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今度こそ結婚する

 「結婚してください。今すぐ」


 さっきからこればかりを俺に言うのは佐伯さんだ。

6月7日が来る前に何としても結婚しろと。


「いいんですか、その俺らが結婚したらその、ジェラシーとか......」

「ははははは」


 盛大に笑う佐伯さんに拍子抜けした。


 「僕はもう一回か二回は死んでます。僕をまた生き返らせない為に、これはお願いです。」


 というわけで、俺は結婚すること、結婚式を佐伯さんが来られる場所ですることを約束した。



「ただいま 陽菜!ただいま〜、あれ 陽菜―――っ!」


 居ない?陽菜が居ない......。


「洗濯物!ベランダ!」


 ああ、びっくりした。もう俺は陽菜が居なくなる恐怖症候群にかかっているようだ。肌身離さずつけて歩きたいぐらいだ。


「陽菜、家事なんて俺がやるのに。」


「かずちゃんっ。かずちゃんっ。」


 お.......久しぶりのチューだ。


「あれ、なんかかずちゃん 控えめ。一回別れたらそんな仕打ちするの?もっ かずちゃん」


かわいい......かわいいが......ここにある


俺は久しぶりに思い出した。

この感触 このときめき。


「陽菜、結婚式すぐしよう」


「え?そんなに急がなくても、もう花嫁は逃げませんよ。」


「うん.....佐伯さんに見せたいんだ。見たいって言ってくれた。5月中に見せたいんだ。」


 急に大人びた表情で陽菜は「分かった」とだけ言った。


 俺は準備した。

病院併設の協会と、ヘアメイクは健太郎、写真は陽菜の職場、陽菜は同じ職場に戻ったんだ。



 陽菜が毎日ここにいる。なんて幸せなんだ。


「陽菜っ!ただいま」

「かずちゃん!!おかえり」


 陽菜をぎゅーっとする。

陽菜は俺の胸でキュッと目を閉じじっとしてる。


「今日はオムライスにしたよ」


 オムライス.....佐伯さんが食べたいって言ったオムライス。もしかして、陽菜は佐伯さんにオムライス作ったことあるのか。

病室まで作って運んだとか。陽菜ならやりそうだ。

おいおい、なんで俺がヤキモチみたいな感情を抱くんだ.....。陽菜がいるだけで充分だ。未来があるだけで充分だ、あ 未来はある?



「陽菜 体は何も不調ない?術後の違和感とか」


「大丈夫。ちゃんと定期的に診てもらってるし。不調もないよ。そりゃ違和感はあるけど。」


「そっか。これからはなんでもいい。どんな些細なことでも言ってよ。絶対に何事も一人で決めない。約束!」


「うん。約束」


「指切りげんまん 嘘ついたら.....このチュー1000回するぞ 指切った」


 俺はまた終わらないキスをした。


「んー、はいっ分かりました。分かりました。

かずちゃんのチューなら1万回でもいいけどねっ」

「じゃ、もう一回」


「かずちゃん 何考えてるの?」

「いや 陽菜がかわいいなと思ってただけ。嘘 いや 可愛いのは本当。陽菜がまた居なくなりそうで怖いんだ。俺ら2021年一緒にいるかな。絶対一緒に居ような。絶対隣で朝、目覚めような。」


「どうしたの?かずちゃん。大丈夫だよ......かずちゃん」


あ、俺は不安のあまり変なことを口走った。


「陽菜、結婚式お父さんは?」

「うん......神社でしろって。白無垢で」

「わあ、うちの親も言ってたよ。じゃ、2回しよう」

「え。」

「協会は俺らと佐伯さんと陽菜の職場のカメラマン、ヘアメイクは友達」


 俺は人生で3回結婚式を挙げる男になるようだ。

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