音の声(詩)
潤いの続きをようやく受託した奇形の水が流れゆく方向に見定めた愛の祝福に天使の泣き声を重ね合わせ、ルルルララ、深淵にたどり着いた彼の脚を冷気がとりまく、それは幽玄、ルルルララ、湿った地下から漏れ出たのは歓喜のざわめき、ルルルララ、そうして訪ねれば、苦悶の道も然り、繁茂する未曾有の植物と、ルルルララ、気体に液体が乗っかった事実を舟が進む、遠く、ずっと、遠くでうねりをあげるご法度の波に寛容な深海魚が、ルルルララ、父、母、よ、ルルルララ、思考の檻から脱せよ、と提言する過去世を取りまとめた番人の隙を見計らって侵入した過去世から響く、ルルルララ、丘陵のテッペン、いわば、人類の綻び、可視化されなかった敗北たちの残骸、彼らの麗しい悲鳴、ルルルララ、パンクした前輪のみで走った自転車の不協和音、ルルルララ、先回りしたストーカーのストーカーのストーカーの輪廻転生、ルルルララ、ひっくり返ったカメの甲羅がカタカタ、ルルルララ、無類のタフネスを求めたバーチャル野球青年の打撃ポイント上昇、ルルルララ、今にも朽ち果てそうな万年塀が囲う少女の命、か弱い脈拍とともに舞を興ずる、ルルルララ、直進、並走、激突回避、一時停止の摩天楼、磨けば光る己の意志で、ルルルララ、と、駆け上がる、中高年引きこもり妄想、ルルルララ、と、吠えよ、まだ、開かれていない、扉から差し込む無関心に、歌い返してやれ、ルルルララ、と、ルルルララ、戦争は戦争というまでもない、戦争という言語さえ、戦争に捧げてはならないと、平和は謳っているのだ、ルルルララ、と、枚挙に。