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黒い夢と謎への疑問

また、私は暗闇の中に居た。

(また、この夢か……)

と、繰り返し見てきた夢の光景に心の中で思う。

私は、流石にこの夢にも何となく慣れてきた……とはいえ、やはりどこか、本能的な恐怖感は消し去れない。

しかし、この恐怖感はどこから来ているのか、それは私にはまだわからなかった。

この先の見えないかのような暗闇への恐怖感なのか、この夢が間違いなく私に関係のあるという根拠も無い確信だけある気持ちか……それとも、『彼女』の不気味さに対する恐怖感か。

そんな事を考えていると、、とある事に気づいた。

今回は自由に身体を動かせるのだ。

試しに振り向いたりして辺りを見渡してみる。

『彼女』は居らず、辺りには同じような暗闇が続くばかり。


「あ、あー、あー……。」


試しに声が出るか試してみる。

普通に発声出来る。

今までは何も出来なかったから、この変化は一体どういう変化なのだろうか。

そんな事を考えている時だった。


「あら、随分と慣れてきたようね。……まあ、私の力に触れ続けているのだから当たり前でしょうけれど。」

「きゃっ……!?」


唐突に彼女は目の前に現れた。

どういう原理か、先程まで何も無かった所から現れてつい驚いてしまった。

……やはり、どう見ても私にそっくりだ。

髪型や服装など、幾つか違いはあれど私そっくりだ。

もし姉妹だと言われても違和感が無いくらいだ。

だが、何故こんなに私にそっくりなのにこんなに恐怖感を感じるのだろうか。

だが、驚いたり怖がったりしている場合ではない。

私は令嬢モードも関係なしに声をあげた。


「あ、貴女は、一体誰なの……!?ずっと私の夢に出てきて……!」

「そうね……私は貴女、でも貴女は私ではない……と言ったところかしら?」

「何を言っているの……!?」


言っている言葉の意味がわからなかった。

私であって、私では無い……?

私は私なんだから何を言っているのかさっぱりわからなかった。


「それに、貴女の力……?どういう事……!?」

「分からなくて当たり前ですわ。だって、貴女では決して真実には辿り着けないんですもの。」

「……言っている事が、わからないよ……。」


力…?真実…?

どういう事なのか混乱する頭では全く想像できない。


「まあ、大して気にする事では無くってよ。だって、時はもうすぐ満ちるんですもの。」

「時……?」

「ええ、貴女が辿るべき運命。その運命は逃れ難く、そして仮に逃れられたとしても……その先にある破滅からは逃れられない、決して。」

「破滅の、運命……?」


私が言葉を繰り返すと、彼女の周りに深い闇が彼女を包むように広がっていく。


「ま、待って、まだ聞きたいことがいっぱい……!」

「貴女が知るにはまだ早い……いいえ、知る必要は無い事ですわ。だから、貴女は呑気に時間を過ごしていなさい。」

「待って、待っ……!」


私の言葉も聞かず彼女は、深い闇の中に消えていく。

そして私は、そこで意識が途切れていくのを感じた。


「……んん……。」


明るい朝の日差しに目を覚ます。

眠気に頭をぼんやりとさせながら起き上がるも、私の頭の中は見た夢の事でいっぱいだった。

(……あの夢の事、話してみたほうが良いのかなぁ)

私には、何かあの夢には私について……特に、私の闇属性についての何か重要な意味があるのではないか、という何か理由の無い妙な確信がある。

それに今日見た夢で彼女が言っていた事……「時はもうすぐ満ちる。」。

あれが何なのかはわからないが、何か重要な意味があるなら、今のうちに出来る事はやっておきたい。

どういう意味なのかわからないが、何かとても良くない事が起きる……何故か、そんな予感がするからだ。


「夢……ですか?」

「ええ、フレリスに話すのも初めてだったわね……実は、私が子供の頃から見る妙な夢があって。」


まずはフレリスに話してみる。

話せる範囲で、夢の内容やいつ頃から見ているか、どんな感覚がするか。

話せる限りの事を朝食を摂りながら話す。

やがて話し終わると、フレリスはいつになく真剣な表情で考え込む。


「魔法や魔力に関しての知識はウルティハ様の方がありますし、歴史の知識ならジュビア様の方があります。私も専門的な事を勉強したわけではないのであまり具体的な事は言えないのですが……。」

「何でもいいわ、感じた事を言ってみてちょうだい。」

「……はい、では私の想像ですが……。」


フレリスは、私の方に向き直ってじっと見つめてくる。


「奥様や旦那様は、闇属性だけしか使えません。そして、闇属性は心に闇を持つ……という言葉に納得するような性格の方です。」

「……そうね。」

「ですがお嬢様は、闇属性以外の魔力もありますし、心に闇を持つ、という一般論に疑問を持つような方です。」

「それは……ありがとう?」

「お嬢様の闇属性は遺伝した物と考えていましたが……お嬢様の闇属性には何か特別な理由があるのでしょうか?それとも闇属性以外に特別な意味が……?そして、闇属性の人の持つ心の闇とは一体……。」

「なるほど……。」

「私が気になる所はその辺りでしょうか。時が満ちる、破滅の運命……などについては、残念ながらさっぱりですね。一応、他の方々に聞いてみた方が良いかと。」

「そうね……ありがとう、フレリス。」


フレリスが言った疑問……闇属性の理由、か。

闇属性の心の闇については前も考えた事はあるが、闇属性の理由、など考えたことも無かった。

だって……私はマルニーニャ・オスクリダだからだ。

心は、魂は黒野心だけれど、少なくとも私はマルニーニャ・オスクリダとしてこの世界で生きている。

だから、私にとって闇属性を持っているというのは当たり前だったからだ。

だが、もしそれにも理由があるのかもしれないのなら。

それ以外にも、沢山の事に理由があるのなら?

……答えはさっぱり得られてはいない。

だが、私が考えるべき事は、私の想像以上に多いのかもしれない。

疑問を抱えたまま、私は今日の登校をするのであった。

新章突入です!新キャラクターの登場はもう少し先ですが、ゆっくりお待ちください、頑張って書いていきます!

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