富豪の村 その5
リゼ「でも、どうするのよ。今私たち、牢屋にいるのよ??」
カイル「…………………」
カイル「まあ、とりあえず、バルトが来るまで待ってよう」
リゼ「無策じゃねえか!!」
カイル「なんか横になったら、急に眠くなってきた…」
リゼ「おい!!寝るな!!」
カイル「…あ!!ちなみに、さっきから俺と話してたあなたは誰ですか??」
リゼ「ジャックの親父さんよ」
カイル「マジか!!」
ジャック父「どうも。息子がお世話になりました」
カイル「いえいえそんな。こちらこそ大変お世話になりました」ペコペコm(_ _"m)
ジャック父「そんな。勇者様、顔をあげてください」
カイル「…………………」
ジャック父「勇者様…?」
カイル「………ZZZZ」
ジャック父「土下座しながら寝てる…だと…?」
リゼ「どんだけ眠かったのよ…」
バルト「…おい!!バカ勇者!!」
カイル「んが??」
バルト「吞気に寝てんじゃねえ!!さっさと出ろ!!」
カイル「…おー、バルト!!やっぱり来てくれたか!!」
バルト「うるせえ!!簡単に捕まりやがって…」
カイル「いや、それは違う!!気づいたら牢屋にいたんだ!!」
バルト「そっちの方がヤベエわ!!」
リゼ「みなさん、こちらです。今すぐここから出てください!!」
スピカ「お待ちください。私が皆さんを回復させます!ヒール!」
ジャック父「うおおおおおおおお!!力がみなぎる!!」
ジャック父「よっしゃあ!!じゃあみんなでさ、あのバカ村長のところにカチコミ行こうぜ!!」
「イエーイ!!」
「ウエーイ!!」
「フォーーーーーー!!」
バルト「あれ??コイツら暴走族かなんか??」
ドガン!
バキイ!
村長「何の音だ…?うるさいな…」
カイル「よお!!村長!!」
村長「な…!?き、貴様は勇者!?なぜここに!?」
カイル「それどころじゃねえぞ??周りを見てみな(笑)」
「「「うおおおおおおおお!!」」」
村長「な、なんだ貴様ら!?」
「てめえ、よくも今まで騙してやがったな!?」
「ぶっ〇す!!」
カイル「覚悟しろ!!」
村長「ひ、ひいい!!お、おい!!騎士団!!さっさと来い!!」
騎士「なんすか…こんな夜中に騒がしい…俺、眠いんすけど…」
カイル「あ!!」
騎士「あ!!う〇こタイムが超長かった奴!!」
村長「あいつらをぶっ倒せ!!」
騎士「へいへい。よし、覚悟しやがれ」
リゼ「カイル、大丈夫そう??」
カイル「おいおい。俺を誰だと思ってんだ??余裕だよ(ドヤ顔)」
リゼ「怪しいわ…念のため、ここで待機しとくわね」
カイル「まったく、リゼは心配性だな。ならいっちょカッコいいとこ見せますかあ…(ドヤ顔)」
カイル(リゼ、マジでよく見とけよ!?この俺の勇姿を!!)
騎士「行くぞ!!」
ギイン!ガン!バシイ!!
カイル「…やるじゃん」
騎士「…そっちこそ」
ガガガ!バシイ!!ギン!!
カイル「あ、そうだ」
騎士「あ??なんだよ!」
カイル「この館、多分今日で閉館するから、新しい就職先、見つけといた方がいいかも!!」
騎士「な、なにい!?マジかそれ!?うわああああああああ!!また無職かよおおおお!!」
カイル「就職できることを祈ってますパンチ!!」
バキイ!!
騎士「ギャアアアーーーー!!」
バタン
カイル「どう!?リゼ、見てた!?」
リゼ「すごーいバルト!!カッコいい!!」
カイル「なんで!?」
バルト「うおおおおおおおお!!くたばれ雑魚ども!!」
「「「ギャアアアアアアアアアア!!」」」
リゼ「バルト!!キャーーーーー!!」
カイル「おい!!ちょっとちょっと!!」
リゼ「はあ??何よ」
カイル「あいつは、雑魚をいっぱい倒してイキってるだけだぞ??そんなことより俺を見てくれ!!ほら、中ボスクラスの強敵を、いとも簡単に倒してるんだぞ!?すごいだろ!!」
リゼ「自分でアピールしてるから、超ダサい」
カイル「ガーーーン…」
スピカ「いえいえ!!超カッコいいですよ!!勇者様!!」
カイル「シュ、シュビガ(スピカ)…ありがどう…」
バルト「スピカ!!俺はどうだ!?」
スピカ「え、ええ。バルトさんもカッコいいですよ!!」
バルト「ふふん(ドヤ顔)」
カイル「おい!!なんだそのドヤ顔は!!言っとくけど、俺の方がカッコいいから!!スピカはそう思ってるよな!?」
バルト「いいや!!俺だよな!?」
スピカ「うーん、ちょっと勇者様が上かなあ…?」
カイル「いよっしゃあああああ!!ざまあ!!あひゃひゃひゃひゃひゃ!!」
バルト「ウッッザ!!マジで〇す!!」
カイル「上等だよ!!来いよ!!」
村長「おいコラ!!この私を無視するな!!」
カイル「は…??」
バルト「誰だアンタ…??」
村長「村長だよ!!」
カイル「おーーい、ジャックの親父さーん!!」
ジャック父「なんだ!?勇者さん」
カイル「このゴミをしばく準備は、できてるか??」
ジャック父「おうよ!!なあ、みんな!!」
「「「おーーー!!」」」
村長「ま、まあこういう時のための裏口を用意してたんだな!!(笑) ではさらばだ!!(笑)」
ガラガラ
ドシャーン
村長「え…?」
バルト「あ、すまん。なんかムカついて破壊しちゃった…(笑)」
村長「なんでだよ!!」
バルト「なんか、あんまデザインが好きじゃなかったんだよね…」
村長「めんどくさい芸術家か!!」
カイル「おい。覚悟はいいか??」
村長「ひ、ひいい!!」
ジャック父「今まで、よくも騙して俺たちを働かせたな??それからよくもこれまでとんでもなく高い税金と通行料金を取りやがったな…??」
村長「ご、ごめんって…」
カイル「なにか、言い残すことはあるか…?」
村長「お、俺様は」
カイル「おらあああああああ!!」
バキイ!!
