旦那様の話をしようか
私の旦那様は名前をアルバート・ハインリッヒという。
目の色はアイスブルーで髪は少しばかり明るめのグレー。背だった高いし、すらっとしていて正直見た目に関しては息を呑むほど美しい方。
ここからは執事さんから聞いた話だけれど、社交界では「氷の君」と呼ばれ多くの女性が密かに狙っていながらも冷たすぎる態度や言動で人を寄せ付けない雰囲気。そのためか今まで浮いた話はない、らしい。
人は嫌いなのに仕事は好きで、完璧主義。
結婚には些かの興味もなく、執事さんに全て委ねたのだとか。
ご両親は幼い頃に亡くなっていて年の離れた兄に育てられたのだとか。でもお兄さんは家を旦那様に託して旅に出てしまったとか。
執事さんは色々話してくれたけど、本人からは恐らくこの先もなにも情報は得られないんじゃないかと思っている。
まだまだ謎の部分が多い。
正直人に興味無さすぎて引くレベルではあるが私にとっては好都合だ。
理想の上司、それが彼への第一印象。
褒めもしないが貶しもしない。
仕事に文句があれば書類をその場でポイ捨てされるので受け取ってくれている間は大丈夫ということらしい。
ちなみにアルバート様の部下(信者)がミスって幾度も書類をポイ捨てされる現場を私は見ている。
というか、そんな部下さんを助けたのがきっかけで私はアルバート様の部下の仲間入りを果たしているわけだけどね!
今の所ノーミスなんですよ…学院での勉強やここでの独学だけにしては良くやってると自分で自分を褒めてやりたい!!
というわけで、まぁまぁそんなわけなのです。
理想の結婚には程遠すぎるけれど、理想の職業婦人として契約結婚を継続中。
旦那様とのプライベートな会話は半年経った今でもほぼありせん。
朝でも夜でも、屋敷では関わるつもりもないし朝の挨拶すら交わさない。仕事中の方がまだ会話するという異常ぶり。
結婚というより、就職した気分。
ある意味パートナーには違いないんだろうけれど…。
幸せだな、と私は浸りながら仕事終わりのティータイム。働いているのがバレてからは月一で執事さんがお給料を渡してくれるようになったから余計に就職感が出ている。
最初こそ辞退したものの、「働いた対価は誰であれ貰う権利がある」とのことらしく、それ以来ありがたーく貰っている。
あとまぁ、あれですよ、このお給料は私が働いてもいいという証のようで、貰うたびになんだかじわじわと嬉しく思うのです。