普通の…恋が、したい
「寂しくなるわね…」
「いやもうほんとなんなの…私の努力…」
同室のマリナは目頭を赤くしながら荷物をまとめるのを手伝ってくれている。
「でも、貴方はそうなると思っていたわ。首席だし、今までバレなかったのが不思議なくらいよ。」
「先生たちも協力してくれていたのになー」
「それよりお相手の方とは会ったの?」
「ううん、執事さんとは会ったけど、本人とは会ってないの。」
「なおさら、不安よね。」
あの日以来なんの音沙汰もない。
まぁ、私にはなくとも実家はあるようで、実家からの手紙ではテンションの高い父からの手紙とお葬式のようにへこむ母からの手紙が入っていた。おそらく実家には私の婚約者が行ったのだろうけど、普通私の顔見に来ない?
まぁ、きっと誰でもいいんだろうな。
執事さんに一任しちゃうほどどうでもいいんだもの。
え、父と母でなんでそんなにテンション違う手紙かって?
それは家柄重視の父と私の自由恋愛計画を密かに応援してくれていた母の違い。
うちの親は幼馴染からの政略結婚で恋愛結婚と言ってもいいくらい仲が良かったのだとか。
羨ましい。
憧れる。
幼い頃からそう思ってきた。
例え学院ではマリナ以外特に交流もなく、学業においては『鉄の女』とよばれた私。そんな鉄壁だった女とは思えない私の唯一の乙女チックな一面。
(まぁ、もろくも散ったけど)
社交界へも働く女性になってから出るつもりだった。なんだったら職場恋愛への憧れなどもあった。
働く女は学院の生徒と違って意思を尊重してもらえる。だからとにかく卒業まではそういう縁談から逃げ回っていたのに。
「卒業式…出たかったなぁ」
ぽつりと零した私の本音は誰に聞こえることもなく消えていった。