モンスターの村 その1
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カイル「なんだか、霧が濃くなってきたな…」
リゼ「なんか、気味が悪いわ…」
カイル「安心しろ!!リゼ、お前はこの俺が、命に代えても守ってやるぜ!!」
カイル(決まった!!俺カッコよすぎる!!)
リゼ「バルト、あたし怖い!!助けて~~」
カイル「いや、聞けよ!!」
リゼ「え??なんか言った??」
カイル「…………………」
スピカ「しかし、本当に何か出てきそうですね…」
リゼ「ちょ、ちょっと、やめてよ!!本当にお化けとか出たらどうすんの!!」
カイル「まったく。リゼは怖がりだなあ(笑)」
リゼ「うっさい!!」
カイル「お化けなんているわけないだろ(笑)」
リゼ「うっさい!!」
スピカ「あ、村が見えてきましたよ!」
バルト「お、人がいる」
カイル「ちょっと話を聞いてくるわ!すいませーん!」
???「…………………」
カイル「あの、この村、マジで霧がすごいですね…いつもこんな感じなんですか??」
???「…………………」
カイル「いや、あの、何か言ってくだs」
のっぺらぼう「はい……??」
カイル「ぎゃいやいやいやいやいやああああああアアアアアアア!!」
リゼ・バルト・スピカ「「「!?!?!?」」」
スピカ「どうしました勇者様!!」
バルト「大丈夫か!?何があった!?」
カイル「で、出た…」
バルト「出た?」
カイル「お、お、お、おおおお化け…出た…」
バルト「は??」
スピカ「え??」
バルト「あはははははは!!お前、その歳でお化けって…(笑)」
リゼ「あはははははは!!そんなのいるわけないじゃない!!(笑)」
カイル「お前!!さっきまでお化けにビビってたじゃねえか!!」
リゼ「あれは、ビビったふりよ。お化けなんて、リアルにいる訳ないでしょ??(笑)」
スピカ「いえ、そうとも言えませんよ?」
リゼ「え……?」
スピカ「この世には、霊やお化けといった類のものが存在するのですよ」
リゼ「う、噓でしょ……?」
カイル「マジか!!噓だ!!怖い!!」
スピカ「ええ。噓です。そんなものはいませんよ」
リゼ「どっちだよ!!」
カイル「なんだ、噓かあ(笑) まったく、スピカ驚かせるなよ~~(笑)」
スピカ「すいません(笑)」
リゼ「なによもう。安心したわ(笑)」
スピカ「リゼ、安心するのは早いですよ。本当はいますからね」
リゼ「だからどっちだよ!!」
スピカ「あなたにだけ見える、ということです」
リゼ「どういうこと!?あたし霊媒師じゃないんだけど!?」
リゼ「…なんでもいいけど、早く倒してきてよそのお化け!!」
カイル「魔法の方がきくから、リゼが倒してきてよ!!」
リゼ「なによもう!!ホンット頼りないわね!!」
カイル「なんだと!?俺に任せろ!!」
リゼ「チョロ!!」
リゼ「ま、まあ、別にあたしはお化けなんて全っ然怖くないけどね!!」
スピカ「リゼ見て!!あそこに血だらけの人が!!」
リゼ「噓でしょ!?無理無理見たくない!!怖い怖い怖い!!」
カイル「え!?どこ!?どこ!?」
スピカ「リゼにしか見えないタイプのお化けです。私達には見えません」
リゼ「信じられない…お化けってマジでいたの!?」ガクガクブルブル
カイル「あれ?でも今スピカにも見えてたんじゃ…?」
リゼ「…………………」
スピカ「…………………」
カイル「…………………」
スピカ「私は僧侶だから、大抵の霊は見えるんですよ」
リゼ「今の間は何!?さては…私を騙したわね!?」
スピカ「騙される方が悪いんですよ(笑)」
リゼ「僧侶の言うセリフじゃねえ!!」
バルト「でも、実際にこの村気味が悪いし、誰も居なさそうじゃないか?」
カイル「確かに、留まってる理由は無さそうだな…」
ゾンビ?「いえいえ。ここには私が住んでますよ(笑)」
カイル「え?」
リゼ「え?」
バルト「え?」
ゾンビ?「…………………」
カイル「ギャアアアアアアアアアア!!お化けだアアアアアアア!!」
リゼ「いやああああああああああ!!本物だああアアアアアアア!!」
バルト「ゾ、ゾゾゾンビだ!!気をつけろお前ら!!」
ゾンビ?「いえ、僕は生きてるんですけど…」
バルト「噓つくな!!クソ、会話できるタイプのゾンビか!!」
ゾンビ?「何ですかそのタイプ!?」
ゾンビ?「あの、僕は死体ではなく、普通に生きてる人間なんですけど…」
バルト「え??」
