地味な私のとある出来事
お久しぶりですヘ(・_|
連載中の作品を読んでいらした方は誠に申し訳ありません!諸事情により連載を休止することをこの作品の前書きでお知らせさせていただきます(´-ω-`)
お詫びとしてpixivで乗せていた作品をこちらでも出させていただきます(´-ω-`)
初めまして。柊ましろ(ひいらぎましろ)です。今年で高校一年生です。私は今「桜咲学園高校」に通っています。桜咲学園高校には少し特殊な制度があります。それは専門科があることです。専門科とは、中学までで何かしら飛び抜けたことで成績を残した人達が特別に入れる科です。ちなみに私も専門科の一人です。専門科は最低限の授業さえ出ていれば単位が貰えます。よっていくら休んでいようが授業中に何かしていようが特に何も言われません。まあ、授業中に喋っていたり、あまりにも成績が悪かったら先生に少し言われるくらいです。自分のことが最優先にできるよう配慮されています。私にとってはとてもありがたい制度です。
「おーい、ましろー。」
今私を呼んだのは幼なじみの西城玲凰です。玲凰は「レオン」として歌手をしています。小学生の時にデビューをし、ドラマの主題歌を始め、たくさんの曲を大ヒットさせた天才歌手です。中学校に入ってからは作詞作曲を手掛けるまでに。私と玲凰は小学生からの付き合いで、人見知りな私を気にしてくれる優しい幼なじみです。
「…どうか、した?」
私の前まで来た玲凰に聞いてみます。
「何聞いてるんだ?」
そう言いながら私がつけていたイヤフォンの片方をとり、自分の耳につけます。相変わらず人に許可をとりません。まあ、別にいいのですが。私は気にしませんし。まあ、顔が近くて少しドキドキしていなくもないですが。ええ、全く持って。
「お、これ最近人気のmimiの曲!mimiって透き通る感じの曲がいいんだよな。前曲作った時そういう曲にしたら本人にめっちゃ喜んでもらったよ。」
ああ、そう言えば玲凰はmimiに曲を作って欲しいと言われて作ったと言っていましたね。相変わらず大人気で。
「おーい、玲凰。」
また誰か来ました。彼は赤坂蒼真。今大ブレイク中の俳優です。最年少で優秀主演男優賞を取った人です。仕事の関係で玲凰とは仲がいいようです。
「何してるんすか?」
「楽しそうね?」
彼らは桜咲葵と桜咲茜。この学校の理事長子息子女で双子の兄妹です。葵くんは陸上で、茜さんは水泳でオリンピックにまで行った有名選手です。そんな人たちがいる特進科ですからいざ学校に来れば普通科の人たちが大騒ぎです。そんなクラスに地味な私がいることに不満を持つ女子もいます。
[ザバー]
油断しました。まさか水をかけられるとは。とっさに持っていたものが濡れないよう避けましたが自分は濡れてしまいました。不覚です。おかげで服も髪もビシャビシャです。はて、ジャージは持って来ていたでしょうか。
「あんた生意気なのよ。どうやって特進科に入ったのか知らないけど調子に乗らないでよね。」
水をかけてきた女子に睨まれながら言われてしまいました。周りの女子はクスクスと笑っています。なんて子供じみた行動でしょうか。何も言い返せない私もいけないのですが、人見知りと対人恐怖症で何も言えません。情けないと思いながらも治らない自分に腹が立ちます。しょうがありませんね。このままではもっと廊下を濡らしてしまいそうです。外に出て保健室まで行きましょう。
「失礼…します。先生、帰るまで、制服を…」
先生がいません。いつもはいるのに。はて、どこに行ったのでしょう。…あ、メモが…なるほど。職員室ですか。道理でいないわけです。
「…クシュッ…」
いくら5月といえどこのままでは風邪をひきかねませんね。しょうがありませんね。先生には後で謝っておきましょう。
「せんせー。授業受けたくねーから保健室いさせてー…て、あれ?先生は?」
ノックもせず失礼な人ですね。あと、早くドアを閉めてください。
「先生は…職員室…です。」
「マジか。ま、いっか。」
