第8話 一年生試合 櫻庭中VS清公中 その②
1Qの試合を見ていた俺は、五十鈴のの異変に気付いた。さっきから急に体制を変えたと思ったら、いつもの元気良いバスケットから荒いバスケットに変わった。
あ、またドリブルカットした。
「五十鈴、本気出してるね」
「本気?」
隣に座っていた佳音がそんなことを呟く。え?異世界にいた時に出会った魔獣見たいな風格している今の五十鈴が本気なの?
「そう。私たちは五十鈴と同じクラブだったんだけど、私たちって弱かったんだよね。けど、五十鈴がエースとして無双して県大会2位まで来れたんだよね。そして、ある監督があの状態の五十鈴を猛獣と例えたから、ミニバス内だと『猛獣』の天羽って呼ばれてたんだよね」
「へぇ~。五十鈴ってそんなカッコいい二つ名とかあったんだ」
そうして、五十鈴中心に櫻庭中は奮闘して1Qは22対25で3点差負けているがいい結果で終わった。
そして1Qは終わったので、2Qに出る一年生が軽いアップを始める。次は陽花里の出番だ。
「疲れて~燐ちゃん、癒して~」
「うぁわ!?い、五十鈴。お、お疲れ。凄かったよ」
「ありがとう。それじゃあ穂波先輩。燐ちゃんから退いてください。次は私が乗せます」
「その前にね、まずは汗を拭きましょうね。それから燐ちゃんを乗せたいならあっちでじゃんけんしてきてね」
穂波先輩が指差す方向を向くと20名ほどが集まってじゃんけんをしていた。あれって、もしかして俺を膝に誰が乗せるかじゃんけんしているのか?………そんなに俺を乗せたいのか?まぁ、自分が癒し要員なのは自覚しているが。
「分かりました」
そして汗を拭きながら五十鈴はあのじゃんけんの間に入って行く。……………………あ、嘉羅場先輩が勝った。じゃあ次は嘉羅場先輩の膝の上に乗るのか。
そんな事を思っていると、2Q目が始まろうとしていた。もちろん俺は嘉羅場先輩の膝の上に乗せられ頭を撫でられながら応援をした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
その後、2Q、3Qが終わり、点差は33対61で32点差で負けていた。いや、ほんと相手が強い。3Qとかほとんど何もできずに終わったもん。これ、勝てるのかな。あ~けど、焼肉食べたいから素人じゃ分からない程度のレベルで全身に身体強化付けよ。20分程度なら俺の身体強化は続くし。
「燐ちゃん。もうそろそろ時間だし行こ」
「あ、うん分かった」
佳音に呼ばれ俺は渡された23番のビブス来て、コート内に出た。そして、4Q目がスタートした。俺達はオフェンスからスタートするそうだ。
しかし、初めての試合なので何を知れば分からないので、とりあえずボールを持っている人の邪魔のならない場所へ移動する。場所で言うとコートの端の場所だ。俺をついている人も俺を警戒してないのか、ゴール下の場所でカバーの準備をしている。
※燐は警戒していないと言ってますが、これはマンツーマンディフェンスと言って主に自分のポジションと同じ、また体格が近い相手をマークマンとし、1対1で対象を守る事です。別に警戒してない訳ではありません。燐の知識が無いだけです。
一線、二線、三線と別れており、燐を守っている人はボールを保持している人から離れている三線の位置のため、オープンディフェンスをしています。
15歳以下はゾーンディフェンスが禁止されているため中学ではマンツーマンが基本です。(高校になった際、ゾーンディフェンスを解説します)
そのままじっとしていると佳音にボールが渡り、ドリブルで相手を抜かすとカバーが来る前にシュートを放つ。
俺はリバウンドチャンスと思い、リング下に移動すると佳音のシュートが外れたのが分かるとみんながジャンプする前に飛び、リバウンドを成功させる。そして、そのまま地上へ降り、何故かディフェンスが動かないためそのままリング下シュートを決める。このシュートならまだ始めたばかりの俺でも入る。
「ナイシュー燐ちゃん」
佳音や他の皆が俺のシュートが入った事をナイスを言ってくれる。スゲー、試合でシュートを決めるとこんなに嬉しいのか。よし!!どんどんジャンプして決めよう!!
そうしてディフェンスに戻ると相手さんの顧問の声でようやく動き出す。何やってたんだあの人たち。
そしてようやく来た相手チームはパスを回し、私がマークしている人にボースが渡ると、体格差を利用して強引に抜こうとしてきた。まぁ、確かに有効だよね。俺は140cm未満対して相手は150cm以上。普通にやれば相手が有利だ。
だけど、素の身体能力も高いのにそれに加え身体強化も施されている俺を強引に抜くことは出来ない。というより、抜く前にボールが奪われる。
何故なら、身体強化された私の手の動きには誰も反応できない。これは五十鈴や先輩方で検証済みだ。なので、俺からボールを奪られないようにするには身体を前にして後ろでドリブルするか、超高等テクニックでドリブルを行うしかないのだ。
そうしてドリブルを横でついている相手からボールをスティールする。そして俺はこのために練習して来たドリブル練習を披露する。
「く、速すぎる」
「どうやって追いつくんだよ」
そう、俺の全力走りにドリブルを合わせる事だ。俺は速すぎてドリブルが追い付かないでファンブルばかりだったが、この日のために練習して来たので、俺のスピードに合わせる事が出来る。………ちなみに、合わせるしかできないのでここから切り返しやドリブルテクニックを行う事は出来ない。そして、俺はレイアップはまだ撃てないので一度止まる必要がある。まぁ、俺のシュート打点はダンクより少し低いくらいのため中学では誰もブロックは出来ないが。
そうして、試合が始まってまだ30秒も経っていないうちに俺は4点を決めることが出来た。
燐ちゃん無双開始




