表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
BL短編集  作者: 狗月
できれば、巻き込まないでほしいんだが・・・
23/24

4話目



 

 リュリュが出て行った後、そっと音を立てないように寝ているリュシへ歩み寄る。

 すると、苦しげに息を吐くリュシが眉間に皺を寄せたまま、「テ、ン・・・。」と呟くのを聞いた。


「リュシアン・・・。」


 返事の意も込めて名前を呼ぶと、リュシは重たい瞼をゆっくりと開けた。そして、安心したように緩い笑みを浮かべて見せた。それから、聞こえたのは優しげに、でもしっかりとした声音で「テン。」と呼ぶ声だった。


「・・・どうした?帰る準備したら、運ぼうと思ったが、歩けそうか?」


 少し誤魔化す様に早口でそう言うと、リュシは少し体を起こして、何か言いたそうにじっとこちらを見つめた。


「・・・まだキツイよな?寝てろよ。」


 見つめたまま何も言葉を発しないリュシに、小さく苦笑を零しつつ、髪を梳かす様に撫でてやると、「テン。」と再度、名前を呼ばれた。・・・言うまで待つか、と黙って見遣る。


「あ・・・えっと、できれば・・・お、おひ・・・ッ。」


 普段、はっきりと物を言うリュシにしては珍しいな、と思いつつ、下を向いたリュシにもしかして、まだキツイか?と思い、「おい、大丈夫か・・・?」と声を掛け、顔を覗き込んだ。

 すると、頬を真っ赤に染め、瞳を潤ませていた。・・・熱が上がったか?と額へ手を伸ばすが、触れる前にその手を掴まれてしまった。

 は?と思うのと同時に、手を引かれ、何故か抱き締められていた。


「どうしたよ?」


「・・・顔、見ない方が言いやすい、から。」


「・・・そうか。」


 何を?とも思ったが、それは口にせず、リュシが話すのを待とうと、リュシの肩に顎を乗せた。


「・・・・・・いや、そのー・・・、帰る時、歩け、ないから・・・、運んで、くれる、か・・・?」


 ボソボソと告げるリュシの言葉を理解すると同時に、肩をガッと少し強く掴み、少し離して、先ほどのように覗き込む。すると、頬とさらに耳まで真っ赤になっているのを確認すると、嗚呼、さっきのは恥かしかったのか、と納得した。

 リュシのそんな様子に、クスクスと小さく笑みを零しつつ、本当に甘え下手だな、と内心呟くものの、まぁ、そこが可愛いところなんだが、と誰に言うでもなく、心の中で呟いた。


「勿論。」


 そう一言、返事をすると、そわそわとしていたリュシは恥ずかしそうに、そして、嬉しそうにフワリと柔らかな笑みを零した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