表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/26

反省をしよう

















思えば私の考えが甘かったのだ。











女学院では“恋をしない自分”に徹していたがそれがつまり“恋をしたことのない女”とイコールであることを失念していた。






(恋って何…)





幼い少女のような疑問に私は困惑していた。

そもそも私は独身ではない。

既婚者の私が恋をし、ましてや恋人を作るだなんてそんなことが果たして出来るのだろうか。



いや、出来る訳がない…。



さっと青ざめる。

私は一生恋を知らずに行きていくのか…恐ろしい…恋も愛もわからずに死ぬなんてなんと寂しい人生だろうか…。

まだ若いといっても私は既婚者なのだ。







(せっかく旦那様が許可を下さったのに…)









あれからまた二度ほど夜会には参加したが氷の君と呼ばれるだけあって旦那様の周りに来るのは馴染みの方が多く、また遠巻きながら女性陣の嫉妬の目が刺さるようにやってくる。そしてそれらをフォローするでもなくオールスルーな旦那様の側を離れないとなれば出会いなど皆無。

とりあえずしばらくは旦那様の馴染みの方を覚えるのが仕事だと自分に言い聞かせ、殿方に目を配るのはその後にしようと決心した。




しかしそんなのは言い訳である。




書店で買った恋愛指南書やラブロマンス物の小説を数冊読んだが、どうやら恋はそんな理屈で見つかるものでもないらしい。

またそれよりなにより問題なのは、




(旦那様が一番輝いてるんですもの)




身内の贔屓目とは恐ろしい。

“うちの子が一番”といった気になってしまう。現に旦那様は整った顔立ち、寡黙(関わりたくないだけ)な方だし、賢くて仕事熱心。それらを知ってるだけにその辺の遊んでそうな貴族の殿方より旦那様が素敵に見えるのは当然というもの。




(うう、家族なんだもの多少の贔屓は仕方ないじゃない)





でも私は恋がしたい…。

あんなに書店や図書館に溢れるほどの恋愛小説の数々。歌劇などの舞台だって素敵な恋や愛で溢れている。

女学院で見てきた女の子たちの輝かしい顔。





(まだまだ頑張りが足りないのだわ。)





ここで負けてはいけない、とは思いつつも次の一手が見つからない。

煮え切らない思いのまま私は眠りについた。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