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「新堂ちゃん!また買ってきてくれたのー?」
俺は学校が終わった瞬間にダッシュで毎日ケーキ屋に向かっている。だが、それは決してケーキが好きだからではない。その為、ケーキを持って寮にある自室へ帰ると先程の様に声を掛けられるのである。先ほど声を掛けたのは同室の堤。その堤とその恋人が好きなケーキを買って帰り、それを渡すという、堤からしてみれば意味不明な行動をここ最近、毎日送っているのである。
「・・・まぁ、僕はケーキ好きだから良いけどさー。ってか、なんで毎日買ってるの?」
堤は嬉しそうにケーキの箱を受け取りながら、共同のダイニングテーブルに座ると、ケーキの箱を開ける。
「あれ?今日はイチゴのショートケーキだけじゃないんだ?」
堤の声を聴いて「あ、悪い。今日1つしか買えなかった。」と答えたが、自分の中でん?と首を傾げた。・・・だけじゃない?と堤の言葉を思い返しながら、普段は気にしない箱の中を覗いた。すると、そこにはいつものショートケーキと透明の丸い筒状の容器に入ったスイーツがあった。・・・ピンクで可愛いムースらしき者の上にイチゴが綺麗にカットされて更に可愛らしさを飾っている。
「これ、俺頼んでないのに・・・。」
箱詰めされてあるそれを見つめていると、端に小さなメモが入っているのに気づく。メモを取り出して読むと、少しニヤケてしまった。そんな俺を見る堤が視界に入った、するとこちらを見ながらニヤニヤと笑みを浮かべていた。
「新堂ちゃーん!なんて書いてあるのー?」
揶揄いがいある、といった感じでメモを覗き込んできた。
「・・・試作品の感想を聞かせてほしいんだと。」
メモを簡単にまとめて堤に伝えると、「なーんだ。」とあからさまに残念そうに言っては興味をなくしたらしくショートケーキへ手を伸ばした。
「新堂ちゃん、今日は食べるでしょ?感想、言わないとだし?」
堤はニヤニヤとした笑みを引っ込めることなくショートケーキを頬張っていた。
「嗚呼、食う。」
俺は即答すると、試作品を取り、じっと見つめながらパクリと一口頬張る。すると、甘酸っぱいイチゴの風味が口の中に広がる。・・・恋は甘酸っぱいものだとか聞くけれど、俺のあの人への気持ちはやはり恋だなぁ、と改めて実感した。
・・・また明日、あの人に会いに行こう。放課後になってすぐ走って会いに行こう。そして、これの感想と共に再確認したこの気持ちを伝えよう・・・。
今日以上に明日が楽しみで、すごく緊張するものになったけれどそれはそれで気持ちの良いものだと感じた。
【END】
分かりにくいですが、ケーキ屋は20代で新堂は高校生ぐらいの設定です。
お互いに片思いというこのじれったい感じが最近のマイブームです。
まぁ、この後ラブラブになるでしょう。(笑)
またネタが浮かんできましたらUPします。
もし、リクエストありましたら、感想にでも・・・
お待ちしております。お付き合いいただきありがとうございました。 狗月