村長「言い残させて!?せめて何か言い残させて!?」
カイル「いや、「俺様」に腹が立った」
村長「は、はい!!訂正します!!お、俺は…貴族の中でも落ちこぼれだった…散々バカにされて、惨めな幼少期を過ごしたんだ!!だから、この村を支配して、みんなから高いお金を取って、金持ちになって、あいつらを、あいつらを見返してやろうと思ったんだ!!」
村長「だ、だから、わざわざ他の貴族も呼んで住まわせたり、見せつけたりしてたんだ…」
カイル「クソみてえな理由だな!!」
村長「ひ、ひいい!!」
カイル「反省は、してるのか…?」
村長「は、はい!!してましゅ!!」
カイル「…そうか。アンタはまだ若い。今回だけは許そう」
村長「え…?」
バルト「しょーがねえな。お前がいいって言うなら…」
「まだ20代だしな…」
「しょーがねえべ」
「まったく…」
村長「み、みんな…」
カイル「良かったな。ただし、アンタは村長をやめてもらうぞ??」
村長「そ、それは、勿論…」
カイル「それから、次もし、また悪事を働いたら…」
村長「しません!!絶対しましぇん!!」
カイル「よろしい」
村長「はあ…」
カイル「じゃあ、みんな解散しよう!!この建物をどうするかは、また考えよう!!」
ジャック父「おう!!」
ジャック父「じゃあ久しぶりに、宴でも開こうぜ!!」
「「「イエーイ!!」」」
村長「…………………」
カイル「なあ。周りがどうとか、あんま関係なくねえか??」
村長「え?」
カイル「周りの貴族のことなんて、そんな気にしなくていいと思うぜ。それより、アンタが仲良くなりたい奴らと仲良くなればいいと思う」
村長「仲良くなりたい奴…?」
カイル「少なくとも、金の力だけでアンタをバカにしてくるような奴らより、ここに住んでる奴らの方が、よっっぽどいい奴らだと、俺は思うぜ??」
村長「……………………」
カイル「世の中、金だ金だと言うけど、最低限の収入さえあれば、後はそいつの人徳次第で、いい人生にはなると思うぜ??」
村長「…みんなと、仲良く…か。でももう手遅れさ…」
カイル「いや??それはこれからのアンタの努力次第じゃねーの?」
村長「……………………」
カイル「信頼を取り戻すのは難しいけど、それでもひたむきに頑張れば、きっと誰かがアンタに心を開いてくれるさ。絶対にな。」
村長「……………………」
カイル「じゃあな!!」
ジャック父「勇者様、本当にありがとうございました…」
ジャック「ありがとー!!勇者様!!」
カイル「い、いやあ。照れますなあ」
カイル「というのは冗談で、実際はコイツらのおかげです。俺はほとんど何もしてません。なので、お礼を言うなら是非コイツらにお願いします」
スピカ「ゆ、勇者様!!/////」
バルト「おいおい。カイル、カッコ良すぎだぜ」
リゼ「言うじゃない。カッコイイわよ」
カイル「い、いやあーーー!!うへへ、やっぱそう!?」
リゼ「まーたすぐ調子に乗る…」
カイル「リゼ、もう1回言って!!」
リゼ「は??」
カイル「もう1回カッコイイって言って!!」
リゼ「絶対嫌だ!!!」
ジャック父「あの、本当にありがとうございました…」
スピカ「いえいえ。困ってる人を助けるのも私たちの役目ですので」
バルト「そうそう。これからは平和に暮らせよ」
ジャック父「皆で力を合わせて頑張ります!」
カイル「リゼ!!もう1回カッコいいって言ってよ!!」
リゼ「あーもううっさい!!あっち行け!!」
バルト「じゃあ、そろそろ行くか!」
スピカ「ええ。そうですね」
リゼ「まったく。随分と時間がとられたわね…」
スピカ「まあまあ。感謝されることは良いことじゃないですか(笑)」
リゼ「ふ、ふん!!そ、そんなことされたって、全然嬉しくなんてないんだからね!!」
カイル「とかいって、ホントは滅茶苦茶嬉しいくせに(笑)」
リゼ「うっさい!!////」
~完~