何がいいのか一切わかりませんが居座るつもりですね。分かりました。私がカーテンをしてから着替えます。
「なあ、お前、玲凰とよくいるやつだよな?」
いきなりなんなんですか。
「…はい。」
ああ、声が震えそうです。早く出て行って欲しいです。もしくは私がさっさと出ていきたいです。
「お前なんで特進科入ったんだ?見たところスポーツやってるようには見えないし俺らみたいなのともまたちげーだろーし、お前がなんで入れたのか不思議なんだけど。」
なんなんですか。別にいいじゃありませんか。ここは思い切りが重要です。玲凰も言っていたじゃありませんか。人にははっきりと自分の気持ちを伝えないと分かりません。
「…あなたには…関係…ありません。」
言えました!言ってやりました!ざまぁです!体ガクガクで立ってるのもやっとですが。
「ふーん。俺には関係ない、ね。」
[シャッ]
いきなりカーテンを開けないでください!こっちには心の準備がいるんです。
「なあ、お前、なんでそんなことされてまで何も言わずに玲凰のそばに居るんだ?玲凰から離れればいいだけだろ?」
何を言っているんですかこの人は。あんな人達のために私が玲凰から離れる?そんなのするわけないじゃないですか。あんな人達より私は玲凰を知っています。この学校で玲凰のことを一番よく知っているのは私です。一番玲凰を大切にしているのは私です。それだけは…それだけは譲れません。誰に何を言われようが、誰に何をされようが私にとっては些細なことです。だから…。
「…例え、何を、言われても…私は、玲凰の、傍に、います。」
「…へえ。お前、ただの地味女かと思ってたけど案外根性あるじゃねえか。」
「…あなたに、褒められても、嬉しく、ありません。」
「あっそ。」
なんなんですか。 やはり赤坂くんはよく分かりません。
[ガラガラ]
「あら?柊さんに赤坂くん?どうしたの?」
「…服が、濡れたので…」
「サボりー。」
「あら、そうなの。赤坂くん?あんまりサボったらまたマネージャーさんに言いますからね。」
「えー。いいじゃん。別に成績落としてるわけじゃないんだしさー。」
「えーじゃありません!全く。」
この人は全くぶれませんね。
•*¨*•.¸¸♬︎
[ピッ]
「はい…あ、藤原さん…はい…はい…それ、絶対、ですか?…はい…分かり、ました。失礼、します。」
[ピッ]
はあ。憂鬱です。まさかこんな事になるとは。
「あら、どうしたの?」
「少し、急用が…」
「先生には言っておくわ。荷物は玲凰くんに預けて大丈夫?」
相変わらず私のことを熟知していらっしゃいます。さすが先生です。まあ、しょっちゅう私が保健室に来るせいもありますが。
「はい。ありがとう、ございます。…では。」
私はぺこりとお辞儀だけして部屋を出ます。少し急いで校門まで行くと、さっきの連絡主、藤原桜さんが車で待っていました。これは着いてから連絡をしましたね。私が逃げないように。さすが、6年も担当してくださっているから熟知されてますね。ああ、言い忘れていましたね。実は私、作家なのです。小説がメインですが漫画も描いています。なので小説の表紙も自分で描いています。なぜ学校の生徒が知らないのかと言うと、ペンネームが本名ではないし、玲凰以外の人には話していないからです。まあ、話す必要性が感じられない、というのもありますが。まあでも、明日にはバレるでしょう。何故かって?それは私が書いた小説が有名な賞にノミネートされたのです。まあ、これで二回目なのですが。タイトルは「闇と光」。学生の心の変化を描いた恋愛小説です。私の経験を少し盛って書いた小説。出した後、学生に大人気になりました。買ってくださった人には感謝ですね。まあその本が売れに売れ、賞が貰えたわけです。
「理事長先生には伝えておきましたよ。これから打ち合わせなのでこのまま本社に直行しますね。」
「分かり、ました。」
