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盗賊の村 その2

カイル「さて、と…なんでこんなことをしたのか教えてもらおうか?」


泥棒1「…………………」


カイル「コイツ、警察じゃないよね?なんでこの人の元に連れて行ったの?」


泥棒1「イヤ、コイツケイサツ」


泥棒2「ウン。オレハケイサツ」


カイル「噓ばっかりだな。拷問すっぞ??」


泥棒2「バカが。勇者がそんなことするわけねえだろ」


カイル「いや、全然するけど。」


泥棒1「え!?!?」


泥棒2「お前、それでも勇者か!?」


カイル「勇者が拷問しないなんて、誰が言ったんだ?(笑)」


泥棒1「勇者は、優しくて全てを許す慈悲の心を持ってるはずだろうが!!」


カイル「世の中、優しくない勇者だっている。」


泥棒1「…………………」


泥棒2「…………………」


泥棒1「も、もし俺達を拷問したら、ネットでお前の悪口を書き込んでやる!!」


カイル「この世界にねえわそんなもん!!」


泥棒2「もし拷問したら、裁判でお前を訴えてやる!!」


カイル「盗賊が何を言ってんだ!?」


泥棒1「もし拷問したら、お前の家の前にう〇こしてやる!!」


泥棒2「もし拷問したら、お前の母ちゃんデベソって連呼してやる!!」


カイル「何この低レベルな脅し文句!!」


泥棒1「もし拷問しt」

カイル「ギャーギャーうるさいなあ…よいしょ」ガシャ


泥棒2「な、な、なんで剣を抜いてんだよ!!」


カイル「なんでって、今からお前達の皮を剝ぎ取るために決まってるじゃん(笑)」


泥棒2「こわ!!おい、なんなんだこの勇者!!」


泥棒1「コイツ、ガチでサイコパスなんだよ!!誰か助けてくれ!!」


カイル「俺の質問に答えろ。そうすれば生かしといてやる」


泥棒1「完全に悪役のセリフ!!」


カイル「…で、話してくれる??(笑)」


泥棒1「話します話します!!何でも話します!!


