冒険者、OLを回収する。
タロウはクッキーを購入した。
見るからに典型的なニホンジンだ。
ぼーっとしている感じの空気感が似ている。
「あの、僕もニホンジンの冒険者、タロウといいます。」
取り敢えず同郷意識出しておこう。
「こんにちは。クッキー売りのクキです。」
あからさまな偽名である。悲しい。
「こんにちはキクさん。覚えておいでですか?
ワイバーンから助けて頂いたレーナです。
お店始められたんですね!」
ナイス援護射撃シスター。俺情報収集向いてないかも。
「ああ、そうですか。シスター、賞味期限一歩手間のいらないクッキーいりません?
廃棄するのももったいなくて。」
「いいのですか?ありがとうございます。」
そっと手渡してきたのはレンガ上に硬そうなクッキーだ。
「大きくないですか?!てか重そう・・・。」
「タロウさん。それは日持ちしやすいように作成したレンガクッキーです。
強度も固く圧縮しているので日持ちします。
ですが固くしすぎたので牛乳などでふやかして食べてください。
あ、表面は削って置いてください。天日干ししたので。」
「バイオテロだ・・・。お腹こわしそう。」
かつて調子にのって米を3号炊いて1つのおにぎりにまとめたことがあるが後悔したことを思い出した。
ではない、これは依頼。仕事である。
ニホンジンという単語を出した瞬間警戒度が跳ね上がっている。
そもそもあまり面倒事には関わりたくなさそうだ。
希薄な人、そんな印象を受けた。
「あの、貴方に紹介したい人がいまして。」
「貴族かなにかの使いですか?悪いですが従業員が私一人なもので、
ここの店は開けられません。」
にべにもなくバッサリだ。しかしこっちには手がある。
あぁ、あまり使いたくないが。
「領主様の目からお呼びがかかっています。来てください。」
あとは依頼人に丸投げしよう。