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ウルティハの考えと意外な協力者

「で、何かプランはあるのかしら?学園の人…恐らくは主に教員や職員、学園関係者の事だろうけど、その人達を納得させるプランは。」

「そうだねぇ……一番分かりやすい物として、何かの実績を作る事だと思うけれど何か私達で実績を作れるか……誰かが何かを求めてくれる事があるなら有難いのだけれど。」

「そもそもその実績を作るとして、アタシ様の助手として今やってますって事で何とか誤魔化してるって感じだからなぁ。そしてその状態で何か実績を作るってなると、アタシ様の研究発表や論文の発表ってなるわけで……それだと今後の活動で困るし、アタシ様の補助の為の研究会になっちまうからな……それはアタシ様としても困るし、アタシ様としても本意じゃないからなぁ……。」

「今後の活動……?」

「何か考えているのかい?」

「うっ……うーん……。」


私達の会議中も、ウルティハは何か言葉に詰まる。

普段は明朗快活な感じのウルティハがこういう風に考え込んだりするのは珍しい。

うーん、うーんと小さくウルティハが小さく唸っていると、やがてウルティハは「はぁー……。」と何か諦めるかのように大きく息をついた。


「……これは絶対に他言無用の秘密だぞ?」

「ティハがそこまで言うのは珍しいじゃないか。僕達に一体何を隠してるんだい?」

「それは私も気になった。ウルティ……私達でも、言いにくい事かしら?」

「いや、そういうわけじゃないんだが……実は、だな。」

「「実は?」」


ウルティハが「すぅ、はぁぁ……。」と大きく深呼吸して心を整える。


「実は、後一人……いや、正確には二人かな。私達の仲間に入れたい奴が居る。だがな、その人はアタシ様達とは違う意味で…誘うのが難しい人なんだ。」

「……そこでこの人を入れたい、と明確に名前を言わない辺り、何か大きな理由があるという事だね、ティハ。」

「私の事は無理矢理引っ張ってきてでも強引に入れた。そんなウルティがエッセにも伝えず、手段を考える相手……となると、すぐに思い浮かぶのは……王族関係者かしら?」

「……流石に鋭いな、マルニは。」

「騎士志望ですもの、王家直属などになる可能性もあるのだから、頭には浮かぶわ。」


なるほど、王族の関係者か……確かにそれは、研究では有名なインベスティ家でも流石に躊躇する相手になるだろう。


このインフロールの王族は、王族だけあってやはり特別な理由でも無い限り、このサンターリオ学園に入学する。

そして王族、または関係者は当然他の貴族よりもほとんどは身分、立場も権力なども上だ。

その王族の人間をクラブに誘う、という事はかなり勇気も度胸も要るし、そして越えるべき壁もある。

そもそも本来は、むしろ王族関係者はクラブなどを自ら作る場合がほとんどである。

その理由は様々で、自ら率先して人々を引っ張り、導いていく力を日々から養うだとか、自らが突き詰めるべき能力を更に学園という素晴らしい環境で磨くとか色々な理由がある。

まあつまり、普通は誘われたクラブに参加する、という前例はほとんど無いと言っていいだろう。

それは単純にその人の為になるのか?という疑問点というのも理由の一つでもあるし、王族との繋がりを持ちたい、そしてそのコネを利用して学園で優位に立ちたい、学園や将来で王族を利用したいという邪念に溢れた考えの持ち主から護る為でもある。

……それを考えると、確かに私達の現在の状況は非常に不味いと言えるだろう。

貴族の中でも問題児の三人組なのだ、問題児達が組んで、しかもほぼ正式な許可を取らずに勝手に魔法の研究に明け暮れている。

王家直属の魔術師になる、というならまだしも、一人は騎士志望、一人は魔法の研究家志望、一人にいたっては役者志望だ。

普通に考えて、私でも多分王族だったら娘や息子を近づけたくないと思うだろう。

そして流石に、それはウルティハも理解しているらしい。

だからこそ、実績を作るなりして正式なクラブにする必要がある、そうすれば、その呼びたい人を連れてこられる可能性も上がる、といった所だろうか。


(どうしたものかな……)


