四角関係の進展 その2
~宿に向かう道中~
リゼ「ねえ、スピカ」
スピカ「どうしたの?リゼ」
リゼ「アンタの恋愛、あたしが手助けしようか??」
スピカ「え!?」
リゼ「アンタ、カイルが好きなんでしょ!?ならもっとそれをアピールしないと!!」
スピカ「え、ええ…??でも、今は魔王を倒す旅の途中ですし…」
リゼ「そんなこと関係ない!!もっと2人きりであれこれすべきだと思う!!」
スピカ「でも、そんなことで和を乱したくないし…」
リゼ「バカ!!これがもしうまくいけば、更に和が強くなると思わない??」
スピカ「それは…まあ、そうかも…」
リゼ「というわけで、あたしが上手く計画して、宿屋とかでスピカとカイルが2人きりになるようにしてあげるわ!!」
スピカ「…それって、あなたがバルトと2人きりになりたいだけでは…?(笑)」
リゼ「いーじゃない!!それでアンタも勇者と2人きりになれるんだから!!まさに一石二鳥の作戦!!」
スピカ「…まあ、わかりました。やりましょう」
リゼ「やった!!いいね!!」
~宿屋にて~
リゼ「ね、ねえバルト…ちょっと2人で話があるんだけど…」
バルト「え?何?」
リゼ「ちょっと大事な話だから!!こっちきて!!」
バルト「ええ…?わかったよ。しょーがねーな」
スピカ「え…?もしかして2人きりってこういうこと…?あの女、完全に私を利用したわね…」
カイル「なんだろうな、あいつの大事な話って…」ソワソワ
スピカ(まあ、勇者様と2人きりになれたし、いっか!!)
バルト(カイルあの野郎、俺のスピカに変なことしてねえだろうな…)
リゼ「ねえ、バルト…聞いてる?あたしの話」
バルト「え?あ、ごめん、ちょっとボーっとしてた(笑)」
リゼ「もう!!…あのね、いつもホントにガサツで、ダメダメだけど、あの、その、えーと」
バルト「おいおい。なんだあ?文句を言うために連れ出したのかあ?(笑)」
リゼ「で、でも、その強さと根性で、あたしたちを引っ張ってくれてること、あの、えーと、その、
ぜ、全然感謝なんかしてないんだからね!!」
バルト「してないんかい!!」
リゼ「い、いや噓!!してる、まあ、ちょっと…」
バルト「そうだったのか…まあでも別に、俺は何もしてないぞ??(笑)」
リゼ「それで、そのお礼というか、まあ余り物というか、ゴミみたいなもんなんだけど…」
バルト「ゴミみたいなもん!?」
リゼ「い、いや噓!!買いすぎちゃったから、あ、あげる!!」
バルト「え?」
リゼ「キャーーーーーもう恥ずかしい!!さよなら!!」
バルト「何これ…?「働いたら負け」Tシャツ…?」
バルト「あいつ、こんなの何枚も買ったのか?(笑)」
スピカ「あ、あの、勇者様…」
カイル「おう。スピカ。だからいいって、気軽にカイルって呼んで(笑)」
スピカ「いえいえそんな」
カイル「俺は勇者様なんて呼ばれるほど高貴な存在じゃねえからさ。アホだし(笑)」
スピカ「いえ。でもあなたのこれまでの優しさとその勇気に、一体どれだけの人間が救われたことか!!たとえアホでも問題ありません!!」
カイル「あ、アホはフォローしてくれないんだ…(笑)」
スピカ「勇者様は、自分のすごさをもう少しわかるべきです。あなたのその精神の強さは、まさに勇者に相応しいです。自信を持ってください!!」
カイル「ス、スピカ…」
スピカ(決まった……ドヤア)
カイル「やっぱ、ホントにスピカはいい奴だわ。マジでわかってくれるのはスピカだけだわ」
スピカ「え!?い、いや~そんな(笑)」
カイル「昔から、ホントにスピカは優しかったよな。みんなを慰めてくれたし」
スピカ「褒めすぎですよ~勇者様(笑)」
カイル「そりゃ、バルトも惚れるわけだ!!」
スピカ「え?」
カイル「え?」
スピカ「え?」
カイル「…っというのは冗談で!!あ、えーと、あ、そうだ!!村にいる、えーとなんだっけ、バルトロメオ?って奴がさあ!!あ、コイツは俺の幼馴染なんだけど、コイツが、マジでスピカのこと大好きでさあ!!マジで好き好きうるさいのよ!!そいつがマジでスピカに惚れてる!!バルトじゃない!!間違えた!!」
スピカ「…あ、あ、あーー。そうだったんですね…(笑) 私ビックリしちゃいました…」
カイル「いやーそうそう!!ごめんごめん!!」
スピカ「…………………」
カイル「…………………」
カイル(やっべえええええええ!!俺の天才的フォローでなんとか助かったけど、危うくスピカにバレるところだった!!あっぶな!!)
スピカ(え??え?バルトが、私のことが好き…??流石に、まさかね!!)
カイル「…………………」
スピカ「…………………」
カイル「い、いやー。今夜も、つ、月がきれいだなあ!!」
スピカ「そ、そーですね……」
カイル(勇者様のこの焦りよう…滅茶苦茶怪しい……)
リゼ「いやー恥ずかしかった……」
リゼ「てゆうかあのプレゼントで大丈夫だったかな…??バルト、めんどくさがりだし、「一生ゴロゴロしてたい」ていつも言ってたから、あんなのにしたけど…」
カイル「おうリゼ。バルトと何してたの?」
リゼ「いや!?な、な、ななな何もしてないけど!?」
カイル「大丈夫か!?バルトに変なことされてないか!?」
リゼ「されてねーよ!!アンタじゃないんだから…」
カイル「俺はド清純BOYだからな。まずそんな発想にならない」
リゼ「今、その発想になってなかった??」
カイル「あれは、バルトならしかねない、っていう意味だ」
リゼ「アンタ、仲間に対してとんでもないこと言うわね…」
カイル「バルトはケダモノだからな。どうせ頭の中でエロい事しか考えてない(笑)」
バルト「……一体誰が、ケダモノだって……?」
カイル「……………………」
カイル「え、えーと、村のバルトロメオって奴がさー、マジでド変態でさー」
バルト「そんな奴は聞いたことないねえ!!」
バキイ!!
カイル「ひでぶ!!」
リゼ「やっぱりケダモノはカイルよね。まず発想がキモい」
カイル「待て待てそれは違うぞ!?俺は生まれてこの方、人に襲い掛かったことがない!!」
バルト「普通ねえわ!!」
リゼ「いや、この前すてみタックルで私を殺そうとしたじゃない」
カイル「いや、あれはリゼを救っただけ」
リゼ「救われてねーわ!!」
カイル「あれ?スピカどうしたんだ?黙り込んじゃって」
スピカ「いえ……」
スピカ(バルトロメオなんて人はいない…ってことはやっぱり…?)
リゼ(てゆうかバルト、私のあげたTシャツ、着てくれてる!!マジ最高!!)
カイル「てかバルト、何その服!!超ダッサ!!(笑)」
リゼ「うるさい!!」
バキイ!!
カイル「なんで!?」
~完~




