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シレーナでの発表会 当日その1

朝。

私は窓からまだ日が差し込むより早い時間に目が覚めた。

準備の事を考えて早起きしたというのもあるが、騎士としての鍛錬も欠かすわけにはいかない。

というわけで、昨日の内に良いランニングコースが無いかをホテルのスタッフに聞いておいたのだ。

勧められたのはやはり、海岸沿いのコース。

砂浜を走る良い機会でもあるのでそのコースにする事にした。

走りやすいように、ランニング用の軽装で。

普段はこれに重量をつけて訓練する為に軽めの防具もつけて、槍も背負って走るのだがそれは警備兵が居るのが当たり前のコミエドールや騎士学科がある中央都市コミエフィンだからの話。

このシレーナでは装備を付けたまま走り回るのは景観的に良くないであろうと判断して、自衛用に雷の魔力で長い棒を現出して背負う。

基本的に現出で出した魔力による生成武器は重量を無視した得物にする事も出来るのだが、こういう鍛錬の場合はわざと重量をつけて現出する事も出来る。

まあ、一番良いのは現出した武器ではなく、実物の武器を背負った方が良いのだが、いつも槍を持ち歩く、とはなかなか行かないのも事実である。


私がランニングの準備をしていると、どうやら部屋から出ていたらしいフレリスが入ってきた。

着替えは普段から自分でやっているのでフレリスの仕事ではないのだが、今日はシレーナに居るので朝食などの用意もホテルの食事を食べるので準備が必要無い分フレリスもいつもより暇なのであろう。

私の姿に気づいたフレリスは頭を下げる。


「おはようございます、お嬢様。」

「ええ、おはよう、フレリス。……いよいよ今日が来たわね。」

「来てしまった、とは言わないのですね。」

「もちろんよ、そんな弱気で居るわけにはいかないわ。」

「流石です、お嬢様。ところで、今からランニングのようですが。」

「ええ、討伐とかの依頼で遠征とかってわけではないのだから、鍛錬をしないといけないわ。」

「……お嬢様、今日は私もご一緒させていただいてよろしいでしょうか?」

「……?ええ、もちろん構わないわ。フレリスも身体を動かしたい、といった所かしら?」

「ええ、最近はお嬢様に稽古をつける必要も無くなって、すっかり槍を振るう機会も減ってしまったので。軽く感覚を取り戻しておくのも必要ですし……それに。」

「それに?」

「……久しぶりにお嬢様の鍛錬に付き合うのも楽しいかと思いまして。」

「……そうっ。」


ふふっ、とお互いに、何かおかしくなって小さく笑い合う私達。

こんな事を言われるのは完全に想定していなかったが、私としては久しぶりに生活的な時間以外でフレリスと一緒の時間を過ごせるのは嬉しい。

フレリスは私と同じように棒を現出して背負い、メイド服の中に幾つか暗器を用意してメイド服のまま走る事になった。

なんでもメイド服が一番着慣れているうえに着る機会も多いから、というのと、メイド服は替えの服があるかららしい。


「ふっ……ふっ……。」

「はっ……はっ……。」


海岸沿いのコースから少し道を外れて砂浜を走る私とフレリス。

朝陽がようやく顔を出しそうな時間で、今日は疲れすぎないように、でも武器や防具の負担が軽い分ペースはいつもより速めで走る。

走っていながら思うのだが、フレリスは少なくとも走りやすそうには見えないメイド服でよく私のペースと合わせられるな、と思う。

何でもフレリス曰く、メイド服に動きやすいように生地や内部の形に改造をしているらしいのだが、少なくとも外見はそこまで特別生地が少なくなっている等の改造は見当たらない。

それで息を乱していないのは、下手したら騎士学科の候補生どころか並みの騎士より身体能力だけならあるのではないか、と思ってしまう。

流石に魔法や槍の腕では今は私の方が上……だとは思うが、単純な身体能力の勝負では魔力による身体強化が無しだと負けてしまうかもしれない。

(フレリスがこんなに凄いのに、これより凄いのが少なくとも来年は数人は入ってくる……負けてらんない……!)

心の中で対抗心かもしれない自分への鼓舞をしながら、私達は身体を動かすのであった。


「「おはよ~……。」」

「おはようございます、ウルティハ様、エスセナ様。随分と眠そうなご様子で。」

「ご機嫌よう……二人とも、朝は弱いのね。」

「アタシ様は本来夜型だからな~……睡眠短くてもいいんだけど、なんか落ち着かなくって研究資料見てたら眠れなくって~……。」

「僕はしっかり眠るつもりだったんだけど、なんだか目が冴えてしまってねぇ……ふわぁ……。」

「君達、駄目じゃないか、本番は今日だというのに睡眠をとらなければ。」

「ご機嫌よう、ジュビア先生。」

「「おはよ~(ございまぁす)……。」」

「ふわぁ……大丈夫大丈夫、緊張感が増したら眠気も吹き飛ぶさ。」

「そうそ、アタシ様達は普段は最高で本番は最強なんだぜ~……。てか、マルニとフレリスさんが朝から元気過ぎなんだわ……。」

「私は騎士志望なのだから当然よ。」

「マルニ様のメイドなので。」


朝食のビュッフェの前に集合し朝の挨拶含めた軽い確認やミーティング。

皆気負い過ぎていたら、という不安もあったがどうやらその心配は必要なさそうで安心する。

私自身もランニングをしたらある程度気持ちは落ち着いたので心身共に良いクールダウンになった。

エスセナもだんだん眠気が覚めてきたらしく、仕切り始める。


「はふ……さて、今日がいよいよ本番だ。もう映画の内容を弄る事は出来ないのは昨日と同じ。だからこそ、今日僕達がすべき事は、プレゼンと質疑応答で、演技の未来の新しい可能性を示すという事っ。映画の出来を突っ込まれても仕方ないから、今日はその二つに集中して行こう!そうすれば、僕達の、私達のやるべきことは達成出来る筈さ!」

「おう!そして、映画の内容でマルニの未来も変わるかもしれないから尚更な!」

「……ええ、そうね。私達に出来る精一杯の事を、全力でやりましょう。それが私達のやるべきことでもあるのだから。」


私達三人は頷く。

意思を確かめ合うように。


「私達は、お嬢様達のように表立って行動するという事は出来ませんが、手伝いや補助など、出来る事をやらせていただきます。」

「学生が自主的にやってこそだから、私が手を出しすぎるのもいけないからね、基本的には君達でやってもらう事になるが、それでも何かが必要ならば周りの大人を、もちろん私達も頼りたまえ。」

「「「はい!」」」


言葉で言うべき事はもう言い合った。

後は書類等を確認して、そしてそれも終われば朝のエネルギーを入れる為に朝食に向かうのであった。

今月からはまた執筆に時間を割けるようになりそうなので、ガンガン更新出来ていければ良いなと思います。ただ体調が頭痛気味な日が多かったり肩や首のコリというか痛みがキツイ日もあるので身体を大切にしながら執筆して行きたいと思います。長く沢山執筆していきたいですからね。

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