泥棒2「私の生い立ちから趣味まで、何でも話します!!」


カイル「よろしい」


泥棒1「えっと…殺さないんですか…?」ガクガクブルブル


泥棒2「僕達を…許してくれますか…?」ガクガクブルブル


カイル「ジョーダンだって、ジョーダン(笑) 俺は勇者だよ??そんなことするわけないじゃん!(笑)」


泥棒1「いや、この人はマジだった。目がマジだった…」


泥棒2「ションベンちびるかと思った…」


カイル「それで、まずお前達の名前は?」


泥棒1「俺の名前は、土路(どろ) 望太郎(ぼうたろう)だ」


カイル「泥棒太郎!?」


泥棒2「俺は、(ごう) 藤次郎(とうじろう)だ」


カイル「強盗次郎!?お前ら、盗賊になるために産まれてきたんか!?」


土路「…で、俺はグンマー帝国サイハテ村5番地6丁目で生まれて、10人家族の三男として幼少期を過ごしていた。趣味は美少女フィギュア集め。それからオンラインゲーム」


カイル「生い立ちとか聞いてねえし、どこだよそこ!?てか美少女フィギュアとかオンラインゲーム、この世界にねえわ!!」


郷「俺はイバラキ皇国ドイナカ村3番地2丁目で生まれて、農家の20人家族の長男だった。趣味は化粧と脱毛。それから週1で日焼けサロンに通うこと」


カイル「なんで2人とも詳細な番地まで言うわけ!?全く興味ねえんだわ!!てかお前、趣味が陽キャすぎるだろ!!」


カイル「…って、どんだけ俺に突っ込ませんねん!!話を進めさせろ!!」


土路「いや、勇者様が何でも話せって言ったんじゃないですか…」


カイル「何でもとは確かに言ったけど…俺が聞いたことにだけ答えろや!!」


土路・郷「「はーーーーい」」


カイル「まったく…で、お前らはこの村で何してんの?」


土路「…俺達は盗賊で、この町を通る旅人から金品を奪って生活してる」


カイル「アンタもか?」


郷「俺は違うな。ただの一般市民だ。コイツとは何の関わりもない(笑)」


土路「おいテメエ!!ずりいぞ!!」


カイル「…ちなみに、噓ついてたらミンチにしてハンバーグにして販売するからな?」


郷「販売までしちゃうの!?噓です噓です!!めっちゃ盗賊です!!」


カイル「なるほど。じゃあこれまで何度も人から金品を盗んできたんだな?」


土路「そうです…自分がやらないと、他の盗賊に獲物をとられちゃうんで…」


郷「俺らも金稼がないと生きていけないんで。奪うしかないっすね…」


カイル「なるほど、それで全員が俺達を見てきたのか…」


土路「そういうことです」


郷「全員が旅人をターゲットにしてるので」


カイル「よくわかった。あ、もしもし。カツ丼を2つ注文しといてくれ」


土路「え?何これ?取り調べ室??」


郷「もしかして…俺達カツ丼食えるんじゃね??」ジュルリ


カイル「で、続きを話してくれ。俺はその間にカツ丼を食べるから」


土路「いや、アンタが食うんかい!!」


郷「2つ注文してただろうが!!俺達のじゃねーのか!?」


カイル「いや、2つとも俺のだけど??」


土路「まぎらわし!!」


郷「てか、なんで取り調べてる方が食べるんだよ!!」


カイル「何だうるせーな。お前らも食べるか?」


土路「食わねーよ!!」


郷「俺、食べたい!!」


土路「え!?じゃあやっぱ俺も!!」




ムシャムシャバクバク


カイル「それで、この町の警察署ってどこにあるんだ??」


土路「…ねえよ」


カイル「え?」


郷「そんなもんは、この村にはない」


カイル「マジかよ。だから誰もアンタらを追いかけたりもしないんだな…」


土路「それどころか、この町にいる全員が盗賊だぜ?(笑)」


カイル「なん…だと…?」


土路「全ての家に盗賊が住んでいるのさ。いわばこの村は、盗賊の村!!盗みをしたところで、誰に捕まることもない!!」


カイル「マジかよ……」


土路「この村に立ち寄る旅人を主に狙ってるのさ。でも最近は立ち寄るやつが減ってきて、金が枯渇してたんだ。そこに、アンタら金ヅルが来てっくれたって訳さ…」


カイル「金ヅルって…俺ら貧乏人だけど(笑)」


郷「全財産300ゴールドだったもんな、アンタ(笑)」


土路「関係ない。ここを通る人間全てがターゲットだ。だが最近はあまりにも人が通らなさ過ぎて、盗賊同士の争いもよく起こっているな」


カイル「まさか、盗賊が盗賊の家から盗んでいるのか?」


土路「まあ、そうなるな(笑)」


カイル「お前らさあ、少しは協力しろよ…(笑)」


土路「できるわけないだろ?俺らは盗賊だぞ?」


カイル「みんなで協力すれば何とかなるって!!」


土路「あのなあ、お互いがお互いを敵対視してる状態で、そんなことできるか!!しかも全員犯罪者だぞ!?考えが甘すぎる!!」


カイル「でもさあ、お前もわかってるんだろ?このままじゃあ生きていけないってことくらい」


土路「うるせーな…みんな、盗賊になるしか生きていく道がなかったんだよ!!さっきも言ったけど、俺の家はド田舎のド貧乏な家で、食べ物もままならなかった…俺も少し大きくなってから出稼ぎに出たが、俺らみたいに何の取柄もないガキは、まずどこも雇ってくれず、雇ってくれるような場所でも、治安が悪いせいであっさりと金を盗まれた!!」


郷「そこで俺達は気づいたのさ。奪う側にならないと生きていけないと!!」


カイル「お前らが、壮絶な人生を送ってきたのはよくわかったよ…」


土路「ふん。今更わかっても手遅れだよ…」


郷「俺達は、もう罪を重ねちまったからな…」


カイル「いーや、まだ間に合う。今こそ変わる時だ!!」


土路「は??正気かアンタ!?」


郷「簡単に言うじゃねえか…どうするつもりだ?」


カイル「…俺に考えがある」


~続く~

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