そう考えていた時だった。


「おや、君達の研究所はここだったのかい。」

「「「……!?」」」


突然男性の声が聞こえてビクッ!!、と私達は反応する。

空き教室なので誰にも気づかれないと思っていたので、慌てて私達はバッ!!と慌てて振り向いた。

そこに居たのは……


「ジュ、ジュビア先生……!?」

「やあ、マルニーニャ嬢、エスセナ嬢、ウルティハ嬢。」

「な、何でこんな所に?」


扉の所に立っていたのはジュビア先生だった。

ジュビア先生は、相変わらずどこか少し気だるげに、小さく笑って手を上げる。

ジュビア先生が何故ここに居るのか、何故ここに居るのが分かったのかも不思議だが、ジュビア先生がこの教室に入っていた事に気づいていなかった事にも我ながら驚いてしまう。


「君達の研究そしている所を探すように言われていてね。ああ、安心したまえ。君達の邪魔をしたりするつもりは無いさ。むしろ自主的に、積極的に研究活動をしている所は私は内申点をあげたい所だ。」

「よ、良かった……」


ほっ、と安心の息をつくウルティハ。

だが私は気になる所がある。


「その、ジュビア先生……今の私達の話、どこまで聞いていましたか?」

「さて……誘いたい王族関係者が居る、と言っていた辺りからだったかな。」

「ほとんど聞いてるじゃないかい……!」


私達に焦りの汗が浮かぶ。

ウービエント家からほとんど追放された身とは言え、ジュビア先生も貴族であり学園の教師。

王族が関係する話となれば恐らくだが止めるように言ってくる……そう思っていた。

だが、ジュビア先生からの言葉は、私の予想とは違う言葉だった。


「私からの提案がある、どれを聞いてみるのはどうだい?」

「……えっ?」

「止めない、のかな……?」

「ふむ?何故私が止める必要があるのかね?」


ジュビア先生は不思議そうにしている。

いやいや、今回不思議というか変なのは恐らくだがジュビア先生の方である。

だが、続く言葉に今度は私達が首を傾げる事になる。


「だって、王族や関係者に関わろうとしているんですよ?普通の職員なら問題を起こさない為に止めに入るのでは?」

「ふむ……それについてはいくつか理由がある。」

「理由?

「一つは先程言った通り、自主的な生徒を私は応援したいからね、私がが止める理由は無いと判断したという事。」

「はあ……。」

「次に、これは他の人達には秘密なんだが、私は王族優先なこの学園の現状が個人的に気に食わなくってね、だからそういうルールを破りたくなるものなのさ。」

「……色々言いたい事はあるけれど、僕達の事がバレたら不味いから言わない事にするよ。」

「良い判断だ。そして最後だが……ウルティハ嬢が言う生徒に私も心当たりがあってね。」

「そ、そうなのか!?」

「ああ。だから、私も彼女たちには君達と関わるような新しい刺激が成長に繋がると思うからね。だからこそ、君達の事が上手く行って彼女たちと関わるようになってほしいと個人的に思うのだよ。」


ジュビア先生に心当たりがあって、私達と関わった方が良いと思う相手……?

考えてはみるが、さっぱり思い当たらない。

やはりここら辺は中央貴族や中央と関わりのある貴族達は情報があるのは強いな、と思わざるを得ない。


「まあ、そういうわけだ、私なりに実績に繋がりそうな知恵を貸したいと思うのだが……どうかな?」

「そういう事なら……二人も良いかしら?」

「アタシ様はバラされないなら文句は無い。」

「僕もアイデアは必要だと思うからね、良いんじゃないかな。」

「決まりだね、なら、よろしく頼むよ。」


こうやってジュビア先生が一緒にアイデアを考える事になった。

……それにしても、攻略対象のジュビア先生とこんなに親交を深めるような事があって、もし何かの間違いでソルスのジュビア先生への攻略に支障が出るようにならないだろうか?

そうなったら非常に不味いと思うのだが……。

今はとりあえず、これが上手くいく事に繋がるように祈るしか無さそうだ……。

ジュビア先生の出番が急に生えてきたので少し話がずれてしまいましたがまあ、まだ許容範囲内で。というかむしろこうやって出番を増やさないとジュビア先生は出番が主要人物の中では少なくなりそうなんですよね…。

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