もう後はされるがままです。着替えさせられ、スピーチをしなければなりません。落ち着いて、周りの人はみな野菜、と思いながら毎回スピーチをします。ああ、明日は学校で公開処刑です。今から気が重いです。
ついに来てしまいました。もう腹は括りました。なるようになれです。うぅ、でも…。
「ましろ?大丈夫か?」
「大丈夫、では、無い、です。」
「あらら。」
「どうしたの?」
「何かあったのか?」
「あー、まあ、ちょっとね。」
あ、玲凰の手、気持ちいいです。昔から玲凰に触られるのが好きでつい甘えたくなります。改めないとですね。そう言えば、今まで都合が合わなかったとかで他の人もいっぺんに表彰するらしいですが、まあ、おおかた彼らですね。
「次は表彰式です。呼ばれた人は前に出てきてください。まず、赤坂蒼真くん。」
「はい。」
わあ。黄色い声援が聞こえます。
「続いて、西城玲凰くん。」
「はい。」
こっちも黄色い声援が聞こえます。少し腹立たしいのは何故でしょう。よく分かりませんがこのおかげで少し落ち着けました。
「桜咲葵くん。」
「はいっす。」
「桜咲茜さん。」
「はい。」
あ、これもう始まるムードですね。すみませんが私も呼ばれるのでもう少し待ってくださいね。
「柊ましろさん。」
「は、はい。」
呼ばれるのは分かっていたはずですがやはり驚いてしまいました。あ、私より周りの人の方が驚いてますね。玲凰はそんなに嬉しそうにしなくていいです。
「では、表彰を始める。赤坂蒼真。優秀主演男優賞。おめでとう。」
おお。拍手喝采です。テレビで見て知ってはいましたが、実際に見た方が嬉しいのでしょうね。
「西城玲凰。グラミー賞。おめでとう。」
またしても拍手喝采ですね。まあ私も嬉しいのでよしとしましょう。
「桜咲葵。オリンピック陸上1000メートル金メダル。おめでとう。」
あ、我が子だからか少し嬉しそうです。良かったですね、理事長。
「桜咲茜。水泳フリー金メダル。おめでとう。」
あ、こっちでさらに顔が緩んでます。
「最後に、柊ましろ。芥川賞。おめでとう。」
あ、ザワザワしてますね。知らなかったんですね。まあ仕方ないですね。中学校までは表彰式拒んでましたからね。あ、壇上の三人も驚いてますね。やっぱり玲凰に聞いてなかったんですね。
「以上で表彰式を終わります。生徒の皆さんは教室に戻ってください。表彰された人はこの場に残って下さい。」
え、残るんですか?あ、残るんですね。玲凰、逃げないので手を離してください。
「柊さん作家だったんすか!?」
「芥川賞ってあの有名な賞だよね!?本読まない私でも知ってるもん!」
ああ、あんまり近づかないでください。つい癖で玲凰の後ろに隠れてしまったじゃないですか。
「道理で地味なわけだ。」
なんか納得してる人がいますが、私が眼鏡で平凡なのは普段見た目をあまり気にしないだけですからね。ちゃんとした時は地味ではありませんよ。多分。きっと…。
「蒼真。ましろは今はこんなだけどちゃんとした格好すれば可愛いんだぞ?ほら、表彰式の写真。」
そんなものいつ撮ったんですか!?あ、藤原さんからデータ貰ったんですね?あの時スマホ持ち込み禁止でカメラマンさんが写真撮って藤原さんが写真のデータが欲しいと言っていたの知ってるんですからね!?
「え!?嘘!?同一人物!?」
「全然違うっすね!?」
「へー。ちょっといじるだけでここまで変わるのか。」
な、なんですかその目は!?表彰みたいな時以外ではあんな格好しませんからね!?絶対しませんよ!?
「蒼真。ましろはお触り禁止だからな。俺の彼女、泣かせたら許さないよ?」
ちょ、玲凰?まさかの爆発発言ですよ?私たちだけの秘密じゃなかったんですか?あ、玲凰の笑顔が輝いてます。か、可愛いって思ってしまうのは私だけなんでしょうか…そ、それよりもさっきの爆弾発言です。
「れ、玲凰…それ、秘密って…」
「別にいいだろ?こいつらにだけだし。それにバレても大丈夫だって。」
軽すぎます…。玲凰、あなたそれでも有名歌手ですか…。
「あ、やっぱり付き合ってたんだ。」
さ、さすが茜さん。女の勘ですか?
