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異世界での映画撮影

それからは、どうするか考えた結果。


「フレリス、行ってきます。」

「ええ、お気をつけて。」


私は寮の外に出る。

そうすると、既に一人の少女……いや、少女と呼ぶには少々背が高い気がする……が居た。


「よっ、フレリスさんから許可は貰ったか?」

「ええ、最初は不思議そうにしていたけれど最後は理解して許可を貰ったわ。」


ウルティハであった。

今日は学園は休養日。

だがこの学園も、クラブや委員会などは存在して、そういう人達は活動したりしているし、学園の周りのコミエフィンの城下町で遊んでいる貴族も居る。

私もフレリスと買い物に行ったりする事もある。


だが、今日は遊びに行くわけではない。

その証拠に、前日までみっちりと槍の鍛錬をこなしていた。

フレリスにも久しぶりに手合わせをしてもらった。

もう今の私はフレリスの槍術はとっくに超えているくらいの腕にはなったのだが、フレリスは槍術で勝てないなら体術で勝負する、体術で不利なら魔法で攻撃する、かのように、意地でも勝ちを拾いに行く戦い方をするのがフレリスの本来の戦い方だ。

学園の教える槍術は基本的に槍術のみをひたすら極める戦い方なので、フレリスの戦い方は参考になる。


少々話が逸れた。


「フレリスさんが何も言わずに送り出してくれたってことだろ?それだけ信頼されているってことだろー。」

「どうかしら……まあ、それなら私も嬉しいのだけれど。」


嘘である。

フレリスの性格からして、絶対に大丈夫という確証が得られないと私を積極的に今からやる事に頷きはしないだろう。

だから、フレリスが許可を出すという事は私にも「ある程度」なら行っても大丈夫、と判断したという事だと私は考えている。

それは、私の実力も、私の心も信頼してくれているという事だと思っている。

そして、だからこそ私はそれに応えたい。


「なら、行きましょう。エッセの資料を作りに。」

「おー!」



私達が何処へ向かったかというと、学園の依頼掲示板である。

このサンターリオ学園は貴族の学園なのだが、平民出身の生徒も居たり私のように地主のような貴族、騎士志望や商家の貴族も居る。

そして、そういう生徒達が生活費を稼いだり、社会経験、社会勉強の為にインフロールの中から学生でもこなせそうな依頼を掲示板に貼っているのである。

こういう事は授業のカリキュラムにも組み込まれていたり、教師からも色々教えてもらう事は出来るが、こういうものは自主性や積極性も大事、という事らしい。

……因みにだが、私はここの存在を学園に入る前から知っていた。

というか、ここは元のゲームにも存在していた。

といってもRPGとかみたいにここの依頼をこなしてゲームを進めていく、というわけではなく、そもそもこのゲームの主人公はソルスなのだ。

ソルスは平民のしかも孤児院出身、つまり、ここを利用する事もあった、という事だ。

まあこの学園もお遊びでこういう物を用意しているのではなく、言わばお仕事だとかアルバイト、なので依頼をクリアすればお金や物資を貰えるのだ。


だが、今回の私達の目的は、依頼の報酬の方では無い。

依頼の内容の方だ。


私達の今回の目的。

それは……。


「いざ、魔物討伐に出発だー!」

「ええ……気を引き締めて行きましょう。」


魔物。

この国の脅威の一つである。

まだあまりその生態は解明されていないらしく、普通の動物とは明らかに違う存在であり、主に人や動物に害を為す存在、というのが大体の認識である。

普通の動物が魔力などの影響だったり魔物と交配したりした事によって生まれた魔物は魔獣、と呼ぶらしい。

この魔物、というものの概念は国や大陸によって変わるらしいが……基本的にこのインフロールの国によって生まれる魔物はどうやら魔力が関係しているらしい。

とある説には、自然の中にはこの魔物を自然発生させる魔法が自動的に発動しているのではないか。とか、そもそも魔物も魔法の循環の流れによって生まれる存在なのではないかとか、その循環の中で発生する余分や廃棄物のような物が魔物ではないか、とか。

様々な説が上がっているが未だにその決定的な証拠は無いのが現状だ。

主に街の遠くの方に発生しやすく、特に森や洞窟、遺跡などを住処にしている事が多い。

所謂RPGのダンジョンみたいな物である。

その姿なども様々で、今回討伐に行くのは土や石で身体を作るゴーレム型の魔物だ。

ゴーレム型は魔物の中でも最低でも中級の強さを持つ魔物であり、一人や少数での討伐が段々難しくなってくる討伐難易度である。

だが、私とウルティハの二人なら恐らく難なく倒せるであろうと判断した。

私は騎士としての魔物討伐授業で中級の魔物の討伐もそこそこ経験もあるし、実力も自慢ではないが平均的な騎士候補生よりは強い……とは思う。

特に魔法の使い方はウルティハとエスセナのお陰で上級生の人よりもある程度上手くなっている自覚はある。

それにウルティハは魔女と呼ばれるだけあって魔法使いとしては1年でも最強クラスだと思う。

本職の魔法使い志望や王族の魔法使いよりも強いので少し周りからやっかみを受けているくらいに。

それに、今回の魔物討伐は二人で行ける範囲でなるべく難しい難易度、という制約がある。

今回の魔物討伐は単なる魔物討伐をするだけでは無いからだ。


この間名付けた魔法……「偉大なる役者、エスセナ【グラン・アクト・セナ】」。

この魔法を使った映像の量を増やす為に、私とウルティハの二人で討伐しながら、様々な観察を行う必要がある。

様々な考慮をした上でだした結論がこれだったのだ。

もちろん、フレリスにも、あと学園の依頼を受けるので念のためジュビア先生にも話はしてある。

ジュビア先生は微妙に苦い顔をしていたが、まあ私とウルティハの二人なら行けるだろうと判断してくれたらしい。


というわけで、ある意味ドキュメンタリー?のような撮影兼討伐依頼が始まるのであった。






今回はト書きがかなり多くなりましたが、原因はこのお話は一話で終わらせる予定だったのがいつの間にか長くなってしまったからです……やはり戦闘を書く場面は力を入れて書く必要がありますね。ちなみに魔物の設定がかなり曖昧にしてあるのは、魔物との闘いはあまりこの作品の本筋には関わってこないからです。違う作品では深掘り出来たらいいなぁとは思っています。あと、10月の初めごろまでは少々執筆を止めようと思っています。なので次の話は10月の中旬ごろになる予定です、お待たせしてすいません。

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