4話目
「・・・あっ!アンタ、昨日の猫!!?」
彼の先急ほどの行動で確信した。・・・あまり考えたくなかったことだが、急に大声を上げる俺に先ほど以上に驚いたらしく、肩がビクリと跳ねていた。それと同時に彼の頭には猫の様な狐の様な耳が現れた。
『何故ッ!?』
内心パニック・・・表でもパニックを露わにしながら、心の中で絶叫した。
「あ、ちゃんとしまうから。」
冷静に返事をする彼に更にパニックに陥る。
「ななな、なんで!それ、どうして、耳が4つ!?いや、問題は数じゃなくて猫耳・・・狐耳?いや、それもどーでもいい。・・・今、生えたよな?」
俺はあたふたとしながら、耳に触れてみた。・・・案外、触り心地良い、と内心呟き、必要以上に触る。
「ふふ、くすぐったい。・・・きにいった?」
彼は耳をピクピクと動かしながら、俺の反応に満足気に笑みを浮かべていた。
「いや、嗚呼。可愛いってか・・・ずっと触ってたい、かも・・・?」
素直に感想を述べると、彼はじっとこちらを見ながら、プッと噴き出してはクスクスと笑みを零した。
『・・・すっげー綺麗。』
心の声が聞こえると言われたが、それすらも忘れて笑顔に見惚れた。すると、心の声に反応した彼は真っ赤な顔をして、こちらをチラリと視線だけで確認をした。そんな彼が可愛くて、更に髪を撫でてやる。
「・・・って、それより大丈夫なのか?病気とか怪我とかいてるんじゃ・・・。」
確認するように腕や腹、首あたりを触ってみては特に何もない。ホッとした様に息をつき、彼を見るとどことなく嬉しそうにこちらを見る彼の笑顔があった。
「・・・やっぱり、あなたはやさしいね。」
彼は俺の手を掴むと、そっと口づけを落とす。
『・・・って、何されてんの、俺?』
彼の行動にあたふたとさせながら、彼の言葉を復唱しては考え込む。
「やっぱり・・・って前にも会ったことあるのか?」
じっと見つめるものの、特に何も思い出さなかった為、すぐに視線を外した。彼は少し寂しそうに笑みを浮かべ、顔を伏せた。
「おぼえて、ない・・・よね。まえにもフラフラあるいてたときに、たすけてくれたんだ。そのときは水、くれた。・・・きのうはあたたかいところにつれてきてくれた・・・。すごくすごくうれしかった。どうしてもお礼、いいたくて、でも、あのすがたじゃ伝わらない、から。・・・びっくりさせてごめんなさい。」
彼の言葉を聞きながら、顔が見えねェなと思い、またしても頬に手を滑らせてはこちらを向かせてみる。
『あ、泣くかも。』
目が赤くなっている・・・。俺は吸い寄せられる様に目元に口付けをいていた。・・・無意識って怖ェな。