スピカ「え??」
バルト「え、じゃあ何その怪我」
ゾンビ?「これは、さっき包丁で手を切って、釘が背中に刺さって、皿の破片が体に刺さって、それから階段で転びました(笑)」
バルト「(笑)じゃない!!大怪我じゃねえか!!」
カイル「いやもう、病院行けよ!!まぎらわしい!!」
ゾンビ?「いやー、この辺に病院とかないんですよね(笑)」
バルト「なんでそんな吞気なの!?死にかけてるぞ?あんた!!」
ゾンビ?「いやー体が丈夫なもんで(笑)」
バルト「丈夫とかいうレベルじゃねえぞオイ」
ゾンビ?「まあそれはいいとして、ご飯でもいかがですか?」
バルト「ガチで吞気だなオイ…」
カイル「食べます!!」
バルト「お前も吞気か!!」
カイル「ところでアンタの名前は?」
ゾンビ?「はい。存 微と申します」
カイル・リゼ・バルト「「「やっぱりゾンビじゃねえか!!」」」
カイル「なんでこの村には人が誰もいないんだ?」
存微「かつては人がいたのですが、今はみな去ってしまいました…」
カイル「なんで??お化けが出るから??」
存微「お化け…ですか?そんなものはいませんよ。何かの見間違いでは?」
カイル「いーや絶対にいた。霧の中でもはっきり見えた」
存微「気のせいですよ」
カイル「いや絶対n」
存微「気のせいです」
カイル「いやぜt」
存微「気のせいです」
カイル「いy」
存微「気のせいです」
カイル「人の話を聞けええええ!!俺はさっき見たの!!のっぺらぼうがいたの!!」
存微「……あー!!のっぺらぼうですか!!それならその辺にいっぱいいますよ(笑)」
カイル・バルト「「いっぱいいるんかい!!」」
リゼ「何それ!?気持悪!!」
存微「なんだ珍しくもない。その辺にたくさん湧いてますよ」
カイル「そんな虫みたいな扱いなの!?」
リゼ「絶対にこんな村住みたくない!!」
バルト「…それで、なんでアンタはこんな村にいるんだ?」
存微「そうですね、私は、この村に強い思い入れがあるので、離れられないと言いますか…」
カイル「思い出?」
存微「妻と子供がね、ここで死んでしまったんですよ…」
カイル「マジか…」
スピカ「すいません。嫌な話をさせてしまって…」
存微「いえいえ。仕方のないことなので」
カイル「それで、アンタもここで骨を埋める、と」
存微「ええ。そういうことです」
カイル「なるほどな…」
存微「勇者様たちはどちらへ?」
カイル「魔王の城に向かってるとこ!」
存微「そうですか。ではなぜこちらに?」
バルト「まあ、道に迷ってたどり着いたって表現が正しいだろうな…(笑)」
存微「なるほどなるほど」
バルト「ところで、この辺に泊まれるところってある??」
存微「無いですね……私のボロ家でよければ1泊なさりますか?」
スピカ「え!?いいんですか!?」
存微「どうぞどうぞ」
バルト「では遠慮なく」
スピカ「どうもありがとうございます」
存微「夜はお化けがたくさん出るので、気をつけてくださいね」
カイル・リゼ「「やっぱりやめます」」
存微「そうですか…しかし、外はのっぺらぼうのオンパレードですよ?」
カイル「何それ!?のっぺらぼうのオンパレードって何!?」
存微「のっぺらぼうなんて、そんじょそこらに湧いているので毎日見てますよ(笑) なんなら友達です(笑)」
カイル「どんだけいるんだよ!?」
スピカ「それなら、流石に野宿はちょっと…」
バルト「そうだよ。せっかくタダで泊めてくれるって言ってるんだから、素直に泊まろうぜ」
カイル「お前ら、お化けが怖くねえのか!?」
バルト「ハイハイ。お化けが出たら俺が倒してあげまちゅからね。お子ちゃまカイル(笑)」
カイル「ウッザ!!お化けとか全然怖くねえし!!」
バルト「じゃあ、OKってことで」
カイル・リゼ「「ちょ、ま」」
スピカ「案内よろしくお願いします」
存微「はい」
カイル・リゼ「「……………………」」
存微「こちらの部屋をどうぞお使いください」
リゼ「え…?滅茶苦茶汚い…」
カイル「絶対何か出るじゃん…」
バルト「まあそう贅沢言うな」
スピカ「そうですよ。無料で泊めてくれるのですから」
リゼ「しかもこの1部屋しかないなんて…最悪」
存微「それでは、夜を楽しみにお待ちください…グヘヘ」
カイル「いや、何する気だアンタ!?」
リゼ「不安しかないわ!!」
存微「心配しないでください。お化けが出るだけですから(笑)」
カイル・リゼ「「それが問題なんだよ!!」」
~続く~
 




