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転生悪役令嬢はヒロインの影になりたい  作者: 大蛇山たんと


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【闇の聖女】1

活動は翌日からだった。

まずは改めて、撮影した映像をエスセナは観る。


「この世界ならでは、の撮影方法だよね。ノンフィクションでありながら、フィクションのように撮る事が出来る。僕としてもこういう撮影は積極的に取り入れていきたいね!」

「だろ!」

「でも演技している方はまだダメダメだなぁ。」

「うっ……そ、それはそうでしょうね。」

「まあ、これに関しては余程の才能が無い限りはすぐには向上させるのは難しいとして……それを補うには演出、魅せ方だね。」

「脚本力ではないのね?」

「そこは僕も初心者なんだから上手くやれる確証が無いからね……もちろん演出家でもないわけだけれど、それでも脚本という文才が必要なものよりは演出の方が魅せ方という意味では共通している分僕としてはやりやすいかな……とは僕は感じているよ。」


なるほど。

カメラに自分をどう魅せるか、という魅せ方を研究したりしていたのならどういうのが合うのかなども普通よりは分かるという事か。

それに演出のお願いなどもしていたのかもしれない。

そう考えると、脚本はエスセナ、演出はウルティハ……私は二人の補佐が出来れば良いのだが。

特にウルティハの方は闇属性ももしかしたら活かせるかもしれない。

そう思っていると、エスセナがにまり、と笑った。


「まさか自分の魔法があまり活かせないんじゃないか、と思っていないかい?」

「え?」

「今回の脚本はマルニには特に頑張ってもらう内容だよ。」

「……まさか。」


私はエスセナが書いた脚本の仮案書を読む。

(……っ!)

私は思わず目に力が入った。


「こ、これは……いいのかしら。その、色々と……反感を買うかもしれない内容よ?」

「なぁに、本当は君をメインに据えるか考えたんだから、それよりはまだまだマシだとは思うけれど?」

「んん……うわ、確かにこれはなかなかヤバいな。偉い人はもしかしたら怒るかもしんね。」


魔導機や魔法に使う資材を運んでいたウルティハも顔を近づけて内容を読んだ。

まあウルティハは若干楽しそうに言ってるから相変わらずだが。


「私としては、あまり挑戦的な物は最初に挑むのは怖い気がするのだけれど……まさか、闇の聖女なんて。」


闇の聖女。

それは、この世界に存在する言葉では無い。

だが、それは言葉で何となく推測する事は出来るであろう、この世界の人ならば。

まず、聖女、という物についてだ。

これは国などの認可なども無くは無いが、一般的には「光属性を使う事が出来る女性」の事を指す。

まず大前提として光属性というものに、世間一般的に「心の光」という物が無いと得る事が出来ないという印象がある。

私はこの学園に居る人などが誰が光属性を持っているのかまでは把握してはいないが、もし仮に既に覚醒している人が居るなら既に噂になっているであろう。

というかむしろ、次期王女の予定の人もまだ光属性に覚醒していないのだから当たり前だろう。

光属性の覚醒はそれだけで次期王女候補に入れるくらい、と言えばどれくらい重要視されているかわかるだろうか。

それくらい、このインフロールの国の中での光属性という物は大きな意味を持つ。

光の君シオンが残した物は大きかったという事だろう。

そして、そういう厳しい条件があるせいかそれをクリアしているのが当たり前なのか、光属性を持つ人は「聖女」という通称がつくくらい心が綺麗というのが一般的な認知になっている。

私も出会った事は無いが、後に覚醒するのが分かっているソルスの事を想うと納得出来る。

そして、逆に闇属性は「心の闇」という物を持つ……というか、それが強いと発現すると言われている。

誰にも心に闇はあるが、それが強い物のみこの属性に覚醒すると言われている。

つまりは、悪人が持つ属性というのが一般的な認知だ。

中にはかつての魔王の血縁だとする説もある。


つまりは、そういう事だ。


「闇」の「聖女」。

言ってしまえば、一般的な認知からは出ない、相反する言葉という事だ。

闇属性を使う聖女のような人間……なんて居ない、そんな人間が居る筈が無い。

そういう認識が世間一般なのだ。

だからこそ、私はこの脚本に目を疑ったのだ。


エスセナが書いてきた脚本の内容。

その中で私が宛てられた役は、「闇属性を使う聖女」という物だった。

闇属性を使いながらも聖女のように振る舞い、人々に愛される存在になる……。

そんな役だった。

どう考えても、後に悪役令嬢になる私に合う役とは思えないし、そもそもこんな、「役」でさえこんな役が世間一般に受け入れられるとは思えない。

二重の意味で、私に合ってはいけない。

そんな役だ。

でも、同時に私が演じるには確かにこれがうってつけではある。

「闇属性を遠慮なく使う事が出来る」、という意味では。


私はきっと、難しい顔をしているであろう。

だから。

私は一言、こう言った。


「一日だけ、考える時間をくれないかしら。」


「……ああ、もちろん。」

「マルニも、ゆっくり考えてくれるといいよ。」

「ありがとう、時間を貰って申し訳ないわね。


私は頭に話したい人を思い浮かべながら、その日は脚本にじっくり目を通す事にした。

そして、脚本を借りる事にした。

今回は短くまとめたかったので久しぶりに分割構成にしました。たまにはこういう風に分割構成も良いかもしれませんね。これからもたまには使いたいですね。最近は気温の急激な変化や忙しさもあって少々風邪気味だったり気持ち的にも疲労困憊気味です。皆様も身体にはお気をつけください。

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