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三人のお茶会 マルニの場合

「おーっす、そろそろ話終わったかぁ?」

「やあウルティハ、まあ、君に聞かせられない部分はだいたい終わったさ!」

「おーう、そっかそっか!ぜひ聞きたい話だが聞かせられないならまあ仕方ないなぁ、はっはー!!」


戻ってきたウルティハとハイタッチを交わしながら笑うエスセナ。

ここまでハッキリと「聞かせられない」と言ってそれを当たり前のように受け入れる二人に何となく不思議に感じる。


「もしかして…二人は嘘ってあまり好きじゃないのかしら?」

「ん?そうだよ?嘘はつくけどね?」

「おう、嘘は嫌いだけど嘘はつくぞ、アタシ様達は変に嘘つく必要が無いってだけでな!」

「そ、そうなのね…。」


当たり前という顔で私の質問に返事をする二人につい勢いに圧される。

なんというか、この二人の中での当たり前は世間一般の当たり前、くらいになっているのかもしれない。

やはり天才というか、変人の間では何か当人同士でしかわからない、通ずるものがあるのかもしれない…。


「…んで、聞かせられない部分は話したって事は、多分転生してからの話って所か?」

「流石はウルティハ、ご名答さ。これから話すのは、僕が生まれてからの話だね。っと。じゃあそれぞれの話をするんだ、このまま立ったまま長話も何だし、今日は実験はここで終わりにするかい?」

「そうね…わかったわ。なら、どこか良い所で座ってから話しましょうか。」


そう言って私達は、手続きをして室内訓練場を後にした。


の、だが…。


「どうして私の部屋なのよ…。」

「たまには良いのではないでしょうか、お嬢様。」


私は頭を抱える。

確かに「座って話しましょう」とは言った。

どこか話しやすい場所に入って話そうというのもまあわかる。

だが何故そこで私の部屋に入って話そうとなるのか…!


「いやあ、フレリスさんは美しいねえ!もしフレリスさんが良ければ僕が演技を教えて女優デビューさせたいくらいだよ!」

「お褒めに頂き光栄です、エスセナ様。私としては非常に興味深い話なので後で詳しく聞かせていただきたいのですが…。」

「待って、待ちなさいフレリス。さらっと舞台デビューしてうちの仕事を辞めるのは止めはしないけど流石に私には相談をしなさい、私としては今すぐに出て行かれたら流石に困るのよ。」

「冗談です、お嬢様。流石にお嬢様が学園を卒業して独り立ちするまでは私も待ちますよ。」

「出ていくのは確定なのかしら…。」

「いやいやマルニのメイドさん、アタシ様の研究の助手とかどうよ、一緒にやんね!?うちの家は研究家ばかりだからそこそこ良い給料出せるし、それにマルニに魔法教えたりしてたんだろ!?ここまでマルニを育てた指導力とか魔法の技術考えたら是非欲しいもんだわー!!」

「お褒めに頂き光栄です、ウルティハ様。私で良ければ後で是非詳しくお話を聞かせていただきたいのですが…。」

「だから待ちなさい、待ちなさいフレリス。魔法の研究の手伝いをするというのはオスクリダ家としても名誉になるかもしれないけれど、私抜きで話を進めないでちょうだい…っ。」

「冗談です、お嬢様。流石に私がインベスティ家の研究の手伝いをするようになるならお嬢様も連れて行きますので。」

「私も研究家になる路線になるのねそっちは…!?」

「「「はっはっは。」」」


くっ…明らかに私だけ置いてけぼりというか私だけ明らかに振り回されている…!

普段からこの三人に振り回されているのは薄々感じては居たがこの三人が出会ったらこうなるのは予想しておくべきだった…!

このままでは不味いと思って会話を切り出す事にした。


「こほん…とりあえず、お互いの今までの事をそれぞれ話そう、という事で良いのよね。…フレリスも聞く事になるだろうけど、それでも良いかしら?それとも、フレリスには席を外させた方が良いならそう言うけど…。」

「僕は別に構わないよ、別に隠すような事は特に無いし、隠したい事があるなら隠すしね?」

「アタシ様も別に構わないぜー、というかアタシ様の話も聞きたいならだけど!」

「確かにウルティの話も興味があるわね…聞かせてくれるなら嬉しいわ。…なら、私から話す事にしようかしら。フレリスも知らない事もあるかもだけれど、聞くかしら?」

「ご安心ください、お嬢様。聞いてないフリは得意ですよ。ご夕食の用意でもしながら話が終わるのを待つ事にしますね。」

「全く…まあ、有難いわね。なら、お願いしようかしら。」


そうやって話を始める事にした。


幼少期から闇属性に目覚めてそれを含めた魔法の訓練や勉強をフレリスを中心に教えてもらった事。

幼少期からオスクリダ家のやり方に疑問を持って自分から慈善活動などを始めた事。

その中でソルス、アルデールという大事な存在が出来たという事。

そしてその中でも特にソルスとは魔力通話を使ってよく会話をしている事を話した。

まあ、一部はぼかしたり隠したりしたが。

特に騎士を目指すきっかけに関しては前世の記憶がもろに関係しているので、そこはソルスとアルデールに出会ってからという事にしたしソルスがいずれ光属性に目覚める事も隠した。

多分エスセナはそこらへんについてはあまり分からないだろうし、フレリスはさっきも言った通り聞いてないフリをしてくれるだろう。


というわけで、話し終わった。


「いやあ、人の思い出話を聞くというのもなかなか楽しいものだね。」

「だなぁ、でもその中で特に気になったのは…。」


ちらり、とエスセナとウルティハが目を合わせると頷く。

ごくり、と少し緊張して何を聞き出すかと私は構える。


「「魔力通話!」」

「…へっ?」


あまりに予想外の点について聞かれたのであまりにも気の抜けた声が声が出てしまった。


「そ、そこなのね…?」

「もちろんさ!いやあ、まさかこの世界で通話をしようなんて発想が無かったよ!」

「え、前世じゃ遠くの人と話せるのが当たり前だったのか!?すげえ!というかその魔力通話ってアタシ様も出来るかな!?」

「え?ええ、仕組みは簡単だから出来るけど…。」

「じゃあそれアタシ様達に教えてくれよ!なんなら改良してもっと使えるように、使いやすいようにするからさ!」


わーわーとはしゃぐエスセナとウルティハ。

結局この後は魔力通話の研究で盛り上がる二人だったのであった。



考えたらテレパシーとか特別な魔法じゃない方法で遠くと会話したり出来るってファンタジー世界だとかなり便利だな…とは魔力通話のシステムを考えた時から思ってはいました。

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