2話目
玄関を開けると、猫も入ってくるかと思いきや、やはり歩く力も残ってないらしく、動くことはなかった。その代わりにこちらを異様に見てくる。・・・抱っこしろってか?と内心、首を傾げながら優しく抱き上げた。
リビングへ行くと、どこに猫を下ろそうか?とふと考えた。・・・自慢じゃないが、俺の部屋には全くと言っていいほど家具がない、邪魔だからな。ソファもない為、このままだと床にそのまま下ろすことになるのだが、さすがに地べたは痛いだろうと、ベッドにある愛用のタオルケットにとりあえず下ろし、ベッドのすぐ下に選択したばかりのタオルと服を何枚か重ねた。そして、タオルケットで包んで抱っこしてやり、そこへ下すと、何故か猫はまたしても嫌だと言う様に俺の服を噛んで抵抗した。
「・・・ここで我慢しろよ。明日、お前のベッド買ってきてやるから。」
猫に言い聞かせる様に優しく撫でてやる。猫はそれも気に入らなかったらしく、ぐいぐいと服を引っ張り、離さなかった。
「・・・ベッドが良かったのか?」
しょうがないという様に口にすると、ピクリと反応をし、今までにないほどの輝く瞳でこちらを見つめている。・・・当たりってことかと小さく苦笑を零しながら、そのままベッドへ戻してやる。それに満足したらしい猫は服をすんなりと離し、タオルケットの中で丸くなった。
『・・・それより、だ。これは猫なんだろうか?』
形はそうだが狐にも見えるのだ。狐ってネコ科だっけ?逆か?と思いながら、スマホを取り出し、検索を始めた。
『・・・とりあえず、狐はネコ科ではなかった。』
まぁ、明日にでも病院か、ペットショップに行けば分かるかと猫・・・の頭を撫でてやる。やはり、擦り寄ってくるこいつが可愛くて仕方がない。
自分も寝ようかとベッドから枕を取り、床に寝転ぶと、ふと頭の中にひとつ疑問が浮かんだ。
『・・・確かに、怪我もしてなくて倒れたってことは?』
眠い頭で必死に自分と戦いながら考えを巡らせる。
『・・・って、病気かもしれねェ!!』
がバッと勢いよく起き上がると、ベッドに丸くなって寝ているであろう猫を見つめる。またしても困ったときのインターネットだ。
『・・・この場合、猫で調べたらいいのか?狐・・・か?とりあえず、どちらも調べるか。』
調べたが・・・イチマチ分からない。とりあえず、一旦様子を見て、明日、病院だな、と思いながら、もしかして飲むかもと少し深めの皿に水を入れて、ベッドの近くへ置いておく。
『・・・もうだめだ、寝よう。』
スッとそのまま意識は吸い込まれるように眠りの中へ落ちていった。