「マジっすか。道理で幼なじみにしては距離が近いと…」
あ、意外と驚いてない。いや、赤坂さん。我慢して笑いこらえなくていいですから。どうせ気づいていたのでしょう?
「あ、そうだ。ましろ。」
はい?なんでしょ…
[チュッ]
な、なな…
「もう隠すつもりないから、覚悟しとけよ?」
「え?…え!?」
う、嘘ですよね!?あ、これ本気の顔です。これからどうなるんでしょうか…。私の心臓もつかな…。ま、まあ、何とかなるでしょう。きっと。多分…。
END
おまけ
どうも。西城玲凰です。ましろが小説家だと知られた後、学校ではちょっとした大騒ぎになったみたい。まあ仕方ないよね。ましろの小説は学生から大人まで人気らしいし。まあそんなこんなで今は少し落ち着いてきたかな。でも今日はましろ、寝不足みたい。
「ましろ、大丈夫?」
「ん…何?」
どうやらさっきの声聞こえてなかったみたい。
「ましろ単位もう充分あるんだから今日くらい学校休んだら?締め切り近いんでしょ?」
あ、くまが酷い。無理矢理にでも保健室連れていこうかな…。
「…今、ネタ、切れてて…学校、来たら…なにか、おもい、つきそう…で…」
あ、力尽きた。全く。体そんなに強くないのに無理するから…。ま、そんな頑張り屋なところが好きなんだけど。
「あれ?こいつどうしたんだ?」
あ、蒼真だ。
「寝不足みたい。締め切り前で徹夜したんだと思う。」
「ああ、そう言えば、こいつ作家だったな。」
今思い出したのかよ。まあいいか。
「あのー。」
ん?誰だ?
「何だ?」
あ、蒼真が答えるの?明らかに俺に声掛けてたのに。まあいいけど。
「柊さんにサインお願いしてもらってもいいですか!?」
「え?」
あれ?ましろに用事?まさかのサイン要求。あ、これ最近学生に大人気になってる恋愛小説だ。でもなんでましろに声掛けないんだ?
「自分で聞いてみたら?ここにいるし。」
「で、でも起こすのは申し訳ないので…。」
ああ、そういう事ね。ましろに配慮してるんだ。いい子だなこの子。
「分かった。学年とクラスと名前をこれに書いといてもらえる?後で届けるから。」
「ありがとうございます!じゃあ‥これ、お願いします!」
「了解。」
へー。同い年か。普通科の子だ。
「表彰式以来サイン欲しいって奴がここまで来るようになったよな。こいつの本そんなに有名なのか?」
蒼真は読んだことないのか?珍しい。今じゃ日本中で知られてるのに。
「お前、『ラストクエスト』知らねえのか?」
「『ラストクエスト』?…ああ。知ってる。ていうか最近読んだ。あれ面白いよな。睦月先生の漫画全部もってるよ。」
ん?なんで漫画知ってて気づいてないんだ?…あ、そっか。
「お前もしかして、睦月茉代がましろのことだって気づいてないのか?」
「え?」
あ、知らなかったんだな。めっちゃ驚いてる。でも他の人は同一人物だって気づいてんのに…
「ま、マジで!?」
「まじだよ。」
「全然知らなかった。」
やっぱり。
「…ん。…ふあぁ…」
あ、起きた。
「おはよう。ちょっとは寝れたか?」
前髪寝癖ついてる。可愛いなー、やっぱり。先に惚れた弱みだな、これ。
「あれ、これ…」
「さっきサイン欲しいって持ってきたよ。」
「ああ。…出来、ました。」
「あ、これまだ書いてたんだ。」
懐かしいな。小さい頃から猫が好きで初めてのサインでも猫のマーク付けてたけどまだ付けてたんだな。
「…私の、トレード、だから。」
「そっか。」
照れてる。ああ、俺はきっとずっとましろに恋をしていくんだろうな。
END
最後までお読みいだだきありがとうございます!
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