃないか!」
「エスセナ様が出る舞台なら素晴らしい事間違いありませんわね!おーっほっほっほ!!」
「おーっほっほっほ!!」
「「おーっほっほっほっほっほっほ!!」」
「結局エッセが舞台に出たいだけじゃないの……?」
「うっ。そ……そんな事は、無いよ?」
というわけでエスセナの案も一時保留となった。
……わかってはいたが、この二人は自分から出て行きたがりすぎである。
「うーん、なかなか難しいですわね~……。」
「因みにマルニは何か浮かんだのかい?」
「……うーん……そうねぇ……。」
「そっちは何も浮かんでねえのかー?」
私もデートという物には全く無縁な人生を辿ってきたのだ。
考えてもすぐには浮かばなかった。
強いて言うなら……。
「……花、かしら。」
「花、ですの?」
「あくまで、あくまでも私だったらの話だけれど、私だったら花を見に行きたいな、って思ったのよ。このインフロールの国には、綺麗な花が沢山あるから、色々と歩き回って見てまわりながら過ごす……というのも、悪くないかなあって。」
「おお…おお!確かに良いですわね!綺麗な花を見て、微笑む輝かしい二人!とても素晴らしいですわ!おーっほっほっほ!」
「わ、私は乗らないわよ……?」
「あら、アタクシみたいに笑うと気持ちいいですわよ!?おーっほっほっほ!」
「お、おーっほっほっほ……はあ。」
ティエラの高笑いは、どうやら意識しながらやるのも半分、自然にやるのも半分らしい。
流石に私は真似するのは恥ずかしいので形だけ真似してみた。
「ベルナ様!!この中で良いものはありましたか!?」
「うーん……どれも、良いから、迷う……。シャル君に、聞いてみたいけど……。」
「いっその事全部やってしまうのはどうでしょう!?」
「流石に、時間とか、警備とかが……大変だと、思うわ……。」
「あっ、そうでしたわね……。」
……なんというか、不思議な二人だな、と見ていて思う。
ベルナは次期王女候補の偉い貴族とは思えないほどぼんやりとして緩く穏やかな雰囲気で、ふわふわしてる。
それに対してティエラは……まあ、元々は貴族ではなかったのもあるのかもしれないが、いちいちリアクションが大きくて、感情も大きく動く、貴族らしいお淑やかな振る舞いとは全く違う物だ。
もちろん、そういう元気な所が良い所だと思う。
ただ、この二人がどうやって仲良くなったのかは、聞いてみたいな……と思うくらいには不思議な二人だな、と思いながら二人のやり取りを見ていた。
結局、出したアイデアはリジャール王子や王家の意見も聞いてから、という事で今回の第一回の会議はお開きとなった。
ギャグを書くのって大変だな…と書いていて毎回思いますが、変にシリアスすぎる物語にするのはしたくないので頑張って書いていきたいと思います。