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いざプロポーズ

 リングが完成した。サファイアのリングだ。俺の中で陽菜はブルーのイメージなんだ。一点物だから職人さんに俺のラフデッサンを元に彫金模様を入れてもらったハワイアンジュエリーみたいな。センターに一粒だけの小さなサファイアを埋め込んだ。

石の意味は誠実、一途な愛。


 サムシングブルーって言って花嫁がもっと幸せになれるって言い伝えがある。純白のドレスにブルーのものをひとつ持てば。

なかなかロマンチストだな俺。これをサンタが渡したら陽菜はどんな顔するだろう。だが、最近陽菜が元気ないというか俺に対しての勢いがない。倦怠期?マンネリ?いやそんな単純な状況ではない。でもなんとしても陽菜を俺の妻にしたいんだ。



―――クリスマス


「おい おい カズ、スタンバるのいいけどさ。俺お前の彼女あったことねーし。分かんねぇよ」


 あ 俺は健太郎に陽菜を会わせていなかった。あんな可愛い彼女、こんな軽いゲスそうなツレに紹介する気にはならなかったんだろな。まあ中身は良いやつなんだけど。


「来たら言うから」

「んで、どうやって誘導しろと?」

「あ」

「え?俺おまえの彼女初対面でいきなりサンタに誘導とか、ただのナンパかつ、変なやつだぞ」


なんて段取り悪かったんだ。

「じゃナンパしてくれ」

「は?」

「ナンパして困ってるとこを俺がレスキューする」

「ナンパしてついて来たら?」

「なんだよっ怖いこと言うなよ」

「はいはい。じゃ覚悟しとけよ。サンタさん」


 巨大なホワイトクリスマスツリーの前、俺は店のチラシを持つも挙動不審に陽菜を探す。

待ち合わせ場所は、このツリーの前だ。19時のライトアップに合わせて。


 陽菜だ!黒いロングブーツにベージュのコート、耳には耳あて。陽菜は寒いと耳が赤くなって頭が痛くなるらしい。クマみたいで可愛いなあ。


「健太郎!あそこ、耳あてしたベージュのコートの」

「ん?髪長い子?はいは~い 行きます」


俺は上下サンタの赤い衣装に、サンタ帽子、ひげまでつけて黒縁メガネもかけている。ぱっと見はわからない自信はある。


「ねー写真お願いしますー」

なんだよっガキ 今忙しいんだって

「ごめんね。サンタさんちょいと用事が......」


 健太郎が陽菜に話しかけた。陽菜は軽く会釈しながら目でツリーあたりを見てる。俺を探してる!

健太郎は陽菜の腕を掴んだ。触るなや!あ 俺が頼んだのでした。

よしっ、行くぞ!


「ちょっと失礼 彼女困ってるよ〜」

「あっごめんなさいーサンタさん。」

俺の微妙なカットインに微妙な健太郎の小芝居だ。大根役者すぎだろ。


 きょとんとする陽菜。

リングの箱を陽菜に渡し、俺は帽子、ひげ、そして最後にメガネを外す。


「あ!かずちゃん。何してるの?」


 いやいや何してるの?だけですか.....さみしいな。俺は反応なんぞ気にせず突っ切るぞ。それが男だ、それがプロポーズだ。


俺はひざまずく。

周りにはサンタ衣装のやつがひざまずいたから若干のオーディエンスが出来る。


「メリークリスマス 陽菜 俺と結婚してくれ」


リングを見て

陽菜の目から涙が溢れた。

俺はリングを陽菜の指にはめた。


俺の目をまっすぐに見つめる陽菜

そうかそうか感動の涙か.......セイイエスだ陽菜 はい。とだけ今言うんだ 陽菜――――!


「ごめんね ごめんね かずちゃん。私 かずちゃんと一緒にいれない.......」


 ――――――俺は動けなくなった。そのまま走り去った陽菜の揺れる髪後ろ姿が小さくなるのを見続けた。

クリスマスソングが失恋ソングにきこえてくる。

周りの人も散らばる

「......カズ」


陽菜......どうして....俺と後ろの健太郎はただ呆然と立っていた。


 だめだ、このままふてくされたら、前回と同じだ。理由を理由を聞かなければ。

俺は陽菜に電話する、が当然出ない。

一旦は家に戻り着替えて陽菜のマンションへ。当然返事はない。

あぁ、これをずっと繰り返したら俺はストーカーか?でも理由を知りたいんだ。


何通もメッセージを送った。情けなくなるような文面の数々を


『陽菜 たのむ電話にだけ出て』 

『どうしたんだ。理由を教えて』

『俺が悪かったなら理由を知りたいんだ』

『もう一度だけ、話がしたい』


既読にすらならなかった。

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