執事とご主人様の日常ラブコメ
一話 俺が執事ーーーーーー!!
俺田中大智には幼馴染が居る。名前は雨宮心寧といい、美人で性格もよく、学校では人気者だ。そんな彼女とは正反対な俺は家が隣で親同士仲が良かったため、いつも一緒にいた。学校でもクラスは常に同じで登下校も一緒にしていた。しかし、中学三年生の今年、受験もあり人生で初めて彼女と違う道を進もうとしていた僕に想像もしていなかったことが起きるのであった。
今日は学校がない週末のため、家でのんびりテレビを見たりゲームをしていると、いつになく真剣な顔をしている父さんが俺を呼んだ。
「おい大智、大事な話がある。ここに座って話をしよう。」
「わかった。」別に断る理由もないので応じて父とテーブルをはさんで向かい合う椅子に座る。すると、俺が座ったのを見て父さんがゆっくりと話し始める。
「今日はお前の進路のことで俺からお願いがあるんだが聞いてくれるか?」
「う、うん。」なにをお願されるのか見当もつかないが、とりあえず聞いてみることにした。
「その・・お願というのは・・・高校にはいかず、お前の幼馴染である心寧ちゃんの執事として働いてほしいというものだ・・・。」
「え・・・。」想像していなかった言葉に動揺し、頭が混乱する。
「突然でほんとに悪いと思っている。もしお前が嫌だというのならそれでもかまわない。だがその判断を下す前になぜこんなことになったのか説明させてほしい。」
状況が理解できていない俺はうなずくことしかできない。
「心寧ちゃんは県外の高校に進むから1人暮らしをさせないといけないらしいんだ。そこで、心寧ちゃんの生活を支えてくれる執事が必要になったわけだ。実は父さんは昔、心寧ちゃんの父さんの執事をやっていたことがあってね。知り合いで今空いている執事はいないかと聞かれたんだ。でも執事の知り合いなんて全くいないから困ってね、今の仕事を紹介してくれたのも心寧ちゃんのお父さんだったからどうにかしてあげたいんだよ。」やっと理解できて来た俺は冷静に答える。
「でも執事なんてやったことないのに俺にはそんなの無理だよ。それに今の話だと働くのは三年間だろ。高校に行かなかったら3年後どうやって生きていくんだよ。」まるで今の言葉を待っていたかのように父さんが堂々と答える。
「大丈夫だそこは心配ない。3年間しっかりと働いてくれたらいい職場に入れるようにしてくれるそうだ。高校で苦労しながら勉強して大学受験やら就職活動しなくて済むんだからこっちのほうが楽だぞ。」
「ら、らくか・・・。」
楽という言葉に弱い俺は結局言いくるめられ、幼馴染である心寧の執事として働くことになった。
読んでいただきありがとうございました。
感想いただけると嬉しいです。