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前世の記憶と魔法の活用性

さて、まずはウルティハの相談だ。

騎士志望の生徒の実戦訓練である魔物退治を終わった後に時間があったので探してまずは話しに行く。

教室には居なかった為学園を探すと、いつもの空き教室…あ…ではなく、室内訓練場でようやく見つけた。

珍しく手には小型の杖を持って魔法の実験をしているようだった。


「やっと見つけた……ウルティ、ここに居たのね。」

「……んあ?ああマルニか。どしたよ、アタシ様に何か用か?」

「ええ、少し。……ご機嫌斜め、かしら?」


ウルティハは杖を手元でくるくる回しながら私と話す。

その表情は、何処か目つきがいつもより鋭く感じる。

もしかして、と思っていたが、やはりこの前の喧嘩で怒っているのだろうか?という予想はしていなかったわけではない。

多分、ああいう喧嘩は二人からしてもあまり無い事……もしかしたら初めての事だったかもしれない。

私も前世で人に怒る事自体あまり無かったから、人との喧嘩もほとんど無い。

全く無くはないけど……まあ、そういうわけで喧嘩に対する対処の方法もあまりわからないから、そこについてはあまり言えない。


「あー……あー……まあ、ちょっとイラっとはしてるな、特にセナの態度には。まあ、だから今そのストレス発散を兼ねて一人で研究してたんだけどよ。」

「やっぱりね……って、一人で研究?ストレス発散でも研究してるって凄いわね。」

「まあ、今回の解決には魔法の研究が必要かなって感じたからな。」

「魔法の研究が必要……?」

「ああ。」


少し怒ったままのような顔で、でも少し何かを誤魔化すように顔を逸らすウルティハ。


「シレーナの観光産業には兄ぃ様の海や海洋生物の研究が活かされている。なら、アタシ様の得意分野である魔法の研究を使ってセナの実績になるなら……って思ったんだよ。」

「……。」

「なんだよ、何でそんなびっくりした顔をしてるんだ?」

「いや……まさか私が考えた事と近いことにもう辿り着いていたなんてって、驚いて。流石は天才ね。」

「ああ?なんだ急に褒めてきて。」


ウルティハの表情が和らいで、どこか照れているのか恥ずかしいのか、顔が赤くなる。

私は本心から凄いと思ったのだが、ウルティハはもしかして素直に褒められる事にあまり慣れていないのだろうか。

てっきり天才らしく褒められても当たり前とばかりにどや顔でもするとでも思っていたのだが。

……状況の違いだろうか?

まあそれはそれとして、本当に凄いとは思う。

実際私は魔法がエスセナの助けになるかもしれないというのは、ソルスに言われなかったら気づかなかったか、気づいてもまだ時間がかかっただろう。

頭が良い人が周りに居る、というのは助かるものだ。

それに感謝すると共に自分ももっと成長しなきゃ、と思う。


「その事で相談があったから話しを聞きに来たのよ。これはソルスからのアイデアなんだけど……。」


私は昨日、ソルスに考えてもらったアイデアを話す。

最初はいまいちピンと来ていなかったような表情をしていたウルティハだが聞いていくうちに考え込むような顔つきになる。


そして話し終わると考え込みながら「うーん」、「んー」と小さく声を出すウルティハ。

やがて考えが纏まったのか口を開いた。


「そういえば、アタシ様が踊る火花の魔法を作った時の事を思い出すなぁ。」

「そうなの?」

「前も言ったけど、あの魔法はセナが前世での……花火?ってやつを模して作った魔法だ。そして、アタシ様はあの魔法をセナとアタシ様だけの秘密を持った魔法にして、セナと同じようにこの世界に転生してきた人が居ないかを見つける為の魔法にしていたんだ。」

「あれを見せたのは、そういう意味があったのね。確かに私が反応して私という転生者が見つかったわけだけど。」

「そういう事。それを考えると……あの魔法を発表して、沢山の人に広めてみるのもありかもしれないな。それこそシレーナで踊る火花の魔法を発動する為の魔導機を使えば、新しい観光の名物になるだろうし。」


魔導機というのは、この世界ではわりと一般的に使われている、「特定の魔法を発動する機械」だ。

それこそ家電のような感覚で使える簡単な物なら家庭などにもある事もあるし、複雑な魔法や大規模な魔法を発動するようなパソコンのような魔導機は高級で貴族でもなかなか持っていない事もある。

今回のイメージとしては、それこそ打ち上げ花火のように魔導機で踊る火花の魔法を打ち上げて大きな花火を作るという感じなのだろう。

シレーナは海の街だからきっと花火大会のように映えるのだろう。……実際の花火大会は行った事無かったけど。


「なら、桜日の国から衣服を仕入れたりするのもアリね。」

「何で桜日の名前が出てくるんだ?」

「私達の前世では、桜日のような衣服……浴衣っていうんだけど、それを着て花火を見るのが夏の風物詩だったのよ。」

「へえ、つまり桜日との文化交流になってダブルでお得!って事だな!」

「そういう事よ。」


これなら、「観光」としての実績作りにはなる筈だ。

それにこういうアイデアを考える事がエスセナが出来るようになれば、今後のエスセナのアクトリス家での立ち回りも上手くなるだろう。


だが、そこでウルティハはまたしても考える。


「でも、これだけじゃあ何か足りない、って感じだよなぁ。」

「そう……なのかしら?新しい観光名物や交流、物流の提案は今エッセが必要な物だと思うけれど。」

「それはそうだし、このアイデアはこのアイデアでセナに伝えるつもりだけどさぁ……何かセナらしいアイデアも無いかなって思うんだよな。」

「エッセらしい……アイデア?」


私は首を傾げる。

エスセナらしいアイデア。

エスセナらしい、というと、やはり演技やショーのようなエンターテインメント、表現者としてのアイデアという事だろうか。

でも、今既にシレーナでは演劇やショーはやっている。

(他に何か出来るような事が……。)

そこで考えた所で、私は一つ、ある事を思い出した。


(それをこの世界で出来るの……?でも、それが出来るならもしかしたら……いけるかもしれない。)


私はしっかりとウルティハの顔を見る。


「ちょっと二人に確認したい事がある。」

「ん?アタシ様にもか?いいけど……何が聞きたい?」

「まだ確証が無いの。だから、確認の為に今からエッセの所に行くわよ。」

「え?お、おう……何か急だなおい……。」


普段なら二人に振り回されている私がウルティハを連れまわす。

この構図も不思議な気がするが、この考えが上手くいけばエスセナのもう一つのアイデアになるかもしれない。

だから、今からすぐに確かめに、私達はエスセナを探しに行く事にした。

ネタ切れせずに高いモチベを保ち続けたまま書き続ける事が出来るというのは喜ばしい事ですが、遊んだりする時間が削れてしまうのは悩ましいですね。プロの作家の方々は自分が働いている時間に物書きをして自分が物書きをしている時間に遊んでいるのかもしれませんが、インプットとアウトプットの時間をバランスよく保ちたいものです。

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