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OL、都市へ行く。

クッキーの濁流に揉まれ流れ着いたのは辺鄙な村だった。

いや村っていうよりか廃村一歩手前、

ガリガリに痩せた人々が甘いクッキーの香りにいざなわれて出てきた。


「神からの恵みじゃぁああああ!!!」

「?!待ってまって!そんな痩せた体に油分はだめじゃないの?!?!」

飢えた村人はいざしれず、目もくれずクッキーに貪りつき始めた。

あれよあれよという間に胃袋にしまわれていくクッキー。

目が血走り、草木が絶え、ボロボロの集落。

初めての異世界の拠点としてはあまりにも心もとない村だった。


「ゲフ、なるほどあなたはニホンジンですね!

 ようこそ大陸バジリスにある辺境の地ハイソン村、村長です。」

「どうも、なれていらっしゃいますね。私はキクと申します。」

「それはもう、女神からの御使いですよ?

 本来ならば村総出で祝うべきでしょう。

 ですがこの村は凶作と重税で何もない村です。

 食料はありませんが湧いて出てきたクッキーがあります。

 寝床はご用意しますのでごゆるりと。」

「あの、いえ。私は別の都市に行かねばならないので。

 近くの村はありますか?」

「そんな、ニホンジン様。女神の御使い様。どうかごゆっくりなさってください。」


困った。ここから速やかに離れなければ相当めんどくさいことになる。

以前私は人生を見つめ直す☆パワースポットめぐりと称して、

断食したり、滝に打たれたりしたことがある。

断食したあとに、こんなバターの塊を突っ込んだらどうなるかなんてわかる。

わたしゃ止めたからの気持ちでいっぱいである。


「あー、私は女神の御使いである以上、この重税を見逃してはおけないー。

 ので直訴してくるので、服とかよろしくおねがいします。」

棒読みである。だが渡りに船だったようで喜んで嘆願書やら地図を持たされた。

「ありがとうございます。御使い様。あなたのおかげで救われます。」

「どういたしまして。あと予言を一つ。焼き菓子を食べたもの、

全員温かいお湯を1枚につき1杯飲むように心がけなさい。」


忠告はした。静かに去る。

嘆願書の中身は

『この女はニホンジンです。何かしらの利用価値があると思われます。

 どうか税金を軽くしていただけませぬか。』

との旨が書かれた書類だった。

どうやら異邦人というだけで厄介事に巻き込まれる確率は高くなりそうだ。

だが、ここを乗り越えなければクッキーで家を作って暮らすことになる。

どこの魔女かな?窯に突っ込まれそう。


私甘いもの苦手だし、第一ニキビが量産されるので主食がクッキーは嫌。

カサカサクッキーよりふかふかベット。実に合理的である。



少なくともハイソン村では都会であろうと考慮してやってきたのは

重税を課す領主のいる都市、パウンド。

案の定セキュリティチェックが入った。

がここは一つ

「ハイソン村からの使者でごぜぇます。」

「ふん。良いだろう。入れ!」

すんなり入れた。


無論領主に会うなんてするつもりはない。

私はこのクッキーを無限に生産出来る力で適度に売り、稼ぎ、家を建てるのだ。

温泉が近くにあるとなおよし。


のんびり異世界クッキーライフが始まるのだ・・・!

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