文官(医者)、何もできない。
メディアさん視点のお話。
要約すると
なんとか上京して
見返すために技術を持ってUターンしたら
とんでもないことになっていたでござる。という話。
私はメディア、現在医者兼文官をしている。
このご世代、医者は貴重だ。治癒術士では病気の蔓延、公衆衛生までは回らない。
サンソン村は「薬草を生産するのに」優れた村だった。
そしてど田舎だった。
なんでもかんでも医療用のコカの葉でなんとかしようとする古すぎる慣習にげんなりしたのはいつのことだろうか。
結局あれは鎮痛剤でしかなかったのだ。
痛みをやり過ごし、体内の治癒力を引き出す時間稼ぎでしかなかった。
そのことを知ったのは怪我をした私の妹が誤った処方、治療で亡くなった時だった?
それとも私の母が疾病で亡くなった時だったろうか。
村長も皆助けようとしたことはわかった。けどそれは間違えていた治療だった。
だから私は森の近くにいた魔女と呼ばれた女、ではなく医者に医術を教えてもらっていた。
村人達はコカの葉で治らなければ、それまでだ。という反応しかなかったから。
むしろ体が弱いのでは?と煽ってきた。
その先生は迫害されていた。でも私に技術を教えてくれたし、紹介状も書いてくれた。
死ぬものぐるいで王都で勉強して、補助を受けて意気揚々と村に帰ったのだ。
免許さえあれば、この閉鎖的な村に新しい医術の風が吹かせられる。
私の家族を無駄死にではなかったと高らかに言える。
私の価値を示せる。
そう信じていたのだ。私は。
村に帰った私を出迎えたのは
麻薬用の粗悪なコカの葉を生産している事、
魔女はそれを報告しようとして村人から突き落とされた。という事実だった。
余計な事をすれば死ぬぞ?医者。
そう言われたとしても、
医術を志すものとして、譲れなかった。
私はその村から逃げ出した。
その時何を思っていたか、悲哀か、悲しみか?
どちらでもなかった。
ただ鬱屈としていた故郷が、村人達はどうしようもない存在だと。
そうはっきりしたのが、私は。
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私はメディア、現在医者兼文官をしている。
このご世代、医者は貴重だ。治癒術士、ニホンジンでは病気の蔓延、公衆衛生までは回らない。
交易都市のカルサの文官に話を通すと私の職業と免許もありスムーズに話が進んだ。
今回の件は領主も事態を重く見ていた。
交易都市カルサに麻薬が持ち込まれたとなると国にばらまかれやすい。
特にそのパウンドの領主がまた仲が悪かった、というのもある。
カルサの領主は放任主義だが、犯罪ごとにはうるさいようだ。
だから私は今回、カルサの街高級住宅街のお付きの医者兼文官として
今回の麻薬事件の件に絡んだ。
「わかりました。ニホンジン、キクさん。貴方を現在罪に問うことはできません。
これは私のわがままで、貴方をここに呼び出しました。」
「でしょうね。メディアさん。貴方は所詮、ここの領地の文官でしょう?
他の領地のことに首は突っ込めない。」
ああ、その通りだ。何も知らないニホンジン。
貴方にとってはどうでもいいことだろう。
私にとっては、鬱屈とした思いがあった。
村人達が違法薬物を作成していた時悟ったのだ。
私が医者になろうとした理由は見返すためだったと。
完膚なきまでにアチラ側に咎がある状態で、私に正義がある状態。
あちら側が無知で、私が知識を持った状態。
優越感を感じずしてどう思う?
そんな気持ちだけで医者になったのだ。
医術を志すものとして、これ以上ない欠けだった。
「ええ。ハイソン村は一部分は自業自得であるのでしょう。
ですが私は貴方に会ってみたかった。」
晴れやかな気持ちだ。
餓死寸前の対処方法を知る医者は無く、己の無知で死んだ彼らに。
何も知らないニホンジンにとってはどうでもいいことのようだった。
クッキーのように軽やかに、甘やかに、私が解決しようとしていた事件は集結した。
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そう思っていたが、パウンドの後任はどうやら途方もなく愚かだったらしい。
正確に言うと無能だった。まだ薬物は流通していて収束の兆しが見えない。
ああ、我が故郷を滅ぼした要因の一つ。
私が滅ぼしたかった。あの村に、せめての手向けとして。
貴方を破滅させてみせる。